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男なら一度は訪ねたい!日本の絶景ドライビングコース

男なら一度は訪ねたい!日本の絶景ドライビングコース

旅行シーズンの春、ゴールデンウィーク前に知っておきたい絶景のドライビングコースを紹介します。フェラーリを中心に通算50台以上の自家用車の購入歴もある自動車評論家で、鉄道や城郭への造詣も深い清水草一さんに、これまでドライブをしたコースのなかから、中高年男性にぜひ訪ねて欲しいオススメを伺いました。

“ダイナミックかつハードボイルド”なオススメコース

今回、日本の絶景ドライビングコースを選ぶにあたって私がポイントとしたのは“ダイナミック”で“ハードボイルド”であること。
日本のダイナミックな地形を満喫でき、人気のない荒野を目指すようなハードボイルド感溢れるコースと、その見どころを紹介します。

東北日本海沿岸コース/村上(新潟県)~龍飛崎(青森県)

国道7号線がメインとなりますが、なるべく海岸線を走りたいので、途中7号線を外れたり高速道路を要所要所で使ったりしてもOK!

まずオススメするのは、新潟から青森にかけての、日本海の海岸美を楽しむコース。

出発点となる村上を出る国道345号線を走ると、「笹川流れ」という名所に到着します。このあたりの海岸美は本当に素晴らしく、中高年男性には一度は見て欲しい景色。ここから観光船も出ているので、車を停めて船に乗りカモメに餌をやるというのもいいと思います。

奇岩や洞窟などの景観が美しい「笹川流れ」。

このあたりはJR羽越本線が道路と平行して走っていて、貨物列車と並走できるタイミングも結構あります。「貨物列車と競争だ!」みたいな、実際は競争はしませんけど、そんな気持ちで走れるのも楽しいですね。
そこから北上し鶴岡や酒田を通過し山形秋田県境に近づくと鳥海山(ちょうかいさん)が見えてきます。これも素晴らしい山ですね。このあたりは、鳥海ブルーラインという高原道路があるので、海岸線に飽きたらそちらを走ってもいいと思います。

鳥海ブルーライン。

鳥海ブルーラインを降りると松尾芭蕉が句を詠んだ秋田県の景勝地・象潟(きさかた)があります。田んぼの中に小さな島々が点在する、地味ですが美しい景色なんですよね。

象潟は、秋田県にかほ市象潟町にある景勝地。国の天然記念物で鳥海国立公園の指定地。

さらに北上して秋田県の男鹿半島へ。このあたりは、まさにダイナミックで初めて通る方なら「日本にこんな場所があったんだ!」と感動すると思います。特に、男鹿半島の入道崎から眺める日の入りは最高。この景色は絶対にオススメです。

入道崎から見る日の入り。

ここからもしばらく、海岸線を北上するわけですが、秋田県の能代を過ぎたあたりからは国道101号線をJR五能線沿い走ります。ここも最高で「わーーーつ!わーーーーっ!」と感動の声を上げながら走りたくなるような、荒涼とした美しい海岸線です。

JR五能線から見た国道101号線の景色。

JR五能線のひなびた駅がいくつもあるのですが、特に驫木(とどろき)駅は、寂しさというか哀愁があり、涙が出そうになるほど。ぜひ立ち寄っていただきたい必見の駅です。

JR五能線、驫木駅。写真下は清愛車のフェラーリで訪れた際のもの。

JR五能線を堪能したら目的地の龍飛崎(たっぴざき)へ。津軽半島の最北端へのドライブは、“突端を目指している”というハードボイルな気分が高まり、到着すると何か“極めた”ような達成感に浸ることができます。
新潟から青森までかなり距離のあるコースなので、1泊2日で各所に立ち寄りながら無理なく楽しむのがオススメです。

龍飛崎。国道でありながら車もバイクも走れず、歩行者しか通れない「階段国道399号」が通っていて観光名所にもなっています。

西伊豆コース/修善寺~石廊崎(静岡県)

