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【大人の男はバーへ行こう】一度は訪れたい全国の名バー&今さら聞けない7つのルール

【大人の男はバーへ行こう】一度は訪れたい全国の名バー&今さら聞けない7つのルール

「気の知れた仲間と居酒屋でワイワイ」というお酒の楽しみ方もいいものですが、時にはちょっと気取ってバーに入ってみるのはいかが? 「大人になったらバーで少しカッコつけて飲むことで豊かな世界が広がる」とバー歴40年の太田和彦さんは言います。「とはいえマナーがよくわからない」という方もご安心を。人には今さら聞きづらい本格的なオーセンティックバー※のお作法と全国のおすすめ名バーリストをご紹介します。

※専門的な知識を持ったバーテンダーがいて、静かに洋酒やカクテルを楽しめる正統派バーのこと。

なぜ「大人の男」に居酒屋ではなくバーがおすすめなのか?

「敷居が高そう」「大人の社交場」「大人の男が黙って一人飲む場所」――。「バー」に対してみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。一口に「バー」と言ってもいくつかの種類があります。

街中でよく見かけるのが、料理も楽しめてカジュアルテイストな「ダイニングバー」。賑やかな雰囲気のお店も多く、複数人で会話を楽しむのにぴったりなのがこのタイプです。一方で、「本物の」意味をもつ「オーセンティックバー」は静かな雰囲気で熟練の腕を持ったバーテンダーの仕事ぶりを眺めながらお酒を楽しむ場所。太田さんはこの「オーセンティックバー(以下バーと表現します)」を「いい年になったら一人で行けるようにするといい」と言います。

「私は40歳を過ぎた頃『バーの似合う男になりたい』と思うようになりました。勤めていた会社が銀座だったので近くにあるバーに仕事仲間と入ることはあったのですが、年齢を重ねて一人でバーカウンターに座る姿が様になる、そんなカッコいい男になりたいと思ったんです」

バーが似合う男は、どうしてカッコいいのか――。 「バーテンダーは見られる商売。仕事、洗練された容姿、身のこなし、人間的な魅力も要求されるインテリアにもオーナーの美学が表れます。バーに通うとこういう美学がわかる男にだんだんなってくるんです」

予算はいくら?服装は? 知っておくべきバーの基本7ルール

「バーは紳士を気取ってカッコつけに行くところ」と太田さんは言います。「バーテンダーの本気の仕事に触れに行くわけです。紳士的な身なりと態度が求められます」

気を付けないといけないのがバーには注意書きのないような暗黙のルールがいくつか存在するということ。まずは次の7つの「基本ルール」を頭に入れておきましょう。 ルールがあると聞くと何だか緊張してしまいますが、その少々ピリッとした緊張感こそバーの醍醐味。「初めて入るお店は、バーテンダーも『どんなお客さんかな?』と少し緊張しているので、座ってから『初めて来ましたが、いいお店ですね』『ここは何年になるのですか』などと一声掛けると距離が縮まりますよ」

【覚えておきたいバーの7ルール】
1、飲み物代以外にチャージがかかる
「チャージ」とは入場料、サービス料のこと。飲み物代(1,000円~2,000円ほど)に追加して500~1500円ほどかかります。

2、基本的に、メニューはなし
あらかじめ飲みたいお酒を決めておくとよし。ビールやワイン、料理があるバーは少ないです。太田さんの最初の1杯はジントニック。

3、ドレスコードを守る
ハーフパンツやジャージ、Tシャツなどでは入れない店も多くあります。襟付きシャツやジャケットを羽織りましょう。

4、「バーテンさん」はNG
「バーテンさん」は失礼な呼び方にあたります。「バーテンダー(さん)」と正しく呼びましょう。

5、カウンターに座るのは2人まで
バーのカウンターは2人まで。3人以上でおしゃべりしたいなら、テーブル席か居酒屋へ。入店して席に着いたら、すぐに注文しましょう。

6、「おすすめをください」はNG
メニューがよくわからないからといって「おすすめを」とオーダーするのは野暮なこと。アンチョコを用意してでもメニュー名でオーダーしましょう。

7、2杯は飲み、感想も伝える
1杯目はロング、2杯目はショート、種類はスタンダードから。長居はせず1時間をめどに、飲んで3杯まで。「おいしいです」でいいので感想を一言伝えましょう。

カクテルのスタイルと定番メニューを解説

「ロング」…タンブラーなど大きめのグラスで出され、時間をかけて飲むタイプの比較的アルコール度数が低めのカクテルです。氷や炭酸が入っている場合が多く、ゆっくり飲んでも比較的味が崩れにくいです。

【主なメニュー】
ジントニック(ジン+トニックウォーター+カットライム)、ソルティドッグ(ウォッカ+グレープフルーツジュース)、モスコミュール(ウォッカ+ライムジュース+ジンジャービア) 、モヒート(ラム+ライムジュース+砂糖+ミント)など。

「ショート」…カクテルグラスなど小さめのグラスで出され、アルコール度数が高めのカクテルのこと。氷が入っていない場合が多いためぬるくなりやすく、風味が変わってしまうので短時間で飲むようにしましょう。

