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男の日帰り“ちょい”城旅<神奈川県小田原 前編> 名城・小田原城の“難攻不落”を体感!

男の日帰り“ちょい”城旅<神奈川県小田原 前編> 名城・小田原城の“難攻不落”を体感!

「たまの休日。ちょっと遠出でもしようかな」なのか、はたまた「何、お父さん! 休みの日だからって日がな一日、家でゴロゴロするつもり?!」なのかはわかりませんが、日頃生活していると、急にふと旅に出たくなることってありますよね?

そんなときにオススメしたいのが、思い立ったらすぐ行ける、男ひとりの気ままな日帰りお城旅。今回はフラッと神奈川・小田原へ――。男心をくすぐらずにはいられない戦国ロマンたっぷりの名城と地元グルメを、存分に堪能しに行くといたしましょう。

そびえる天守は関東唯一。難攻不落の小田原城へ!

都心から東名高速&小田原厚木道路を経由して、ざっくり1時間半。城址公園の南側にある三の丸駐車場に車を入れたら、まずは最初の目的地、復元・復興天守では関東唯一の小田原城天守閣に向かいます。

駐車場からはそのまま本丸へとショートカットすることもできますが、ここは大人の余裕で、ゆったり東に向かってお堀端をウォーキング。せっかくなので、出仕する侍たちの通用口でもあった馬出(うまだし)門から正規のルートで登城します。


復元された馬出門。側面攻撃が可能な「横矢掛り(よこやがかり)」が特徴的。

馬出門をくぐるとまず見えてくるのが、堂々たるたたずまいの銅(あかがね)門。こちらは、さすが二の丸の正門というだけあって、四方をぐるりと囲んだ土塀で敵を袋のねずみ&蜂の巣にしてしまう「枡形虎口」の鉄壁な造り。手前の木橋を落とされてしまえば、そもそも容易に近づくことさえできそうにありません。


銅門も古写真や絵図をもとに忠実に復元されています。

二の丸への侵入に成功したら、あとは見るからにラスボス感のただよう堅牢堅固な本丸の正門、常盤木(ときわぎ)門を超えるだけ。ここを突破すれば、実は関東のお城では小田原城が唯一の立派な天守閣が、いよいよ眼前に現れます。


常磐木門の内部は、武具に特化した展示施設「SAMURAI館」になっています。

現在の天守閣は、全国的な“再建ブーム”の只中だった1960(昭和35)年に完成。

ところで小田原城と言えば、戦国の雄・北条氏の本拠地にして、天下に轟く難攻不落の名城……というのが一般的なイメージですが、実のところ、城址公園内で今日見られる城跡としての「小田原城」は、北条氏とはほぼ無関係。

お城の根幹をなす「縄張り」(基本設計)をしたのは、北条氏滅亡後の1594(文禄3)年に城主となった“徳川十六神将”のひとり、大久保忠世ですし、現在の姿に近い近代城郭へと生まれ変わったのは、そこからさらに数十年後の稲葉氏の代。

このあたりは、世間的にも“太閤はんの城”としてすっかり定着しているのに、城郭自体はぜんぶ徳川時代のものだったりする、“ナニワのシンボル”大阪城とも似ています。


天守閣から見える北側の高まり(写真右)が、北条時代の遺構のひとつ「八幡山古郭東曲輪(はちまんやまこかくひがしくるわ)跡」。かつての本丸はその奥にある現在の小田原高校の辺りにありました。

晴れた日には三浦半島の突端までくっきり。360°のパノラマビューも楽しめます。

ちなみに、前述の大久保忠世は、23年の大河ドラマ『どうする家康』で小手伸也さんが演じた“自称・色男”と言えば、「あぁ!」となる人も多いはず。のちに初代藩主となる稲葉正勝は、かの春日局の長男で、3代将軍・家光とは“乳兄弟”の間柄です。

いまに残る城郭としての規模の大きさや防御力の高さ。そして、歴代城主がいずれも徳川家に極めて近い「譜代」の家柄であることからも、“天下の険”箱根を擁する交通の要衝として、小田原がいかに重要視されていたかがわかりますよね。


詳しい歴史は天守閣の展示でぜひ。

小田原城天守閣
開館時間 9:00~17:00
休館日 第2水曜、年末年始
入館料 一般510円


「日本100名城」スタンプラリーのスタンプや、各種御城印も天守閣で。

その規模、日本最大級。秀吉目線で北条氏が誇った「総構」を体感!

天守閣がそびえる現在の城址公園に、北条氏時代の痕跡がほとんど残っていないとなれば、代名詞とも言えるその“難攻不落”ぶりは、どこへ行けば感じられるのでしょう。

ご心配なく。ちゃんとあります。それが、城下をまるごと要塞化するというトンデモ発想で築かれた「総構(そうがまえ)」。ここ小田原には、そんな戦国時代の遺構が、他に類を見ない規模で、随所に残っているのです。

なかでも必見は、城址公園から競輪場の脇を通って、車で5分ほど行った先。相洋高校の裏手に残る「小峯御鐘ノ台大堀切(こみねおかねのだいおおほりきり)」。

北条時代の本丸があった八幡山丘陵の尾根を人為的に分断して築かれた、このとんでもない規模の空堀跡をひとたび見れば、天下統一の総仕上げに“小田原攻め”を敢行した豊臣秀吉でなくとも、「こりゃまともに攻めるのは無理だわ」となること請けあい。

戦国の当時はそれが、実に9kmにもわたって街をぐるっと囲っていたというのですから、全盛期の北条氏が、どれほどの権勢をふるった大大名だったかがうかがえます。


土塁の高さは約12m。往時はもっと高く、勾配もさらに急だったとか。

「総構」をもっと攻めたい人には、わかりやすい観光マップも用意されています。PDFファイルのダウンロードはコチラから

城跡徒歩1分!  日本を代表するパティシエの人気店で小休止

空堀跡で「総構」の強固な守りが垣間見えたら、今度は攻守交代。攻め手の秀吉が“小田原攻め”の拠点として築いた石垣山城にも足を運びます。

見るべき戦国の遺構がギュッとまとまっているのも小田原の魅力。向かう石垣山城も、れっきとした“山城”ながら、車なら市街地からも約10分とアクセスは抜群です。


小田原城天守閣から望む石垣山。想像以上に目と鼻の先!

駐車場に車を停めたら、とりあえずちょっと小休止。隣接している『一夜城ヨロイヅカファーム』で優雅にティータイムといきましょう。

レストラン、パティスリー、ブーランジェリー、マルシェが一体となった店内は、平日昼間でも、近隣や県外などから集う紳士淑女のみなさんで大にぎわい。日本を代表するパティシエ・鎧塚俊彦氏がオーナーを務めるだけあって、とりわけケーキは絶品です。


コンセプトは「地産地消」。農園も備え、使われている食材の多くが自家製です。

一夜城 YoroizukaFarm 
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜


一夜城限定の『ファーム・シトロン』とアイスコーヒー。

自家農園で採れたレモンのソースとチーズのムース、蜂蜜のクリームが織りなすマリアージュ! 小田原の名産品でもあるレモンを使った絶品すぎるケーキを、相模湾を望むオーシャンビューのテラス席でいただきます。

向かう石垣山城は、小田原城に比べると足場も悪く、アップダウンはわりと激しめ。ちょっとした“山登り”に備えてしっかり英気を養うべく、このあたりでコラムもひと息。続きは次回といたしましょう。

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