東北日本海沿岸コースのプチ版。太平洋の海岸美を楽しみながら、伊豆半島の“先っちょ”石廊崎を目指します。

修善寺を出発し、そこから西へ山をあがっていくと「だるま山高原レストハウス」があります。ここから見る駿河湾越しの富士山が大変すばらしく、1914年に行われたニューヨーク万博に展示された富士山の写真はここから撮影されたものだそう。
かの横山大観も「ここから見る富士が最高である」とおっしゃって、何度か足を運ばれたのだとか。富士山の宝永山の山腹にある大きな噴火口があまり目立たたず、素晴らしい角度らしいです。

「だるま山高原レストハウス」からのぞむ富士山。写真提供/伊豆市

素晴らしい富士山を見たら、西伊豆スカイラインを南下します。この道路は高原道路としては、樹木が少なく視界が開けていて大変走りやすい! ダイナミックな山間の景色を堪能できる、ハードボイルド気分に浸りやすい道路。1度は走っていただきたいですね。

樹木も、交通量も少ない西伊豆スカイライン。

西伊豆スカイラインを仁科峠から西に折れ、宇久須(うくす)という町に降りて海岸に出ます。このあたりは、首都圏の近くでは最も野趣溢れる海岸線といえるでしょう。
南に行けば行くほどどんどん交通量も人も減っていき、石廊崎に近づくに連れて、どんどん景色がダイナミックに雄大になっていきます。

西伊豆の海岸線。写真下は愛車のひとつ、軽トラと西伊豆の漁港。
目的地の石廊崎に立つ。

山間も海岸線も楽しめるこのルート。修善寺までは多少道路が混んでいるかもしれませんが、そこは少し我慢を。西伊豆エリアはほぼ渋滞はなく、ストレスフリーでドライブを楽しめると思います。

中部山岳コース/松本(長野県)~神岡(岐阜県)

私は城も好きで現存天守12城は全部行ったのですが、個人的に、堀に天守がはっきり映る松本城の佇まいが日本一だと思っています。その松本城を堪能してから上高地や穂高の自然を楽しむコースです。

天守は日本唯一の黒漆塗り。現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝の城。

松本を出たらひたすら西へ。途中、バスターミナルに車を停めて上高地に寄ったり、白骨(しらほね)温泉などの温泉地がいっぱいあるので、立ち寄り湯を楽しんだりするのもいいと思います。

北アルプス・乗鞍岳の山麓にある白骨温泉でひと休みしても。

そこから、標高1,800メートルほどある安房峠(あぼうとうげ)へ向かいますが、途中の道がすごく狭く、トンネルも古くて、「こんなレトロな道がまだあったんだ」と懐かしさも覚えます。

安房峠までは狭い山道が続きます。
長野県松本市と岐阜県高山市の県境にある安房峠

安房峠を抜けると、高山と神岡に向かう道に分かれます。どちらに進むかですが、高山ってメジャーじゃないですか(笑)。もちろん高山もいいのですが、観光客でいっぱいですし道路も混むので、交通量も少ない神岡を目指して、美しい山岳風景とともにドライブします。 神岡は鉱山の町で、すべて閉山していますが昭和レトロな街並みが今も残っています。神岡での私のオススメは、廃線した旧上岡鉄道のレールの上を電動アシスト付き自転車で走る「レールマウンテンバイク ガッタンゴー」。これがとっても楽しかったんです。鉄道の上を自分で自転車をこいで奔るって、中高年男性ならやってみたい方も多いと思います。ぜひ体験していただきたいです。 

山陰海岸コース/天橋立(京都府)~鳥取砂丘(鳥取県)