【主なメニュー】 マティーニ(ジン+ベルモット+オリーブ)、ギムレット(ジン+ライムジュース+砂糖)、ダイキリ(ホワイトラム+ライムジュース+砂糖)、マルガリータ(テキーラ+コアントロー+ライムジュース)など。

一度は訪れたい名バーテンダーがいる全国の名店

「地方に足を運んでみると、たくさんの名店がある」という太田さん。「バーは内装もメニューも基本的に全国どこも同じ。でも、地方はスタンダードなレシピを守り、バーテンダーが自分なりの美学を持って店を続けている良さがある」のだそう。

全国100軒以上のバーを訪れてきたという太田さんに「一度は訪れる価値がある」という名店を教えていただきました。「バーは原則撮影禁止。興味のある店が見つかったら、ぜひご自分でお店を訪れて店の魅力やバーテンダーの仕事を味わってみてください。バーをはしごする『バーホッピング』も楽しいですよ」

【北海道】
ドゥ・エルミタアヂュ
1994年に開店。札幌の名店「やまざき」出身の女性オーナーバーテンダー・中田耀子(ようこ)さんが迎えてくれる。80歳になる中田さんは女性バーテンダーの草分け的存在。

住所/北海道札幌市中央区南三条西4丁目 南3西4.B.L.D10F
電話/011-232-5465
営業時間/月~土:17:30~23:30(23:00ラストオーダー) 
定休日/日曜・祝日

【秋田県】
ル・ヴェール
もともと銀座にあったが秋田に移り、さらに本格的な名バーに。店の代名詞ともいえるメニューは、先代の佐藤謙一さんの味を引き継ぐ、ウイスキーを引き立てた「マンハッタン」。

住所/秋田県秋田市大町4-1-5
電話/018-874-7888
営業時間/18:00~25:00(土曜のみ24:00) 
定休日=日曜、第1・3月曜

【栃木県】
シャモニー
バーの街・宇都宮にあるまさに「ザ・バー」。カクテル世界大会の日本代表にも選ばれたマスターバーテンダーの永岡正光さんを訪ねて、東京から若いバーテンダーが通う。

住所/栃木県宇都宮市江の町10-2
電話番号/028-636-8760
営業時間/17:00~24:00 (土日祝日15:00~24:00)
定休日/不定休

【東京都】
ルパン
1928年開店の老舗。バーファンなら一度は地下のこのカウンターに座ってみたい、古き良きクラシックバーの代表。訪れたら、モスコミュールをぜひ味わってみて。

住所/東京都中央区銀座5-5-11塚本不動産ビル地下1階
電話番号/03-3571-0750
営業時間/17:00~23:30 (L.O.23:00)
休業日=日曜、月曜 ※月曜以外の祝日は営業

【神奈川県】
スリー・マティーニ
山下公園近くにある、ハマ(横浜)のバーらしくちょっと無頼な雰囲気のバー。店内を埋める洋酒ノベルティのコレクションは博物館級。

住所/神奈川県横浜市中区山下町28-2ライオンズプラザ山下公園104
電話番号/045-664-4833
営業時間/15:00~23:30 (L.O 23:00、土曜・日曜は14:00~)
定休日=月曜、火曜

【長野県】
メインバー・コート
松本をバーの街にした立役者・林幸一さんのほどよい山岳趣味の店内は、イギリスの地方バーを思わせる雰囲気。おすすめは、季節のカクテル。

住所/長野県松本市中央2-3-5ミワビル2階
電話番号/0263-34-7133
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:30) 
定休日/日曜、月曜(祝日の前日の場合は営業)

【石川県】
倫敦屋酒場
総レンガの大館はバーの良さがすべてそろった殿堂。地下、1階、2階のどこも魅力的で一人でも大勢でも気軽に入れる。太田さんは戸田宏明さんのいる小カウンター専門。

住所/石川県金沢市片町1-12-8 戸田ビル
電話番号/076-232-2671
営業時間/17:00~24:00
定休日/不定休

【兵庫県】
サヴォイ北野坂
白タキシードジャケットがこれほど似合う人はいない。木村義久さんは、今や関西を代表する“ミスター・バーテンダー”。

住所/兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20第3天成ビル4階
電話番号/078-331-8977
営業時間/15:00~23:00 (L.O.は~22:30)  定休日/日曜・祝日


■教えてくれた人
グラフィックデザイナー/作家 太田和彦さん
1946年生まれ。長野県松本市出身。資生堂宣伝制作室アートディレクターを経て、アマゾンデザイン設立。元東北芸術工科大学教授。本業のかたわら、旅紀行・居酒屋関係の文書を執筆。主な著書に『酒と人生の一人作法』(亜紀書房、文庫版は小学館文庫)、『太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選 名酒放浪編』(光文社新書)、『大人の居酒屋旅』(新潮新書)など。

※本記事は太田和彦著『BARへ行こう。』(ポプラ新書)を参考に構成しています。
※掲載情報は2025年5月現在のものです。あらかじめご了承ください。

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