
FMV AI Plus+を提供している株式会社ビットランドの古川渉一です。この連載では、AIに関する最前線をできるだけ身近な言葉でお届けしていきます。
さて、皆さんは「買い物」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
お店やネットショップで商品を選んで、財布やクレジットカードを出して、自分でお金を払う。あまりに当たり前で、考えたこともないかもしれません。
今日は、この「買い物の当たり前」が変わり始めている、というお話です。お金を払うのが、人間ではなくAIになる。 そんな動きが、世界で本格的に始まっています。
クレジットカード会社が本気で動き出した
「エージェンティックコマース」という言葉があります。AIエージェント、つまり人の代わりに調べたり選んだり動いたりしてくれるAIが、支払いまで済ませてくれる仕組みのことです。
実はこれを推し進めているのは、皆さんのお財布に入っているカードの会社そのものなんです。
Visaは2025年4月、AIがVisaカードで支払える仕組み「Visa Intelligent Commerce」を発表しました。Mastercardも同時期に「Agent Pay」を発表。決済大手のStripe(ストライプ)は「ChatGPT」のOpenAIと組み、チャット内でそのまま商品を買える機能を2025年9月からアメリカで始めています(2026年8月時点)。
「お金の本丸」の会社たちが、そろって同じ未来へ動いているんですね。
子どもにお小遣いを渡すのと同じ発想
「AIが勝手にお金を使うなんて怖い」と感じた方も多いと思います。私も最初はそうでした。
でも、私たちは似たことを昔からやっています。それは子どもへのお小遣いです。
3,000円を渡して、「この範囲なら好きに使っていいよ」と決める。上限さえ決めておけば、大きな失敗は起きませんよね。AIへの任せ方も、これと同じ発想なんです。
実際、カード会社の仕組みでも、利用者が上限や条件を決めておき、AIはその範囲でしか支払えない作りになっています。AIに渡すのは財布そのものではなく、いわば「お小遣い」なんですね。
家族の一員のようなAIに月3,000円を持たせて、「生活が便利になるものを買っておいて」と頼んでおく。そんな光景が当たり前になる日は、遠くないと私は思っています。
鍵は「AIに自分を知ってもらう」こと
とはいえ、買い物が的外れでは意味がありません。うまく働いてもらうコツは、AIに自分の生活を知ってもらうことです。
私自身、毎日の生活やトレーニング、食事の記録をAIに共有していて、「決めたサイトの中から、予算内でおすすめのサプリメントやグッズを提案して」という使い方をしています。支払いまではまだ任せていませんが、私の生活を知っているAIだからこそ成り立つ使い方です。
企業の側も変わります。検索する「人」に見つけてもらう時代から、「AI」に選んでもらえるかが問われる時代になっていくことでしょうです。
お金を払うという行為は、ずっと人間のものでした。それがいま、AIに任せられるものへと変わろうとしている。私はこの変化を、心配よりもまず「面白い」と感じています。何に使うかを決めるのは、変わらず人間。AIが引き受けるのは、探して比べて支払うという面倒な手続きだからです。
いきなり買い物を任せる必要はありません。まずは調べものや文章づくりを、AIに手伝ってもらうところから。「FMV AI Plus+」は、AIが初めての方でも日本語で迷わず使えるように設計したサービスです。AIと仲良くなっておくことが、「AIにお小遣いを渡す日」への何よりの準備になると思います。

※月額1,100円(FMVプレミアムサービス会員)/月額1,980円(FMV members・登録無料)。ご利用にはFMV membersへの登録が必要です。

古川渉一(ふるかわ しょういち)
株式会社ビットランド 代表取締役
AIが自分で考えて動く「AI自律経営」の仕組みづくりに取り組みながら、FMVをお使いの方に向けたAIサブスクリプションサービス「FMV AI Plus+」を提供しています。
著書の『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』(インプレス)は8万部を突破しました。ほかにも『いちばんやさしいAIエージェントの教本』『3行で深掘り! 仕事で使えるAI単語帳』など、これからAIに触れる方に向けた本を書いています。
AIの話はどうしても難しくなりがちですが、本当に大事なのは「自分の仕事や暮らしがどう変わるのか」というところだと思っています。このコラムでも、専門用語をなるべく使わずに、いま起きていることをかみ砕いてお伝えしていきます。