
子どもの独立や転職、定年などライフスタイルの変化によって自動車の利用方法は変わりますが、自動車保険の補償内容は変更していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。いまの自分にマッチした補償内容であるかを確認し変更することで、自動車保険料を抑えることができます。自動車保険を見直すべきタイミングや方法などについて、ファイナンシャルプランナーの松浦建二さんに伺いました。
自動車保険を見直すタイミングは?
契約している自動車保険の内容が自分にマッチしているかは、以下のタイミングで見直すといいでしょう。
保険の更新時
自動車保険の契約は基本的に1年単位なので、満期のお知らせが届いた際に、いまの自分に合った補償内容になっているかなどを確認しましょう。
車の買い替え時
車を買い替えたら保険会社に連絡をして「車両入替」の手続きが必要になるので、このタイミングで見直すといいでしょう。
家族構成の変化
家族構成が変化した場合は、特に「運転者限定特約」を確認しましょう。
例えば、運転をしていた子どもが独立した場合、運転する誰もが補償を受けられる「限定なし」や「家族限定」にしている場合は、「本人・配偶者限定」や「本人限定」に変更することで保険料を抑えられるでしょう。
ちなみに、離れて暮らす子どもが“帰省すると車を運転するから”という理由で、特約を「限定なし」や「家族限定」にしている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、子どもが帰省して運転するのは年に数回しかない場合は、「本人・配偶者限定」や「本人限定」に変更をし、子どもが運転をする際には「1日自動車保険」を活用するのがおすすめです。

車の使用目的(走行距離)が変わったとき
自動車保険の保険料は契約時に申告する「業務」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3つの使用目的によって保険料が違います。走行距離が長い「業務」が最も保険料が高くなります。仕事や通勤に使わなくなったなどの変更があれば、保険会社に連絡をして変更手続きを行いましょう。
自動車保険の見直しポイント

車の買い替え時や家族構成の変化などのタイミングで保険内容を見直し、変更することで保険料を抑えることができますが、そのほかの見直しポイントを紹介します。
代理店型とダイレクト型
自動車保険は主に、保険代理店を介して保険を契約する「代理店型」と、インターネットや電話で保険会社と直接契約を結ぶ「ダイレクト型」に分けられます。
それぞれメリット・デメリットを紹介します。
「代理店型」自動車保険のメリットとデメリット
<メリット>
・代理店を通して保険に加入。代理店担当者に相談ができたりアドバイスを受けられたりする。
・代理店担当者によっては、事故が起こったときに現場に来てくれる。
・多くの場合、事故後の保険会社とのやり取りを、代理店が行ってくれる。
<デメリット>
・代理店手数料などがかかるため、「ダイレクト型」に比べて保険料が高い。
「ダイレクト型」自動車保険のメリットとデメリット
<メリット>
・代理店手数料がかからないため、「代理店型」に比べて保険料が安い。
・インターネットで手軽に見積りを取れる。
<デメリット>
・補償内容の選択や契約まで基本的に自分で行わなければならない。
・事故が起こったときに保険会社の担当者が現場に来ることはない。
・事故が起こった後の保険会社とのやり取りを自分で行わなければならない。

保険料を抑えるなら、「ダイレクト型」がいいでしょう。
ただし、「ダイレクト型」はすべて自分で手続きを行う必要があります。
事故を起こした際には、保険会社との交渉を自身で行って補償金額を決定する必要があります。人身事故など事故相手がいる場合は相手とのやり取りや交渉も自身で行います。
一方「代理店型」は、多くの場合、代理店の担当者が保険会社との交渉を行います。申請書類の書き方などのアドバイスをくれたり、人身事故を起こした場合は、相手との交渉をサポートしてくれたりする場合があります。
これまで事故を起こした経験は少ないし、契約や事故後のサポートも不要だという方は、保険料が低い「ダイレクト型」を選ぶのがよいでしょう。
「ダイレクト型」より保険料が高くても、アドバイスをもらえる安心感が必要な方は「代理店型」にして、現在の補償内容を見直して保険料を抑えましょう。
どちらにするか判断が難しいという方は、「代理店型」と「ダイレクト型」の見積りを取って差額などを比較するのがおすすめです。
車両保険
自動車保険の保険料は車両保険をつけるか否かで大きく変わります。
中古車や何年も乗っている車の場合、時価相当額が下がっているので車両保険を使うことになっても、十分な保険金が支払われない場合があります。十分ではないにも関わらず保険金を使うと等級が下がるため、翌年、翌々年の保険料が上がってしまうというリスクもあります。
もしものときに支払われる車両保険の金額をシミュレーションして、車両保険の必要性について検討しましょう。

車両保険が必要である場合は、以下の方法で保険料を下げることができます。
・免責金額を高くする……事故を起こした際の自己負担額は1回目と2回目以降で設定でき、自己負担額を高くすれば保険料は安くなります。
・エコノミー型に変更する……車両保険には「一般型」と「エコノミー型」があります。「一般型」にある「転覆・墜落」と「単独事故」の補償を外した「エコノミー型」を選択すると保険料を抑えられます。
・車両保険の特約を見直す……車両保険をつけた場合にのみ契約できる「身の回り品補償特約」があります。車内やトランクに積んでいたゴルフクラブやカメラが事故や盗難で損害を受けたときに補償が受けられる特約ですが、本当に必要かどうかは改めて見直しましょう。
ついつい内容を見返さず更新しがちな自動車保険ですが、いまの自分に内容が合っているかぜひ確認して、保険料を賢く抑えましょう。
松浦建二さん/ファイナンシャルプランナー。20年以上に渡るライフプランの相談経験と自らの家計管理経験を生かし、家計の見直しや節約、住宅ローン、保険の見直しなどのアドバイスを行っている。女性ファイナンシャルプランナーが多いなか、男性目線での節約術の提案も好評。松浦建二さんのHP「PRIVATE MONEY」