実は男性にも「更年期障害」があるのをご存じでしょうか。なんだか最近、「イライラしやすい」「ほてる」「疲れが取れにくい」などの症状が続く場合は、男性更年期によるトラブルかもしれません。男性更年期が起こる理由や、日常生活での対策を紹介します。
「女性更年期」と「男性更年期」の違い
女性の更年期は女性ホルモンのエストロゲンが減少する、閉経前後の約10年に渡って起こります。ほてりや発汗、イライラや頭痛などの症状があらわれますが、エストロゲンの減少にからだが慣れてくると症状はおさまる傾向にあります。一方、男性の更年期は、テストステロンという男性ホルモンの減少によって起こります。エストロゲンと違い、テストステロンは加齢とともに徐々に減少。女性の更年期の「閉経」のように明確なタイミングはなく、40代以降どの年代でも発症します。男性ホルモンの減少による更年期は、医学的には「LOH(ロー)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれます。
「男性更年期」の主な症状
男性更年期では、心身ともにさまざまな症状があらわれます。
身体的症状
●漠然とした体調不良
●腰痛や関節痛、背中の痛みなど関節や筋肉の痛み
●発汗
●睡眠不足
●筋力の低下
●ひげの伸びが遅くなる など
精神的症状
●いらいらする
●緊張しやすい・精神的に落ち着かない
●落ち込みやすい・意欲がわかない
●力尽きた・どん底にいると感じる
●パニック状態になる など
性的症状
●性欲の低下
●性的能力の衰え など
※日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会・「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会編集「加齢男性性腺機能低下症候群 診療の手引き」参照
加齢のほか食生活やストレスも原因になる男性更年期は生活習慣を見直して対策
テストステロンの減少は加齢のほか、生活習慣の乱れも原因になります。上記でいくつかの症状があてはまった場合、まずは生活習慣を見直してみましょう。
対策1 テストステロンの分泌を維持する食材を食べる
●肉や魚(たんぱく質)
テストステロンの分泌を維持するには良質なたんぱく質を摂ることが大切です。お肉に含まれるアミノ酸の一種であるカルニチンはテストステロンの分泌を促すとされていて、特にラム肉(羊の肉)に多く含まれています。
そのほか、
・馬肉
・マグロ
・鮭
なども良質なたんぱく質。ぜひ積極的に食べましょう。
●牡蠣やレバー(亜鉛)
亜鉛は精巣にはたらきテストステロンの分泌を促すといわれています。
・牡蠣
・レバー
・カシューナッツ
などがおすすめです。
●山芋や里芋(DHEA)
俗に「若返りホルモン」と呼ばれるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、テストステロンの原料になるといわれています。
DHEAは
・山芋
・里芋
に含まれています。
高カロリーな食事を続けたり栄養バランスが偏った食事は、男性更年期の原因にもなります。上記で紹介した食材を積極的に食べるほか、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
対策2 筋トレでテストステロンの分泌を
筋肉は微量ながらテストステロンを産生しているので、男性更年期の対策には筋トレがおすすめ。大きな筋肉である太ももを動かすスクワットが効果的です。外出時はエレベーターやエスカレーターではなく、できるだけ階段を使うなどもおすすめです。
対策3 良質な睡眠を心掛ける
テストステロンをはじめとしたホルモンは寝ているあいだ、特に午前1時~3時頃に多く作られます。この時間帯にしっかり眠っておくことが大切なので夜ふかしは禁物。
・お風呂はシャワーではなく40度ほどの温めのお湯につかる
・寝る前にスマホやパソコンの使用を控える
・照明は暗めにする
などを心掛けて、しっかり眠りましょう。
対策4 ストレスをためない
強いストレスがかかると、体はそれに対抗するためにコルチゾールというホルモンを分泌します。コルチゾールはテストステロンの原料となるDHEAを浪費するため、テストステロンが作られにくくなり、分泌量が低下するといわれています。
心身共にリラックスする方法でおすすめなのが、
・入浴
・睡眠
・笑う
です。そのほか、趣味に没頭する、体を動かすなど自分なりのリラックス法を見つけてみましょう。
食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直しても男性更年期に当てはまる症状が改善されない場合、まずは泌尿器科の受診をおすすめします。