
夏の定番といえば「そうめん」。めんつゆにつけて、つるんといただくのもおいしいですが、アレンジ次第でもっとおいしくヘルシーな一品に! 手軽に作れて夏バテ気味な体に効果的な3品をご紹介します。
ほんのひと手間で大違い!そうめんをおいしく茹でるコツとは

今回、そうめんのおいしい食べ方を教えてくれたのは、料理研究家の植木もも子さん。「そうめんはのどごしがいいので、暑さで食欲が落ちたときもつるんと食べられますし、茹で時間が短いのでパパっと作れて便利。料理が得意ではない男性にもおすすめです」
スーパーには高級なそうめんも多く並んでいますが「ふつうのそうめんでも、あるコツをおさえれば、のどごし良く、ぐんとおいしくなるんですよ」と植木さん。まずは、そうめんの基本の茹で方からご紹介します。
【おいしいそうめんの茹で方】
※2束分。茹で時間は商品ごとの記載時間を参考にしてください
1、18~20㎝の鍋に7分目の湯を沸かす。流しにザルとボウルを用意しておく。
2、湯が沸いたらそうめんをパラパラと入れて、麺同士がくっつかないようにすぐに菜箸でさばくように軽く混ぜる。

3、吹きこぼれそうになったら、おちょこ1杯の水を加えて沸騰を抑える。

4、茹で上がったらざるにそうめんをあけて湯をきり、冷水を張ったボウルに移す。流水の下でそうめんを両手でもみ洗いしてぬめりをしっかり取り、こしを出す。
5、水気をよくきる。
■ここがポイント!
・茹で時間はきちんと計ること。
・茹で上がったら、麺をしっかり両手でもみ洗い!ここでぬめりをしっかり取っておくと、麺にこしが出て伸びにくく、麺同士がくっつきにくくなります。
基本の茹で方を覚えたら、アレンジレシピに挑戦してみましょう。
今回紹介するのは、夏バテ気味な体を回復させる食材で作る3品。調理時間はどれも15分以内ととっても簡単! 普段台所に立たないという方も、ぜひお試しください。
※表記している材料は、いずれも男性1人前程度の量となっています。
【エアコンで冷えた体に】サバ缶と小ねぎの混ぜ麵

小ネギやショウガ、ごま油の香りがサバの生臭みを抑えて、さっぱりいただけます。「サバと小ねぎは、体を緩やかに温めてくれる食材。エアコンの効いた室内で冷えた体を整えましょう」(植木さん)。保存が効いて便利なサバ缶を使い、身だけではなく汁もそのまま出汁として使い切ります。サバには動脈硬化や高血圧予防にいいとされるDHAや血液をサラサラにするEPA、タンパク質といった栄養がたっぷり含まれていてヘルシーな一品です。
【材料】

そうめん 2束
サバ缶水煮 1缶
小ねぎ(小口切り) 3~4本分
ショウガ(すりおろし・チューブ製品で代用も可) 小さじ1
酒 大さじ2
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ2
ごま油 大さじ1
■小口切りとは?

上の写真のように、ネギやキュウリなど細長い野菜を端から同じ幅で切る切り方。
【使う鍋】そうめんを茹でる鍋、フライパン
【作り方】
1、そうめんを「基本の茹で方」にならって茹で、ザルに上げて水気を十分に切っておく。
2、ボウルにサバ缶の身を汁ごと入れて荒くほぐし、酒を加えて混ぜる。ショウガも加えて混ぜる。
3、フライパンでごま油を温め、香りがたってきたら火を止めて小ねぎを入れて混ぜる(小ネギが焦げないように注意)。
4、フライパンの火は止めたまま、(3)に(1)としょうゆを加えてよく混ぜる。
5、器に(4)を盛り付け(2)をのせる。
6、めんつゆをお好みで加えながら混ぜていただく。
【胃腸の疲労回復に】トマトと卵のつけ麺風

