肩こりや頭痛、疲れなどを感じていませんか? その原因は「目の疲れ」かもしれません。「疲れ目」がさまざまな症状を招くメカニズムや解消法を眼科医の梶田雅義さんに伺いました。
目の緊張が全身に伝わって肩こりや頭痛などが引き起こる
目の水晶体の近くには毛様体筋という筋肉があります。
目は、近くを見るときは毛様体筋をピーンと張り、遠くを見るときは毛様体筋をゆるめることでピントを調整しています。
スマホやパソコンなどを長時間見続けるなどして、毛様体筋の緊張が続くとその緊張が全身に伝わって肩こりや頭痛などを引き起こすことがあります。
自律神経が乱れて吐き気や倦怠感などが現れることも
遠くを見るときは交感神経が、近くを見るときは副交感神経が優位になります。遠近のピント調節は、交感神経と副交感神経をうまく切り替えることで正しく調整しています。
しかし、スマホやパソコン、テレビなど現代は近くを見ることが多く、副交感神経が優位になりやすい環境にあります。近くばかり見ていると自律神経のバランスが乱れ、ピント調整がうまくいかなくなり目が疲れやすくなるのです。
自律神経は呼吸や体温、血圧、代謝や消化、運動など体全体のはたらきを司っているので、自律神経のバランスが乱れると、目の疲れだけでなく肩こりや頭痛、吐き気や倦怠感など全身にさまざまな不調が起こりやすくなるのです。
目の疲れによって起こる主な症状
<目の症状>
・ぼやける
・痛み
・充血
・しょぼしょぼする
・まぶしい ……など
<全身の症状>
・肩こり
・頭痛
・めまい
・吐き気
・倦怠感 ……など
「目の疲れ」を解消する3つの日常習慣
1 まばたきをするよう心掛ける
スマホやPCを見ているときは集中していることが多く、ついまばたきを忘れがち。
まばたきをすることで筋肉の緊張がほぐれます。
2 ビタミンやルテインが豊富な食材を積極的に
薄暗い場所で物を見たり色の識別をサポートしたりするはたらきがあるビタミンAや、眼精疲労に効果的なビタミンB群、ピント調節機能をサポートすると言われるアントシアニンを多く含む食材などを積極的に食べましょう。
以下にそれぞれの栄養素を豊富に含む主な食材を紹介しますが、いろいろな食べ物からバランス良く摂ることが大切です。
・ビタミンAを豊富に含む食材
レバー
牛乳
にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜 ……など
・ビタミンB群を豊富に含む食材
うなぎ
豚肉
牛乳
あさり ……など
・アントシアニンを豊富に含む食材
ブルーベリー
ぶどう
カシス ……など
3 寝る2時間ほど前にぬるめのお湯に浸かる
40度前後のぬるめのお湯にゆっくりと浸かって筋肉の緊張をほぐしましょう。リラックスができるうえに、眠る2時間ほど前に入浴をすれば、入眠時にちょうど体温が下がり始め、眠りにつきやすくなります。
質の良い睡眠にもつながって交感神経を整えることにもつながります。
スマホやパソコンを長時間見続けるときには、10分間に1~2秒間遠くを見たり、肩や首をゆっくりと回してストレッチを行うなども有効です。
梶田雅義さん/眼科医。眼科梶田塾塾長。福島県立医科大学眼科学講師、カリフォルニア大学バークレー校研究員、東京医科歯科大学医学部臨床教授などを経て、2003年から梶田眼科を開設し院長。24年から現職。著書に『人生が変わるコンタクトレンズ・メガネ選び』(アマゾン出版)など。