
年末の大掃除シーズン。ゴムパッキンのしつこい黒カビや鏡にこびりついた水垢など、落としづらいお風呂汚れの掃除法を、ハウスキーピングコーディネーターで数多くのお宅で水回り掃除などの経験を持つ藤井あや子さんに伺いました。きれいなお風呂につかって1年の疲れを取りませんか?
まずは、お風呂掃除に必要な洗剤と道具をチェック!
お風呂汚れには主に以下の4つの種類があり、汚れによって最適な洗剤が違います。
<汚れの種類と使用する洗剤>
■皮脂→中性洗剤(一般的な浴室用洗剤)
■石鹸カス→中性洗剤
■水垢→酸性洗剤、クレンザー
■カビ→塩素系洗剤(カビ取り剤)※液体タイプとジェルタイプの両方あると便利です
上記の洗剤を揃えたら、スポンジ、ブラシ、手袋、バススリッパを準備。
また鏡の水垢取りに最適なダイヤモンドパッドがあると便利です。ダイヤモンドパッドはスポンジの表面にウレタンを使用し、その中に硬質で研磨性の高いダイヤモンドを配合したもので水垢汚れをラクに落とすことができます。

掃除をする際は、
★酸性洗剤と塩素系洗剤は混ぜたり同時に使ったりしない
★換気を状態で行う
上記2点を必ず守って行ってください。
汚れが気になる箇所を徹底掃除する前に、全体をざっくり掃除
お風呂汚れの種類は主に4つですが、水垢の上に皮脂汚れがこびりついていたり、水垢とカビが同じ場所に発生していたりと、複合的な汚れが多いため、まずはお風呂全体の軽い汚れを落とします。使うのは汚れを万能に落としてくれる中性洗剤。浴槽、壁、床など、全体をざっと洗いましょう。皮脂汚れのほか、石鹸カスや薄いピンク色の赤カビは、だいたいの場合、中性洗剤で落ちることが多いです。
全体を洗ったら、次は気になる箇所を徹底的に掃除していきます。
お風呂のカビは冬こそ生えやすい! カビが気になる箇所の掃除術
カビと言うと、梅雨のジメジメした時期に生えやすいイメージがありますが、お風呂でカビが生えやすいのは冬!寒くてお風呂時間が長くなり、蒸気が充満した状態が長くなることと、他のシーズンに比べて浴室全体の乾燥に時間がかかることが原因です。

カビが気になる箇所はいろいろありますが、まずは天井の掃除から始めましょう。
普段見上げることが少ない天井ですが、実はカビが繁殖している可能性が。天井にカビの胞子が付いていると、浴室全体にバラまかれて、浴室のいろんなところでカビが増殖してしまいます。
■天井
①フローリングワイパーにドライタイプのシートをつけ、そこにカビ取り剤を吹きかけ、天井を拭く。
②10分ほど放置したら、水で濡らしたシートに取り換えて数回拭く。

天井を掃除したら、ついでに浴室乾燥機のフィルターも掃除してしまいましょう。
パーツを外して中性洗剤を吹きかけ、網目なども丁寧にスポンジなどでこすり落とします。カビが気になる場合はカビ取り剤をまいて10分ほど放置。最後に水で洗い流します。
■排水口
排水口の汚れは、皮脂、石鹸カス、水垢、カビなど複合的。まずは、髪が落ちていたら取り除き、ヘアキャッチャーや封水筒などのパーツを外して中性洗剤で洗います。それでも落ちなかったカビはカビ取り剤で落とします。

①カビ取り剤をまいて10分ほど放置。ヘアキャッチャーなどの細かい部分のカビはブラシでこすり落とす。
②カビ取り剤を水で洗い流す。黒カビが残っている箇所には、もう一度カビ取り剤をまいて30分~1時間ほど放置。その後、水で洗い流す。
■ゴムパッキンやタイルの目地
浴室内に生えたカビで、おそらくダントツに落としにくいのがゴムパッキンやタイルの目地に生えた黒カビではないでしょうか。しつこいカビの落とし方として、カビ取り剤を巻いた後、ラップをしてしばらく放置するなどの方法もありますが、手間がかかって正直、面倒……。
おすすめは、ジェルタイプのカビ取り剤です。垂れ落ちにくく、カビに密着してくれるので、塗布するだけで高い効果を発揮します。
①カビが気になる箇所にジェルタイプのカビ取り剤をまいて10分ほど放置。水で洗い流す。

②カビの根が深く①では除去できない場合は、カビ取り剤をまいてから1時間ほど放置。それでも取れない場合は、日にちを変えるなどしながら何度か繰り返す。最後はしっかり水で洗い流すことを忘れずに。
白くこびり付いた水垢は酸性洗剤で“浮かせて落とす”
中性洗剤をつけてスポンジでこすってもなかなか落ちない、床や鏡などについた水垢。水垢はアルカリ性なので、酸性の洗剤を使って汚れを浮かせて落とします。
※酸性度の強い洗剤は、素材によって変色を招くことがあります。特に金属類の変色を起こす可能性がありますので、製品の説明をよくお読みください。
■床
①酸性の洗剤をまき、スポンジやブラシで全体に広げて10分ほど放置する。
②スポンジやブラシでこすって水で洗い流す。

■扉
扉の下に、カリカリした状態でこびりついていることが多い水垢は、床と同様の方法で掃除をします。
①中性洗剤で洗った後に、酸性の洗剤をまき、スポンジやブラシで全体に広げて20~30分ほど放置する。
②スポンジやブラシでこすって水で洗い流す。
■鏡
シャワーのお湯が飛び散るなどして白くこびりついた鏡の水垢は、ダイヤモンドパッドを使うとラクに落とすことができます。
①鏡全体を水で塗らす。
②水をかけながらダイヤモンドパッドでこする。
③水で流し、乾いた布で水気を拭き取る。
■水栓
水栓や金属製のシャワーヘッドなどは、酸性の洗剤をつけると変色することがあります。酸性の洗剤ではなく、クレンザーでやさしく磨くのがおすすめです。クレンザーは浴室専用タイプもありますが、台所用でOKです。
①スポンジにクレンザーをつけて優しくこする。
②水で洗い流したら、乾いた布で水気を拭き取る。
風呂掃除の仕上げに風呂窯配管を掃除!

最後に風呂窯の配管を掃除しましょう。まずは、風呂窯のバスキャップを取り外して中性洗剤できれいに洗いましょう。カビが気になる場合はカビ取り剤を使います。
その後は、市販の風呂窯の配管用洗剤で使用方法に従って掃除を。
風呂窯の配管は、しばらく掃除をしていないという方は、この年末にぜひきれいにしましょう。
浴槽を覆うカバー(エプロン)がある場合は、この機会に取り外して掃除を。

他の箇所と同様に各パーツは中性洗剤で洗ってから気になる箇所はカビ取り剤で。
パーツは洗うことができますが、エプロン内部、浴槽本体の側面など手が届かず掃除をできない箇所も多いので、ここは専門の業者に頼むのもおすすめです。

ピカピカになったお風呂。掃除を終えたら、まずはお湯を溜めてひとっ風呂浴びてはいかがでしょう。最高に気持ちがいいに違いありません!
藤井あや子さん/ハウスキーピングコーディネーター。整理収納アドバイザー、ホームオーガナイザー。家事代行業を通じて得た独自の掃除方法を確立しメディアなどで発信している。また自宅を公開してのお片付けセミナーも好評。