暑いとつい、冷たい飲み物や食べ物を摂り過ぎて、胃腸がダメージを受けがちですよね。体内に貯まった熱を取る効果のあるトマトを温かい「つけ汁」にし、さらに体を温める効果のあるショウガを加えることで、胃腸にやさしい一品に。ささみが入って、タンパク質もしっかり摂れます。つけ汁は、トマトの酸味を卵がマイルドにしたやさしい味です。
【材料】

そうめん 2束
ミニトマト 4個
鶏ささみ 2本
卵 1個
小ねぎ(小口切り) 2~3本分
ショウガ(すりおろし・チューブ製品でも代用可) 小さじ1
水 11/2カップ(300㏄)
酒 大さじ2
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ3~4
【使う鍋】そうめんを茹でる鍋、つけ汁を作る鍋
【作り方】
1、トマトは食べやすい大きさに切り、鶏ささみは2センチ大のそぎ切りにし、酒大さじ1/2と塩少々を振り、混ぜておく。
■そぎ切りとは?
食材を薄く斜めに切る切り方。切り口の表面積を大きくすることで火の通りや味の染み方が良くなります。

2、鍋に水を入れて火にかけ、トマトも加えて煮る。沸騰したら火を弱めて2分ほど煮る。めんつゆと鶏ささみを加えて残りの酒を加え、菜箸でほぐす。
3、もう1つの鍋に湯を沸かし、そうめんを「基本の茹で方」にならって茹で、ザルに上げておく。

4、卵を溶いて(2)の鍋に回し入れ、軽く菜箸で動かす。卵が固まったらおろし生姜を加えて混ぜ、火を止める。
5、(4)を器に移し、小ねぎを散らす。そうめんをつけていただく。お好みで柚子胡椒を添えてもおいしい。
【食欲がないときに】トマトとツナのさっぱりスタミナそうめん

ニンニクの香りが食欲をそそる一皿。トマトは体に貯まった熱を取り、ツナと大葉は緩やかに体を温める食材で、夏の体の不調を整えてくれます。ポイントはそうめんのぬめりをもみ洗いでしっかり取っておくこと。ぬめりを取っておくと、麺がくっつきにくく、伸びにくくなります。
【材料】

そうめん 2束
トマト(1㎝角大に切る) 1個分
ニンニク(粗みじん切り) 小1片分
ツナ 1缶
大葉(千切り) 10枚分
酒 大さじ1
オリーブ油 大さじ1
塩 小さじ1/2
黒コショウ 適量
■大葉の千切りとは?
大葉はなるべく細く切るのがポイント。口当たりがよくなります。

大葉をまとめて半分に切り、重ねる。

くるくると丸めて……

なるべく細く切っていく。
【使う鍋】そうめんを茹でる鍋、フライパン
【作り方】
1、そうめんを「基本の茹で方」にならって固めに茹で、ザルに上げて水気を十分に切っておく。
2、ツナは汁気を切り、酒小さじ2を振る。
3、フライパンにオリーブ油とにんにくを加えて混ぜてから火をつけ、炒める。香りが立ったらトマトを加えて炒める。
4、(2)を加えて更に炒め、そうめんを加えて混ぜて塩と黒コショウで味を調える。
5、器に盛り、大葉を飾る。
■教えてくれた人

植木もも子さん
健やか料理研究家。管理栄養士・国際中医師・国際中医薬膳管理師。自宅にて東洋医学の薬膳と栄養学双方を取りいれた美味しいウエルエイジのための料理教室を主宰。カルチャースクールでの講師、企業、自治体などの健康増進のための講演、健康メニューの提案、開発等を手掛ける。雑誌やWEBでも薬膳料理を紹介。「毎日の食事が健康を作り、人生を作る」「美味しく!賢く!楽しく!健康に!」をモットーに活動。著書に『増補新版 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』(喩静との共監修、西東社刊)、『身近な素材でつくるかんたん養生酒』(PHP研究所刊)、『薬膳のつくりおき』(家の光協会刊)など。
撮影=門間新弥