関東に住んでいると行くことが少ない、山陰海岸。このコースは、超メジャースポットではありますが一度は見ておきたい天橋立(あまのはしだて)から出発します。

日本三景のひとつ、天橋立。全長約3.6キロメートルの砂州に約6,700本もの松が生い茂る珍しい地形。

天橋立から北上して、伊根の舟屋(いねのふなや)へ。

京都府・伊根湾に「舟屋」が約230軒、軒を連ねています。

通過するだけでもよいので見ておきたいスポットですが、時間があれば伊根湾めぐり遊覧船に乗るのがベストです。乗り場の横に専用の駐車場があるので(時期によっては満車の可能性もありますが)、クルマを停めて、確実に舟屋を満喫できます。

伊根の舟屋を通過して経ヶ峰から鳥取砂丘を過ぎたあたりまでの海岸線は、山陰海岸ジオパークに指定されているエリアで、ずーーーーっと、ただただ海岸美が続きます。

「何?ここはパラダイス?」って思ってしまうくらい岩石海岸が美しい。竜宮城みたいな形をした、大きな穴の開いた岩がそこらじゅうにあって、車を停めて海岸線にトコトコ降りて立ち寄りたくなります。見たことのない自然の景色があまり知られずにそこにあることだけで「うわぁ!」と感動してしまいます。最高です。

大きな岩の島が並ぶ、鳥取市浦富海岸。

途中、城崎(きのさき)温泉に立ち寄ってもいいと思いますし、鉄道好きなら余部橋梁を見るのもいいですね。

高さ約40メートルの余部橋梁。

車もあまり走ってないですし、“山陰の海岸美をひとりじめ!”といったコースです。

しまなみ海道から四万十川コース/尾道(広島県)~足摺岬(高知県)

尾道をスタートして、本州連絡橋3ルートのなかでも、風情満点のしまなみ海道を渡り、四国の足摺岬へ向かうコースです。
尾道から今治までの瀬戸内海は、しまなみ海道の橋の上から見るとあまりわからないかもしれませんが、潮流が速く、これまたダイナミック!
村上海賊の拠点となった島や伯方の塩が作られている島などもあり、フェリーに乗ってひとつひとつの島を満喫するのもいいかもしれません。

しまなみ海道を渡って、名城の多い四国へ。城好きなら、ドライブをしながら今治城や松山城に立ち寄るのがオススメです。
松山から海岸通り沿いをずっと走っていくと、JR予讃(よさん)線の下灘駅という非常に有名な駅があるんです。ホームに立つと、すぐ向こうに海が広がっているような景色で、「こんな素敵な駅があるんだ!」と思いますね。

海際に建っているようにみえる下灘駅は“映え”スポットとしても人気。

そこから武家屋敷などが残る城下町・大洲へ。大洲城は、天守は再建ですが、大変風情がいい城。街並みもとても風情があるので、訪ねる価値があると思います。

宇和島までは、高速道路や国道もありますが、できれば海岸まで出て海岸線をずっと走っていただきたいです。
八幡浜から宇和島くらいまでの海岸線は、急な斜面にみかん畑が続き、海にはたくさんの島が浮かんでいて本当に美しい。地元の人が運転する軽トラが走っているくらいで、道もすいていて、本当に癒やされます。

海のすぐそばに山がせまる宇和島の海岸線。

宇和島からは内陸に入り、四万十川沿いを走ります。
四万十川といえば、やっぱり沈下橋(ちんかばし)ですよね。ここを渡りたい!
地元の方は平気で車で渡りますけど、欄干がないので初めて車で渡るときはびびりますよ。かなりドキドキすると思います。

増水時に川に沈むように設計された沈下橋。

四万十市に入ってからは、ゴールの足摺岬を目指します。
足摺岬は景色が本当にダイナミック。地元出身のジョン万次郎の像もありますので、立ち寄るのもいいと思います。

四国最南端の岬、足摺岬。約80メートルの岩が崖となってそそり立っています。

清水草一さん/自動車評論家、モータージャーナリスト。自動車関連の雑誌や媒体で幅広く活動し、独自の視点と軽妙な文体で人気を集めている。車に関する著書多数。

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