
木原龍一(きはら りゅういち)選手は、三浦璃来選手との「りくりゅう」ペアで日本フィギュア界の歴史を塗り替え続ける開拓者です。2025年の世界選手権で2度目の王座に輝き、世界ランク1位として自身4度目となる2026ミラノ冬季国際大会へ。日本ペア史上初の個人戦金メダルという、未踏の夢を掴む準備は整っています。
■プロフィールと基本情報
| 項目 | 内容 |
| 氏名 | 木原 龍一(きはら りゅういち) |
| 生年月日 | 1992年8月22日 |
| 出身地 | 愛知県東海市 |
| 身長 | 175cm |
| 所属 | 木下グループ |
| パートナー | 三浦 璃来 |
| 過去のパートナー | 高橋成美、須崎海羽 |
| 趣味 | ゲーム、野球観戦 |
木原選手は、日本におけるペア競技の地位を確立した功労者です。175cmとペアの男性としては決して大柄ではありませんが、それを補って余りある鍛え抜かれた肉体と、経験に裏打ちされた確かな技術を持っています。
■来歴:シングル時代の挫折と、ペアへの転向という「覚悟」
木原選手の歩みは、決して平坦なものではありませんでした。
- シングルス時代: 4歳でスケートを始め、ジュニア時代には全日本ジュニア選手権2位、世界ジュニア選手権10位などの実績を残しました。しかし、シニア転向後は層の厚い日本男子シングルの中で苦しみ、「自分にしかできないことは何か」を模索する日々が続きます。
- ペアへの転換(2013年): 日本ペア界の強化のため、連盟からの打診を受けてペア転向を決意。当初は「シングルでの夢を諦める」という葛藤もありましたが、日本代表として貢献したいという強い責任感が彼を突き動かしました。
- 孤独な闘い: 日本はペアの練習環境が乏しく、パートナーの解消も経験。12年前、8年前の国際大会にも出場しましたが、当時は「自分はまだペアスケーターとして未熟だ」という引け目を感じていたと後に語っています。一時は引退を考え、アルバイトをしながら将来を模索した時期もありました。
そんな彼の運命を変えたのが、2019年の三浦璃来選手との出会いでした。彼女の明るさと卓越した才能が、木原選手の中に眠っていた「勝ちたい」という情熱を再び呼び覚ましました。
■主要大会での実績
「りくりゅう」結成以降、木原選手のキャリアは劇的な進化を遂げました。
- 2021-22シーズン: 4年前の大規模国際大会にて、日本ペア初となる7位入賞。団体戦での日本の銀メダル獲得にも決定的な役割を果たしました。
- 2022-23シーズン: GPファイナル、四大陸選手権、世界選手権のすべてで優勝し、「年間グランドスラム」を達成。日本ペアとして世界の頂点に立つという、かつての日本スケート界では想像もできなかった偉業を成し遂げました。
- 2023-24シーズン: 腰の怪我(腰椎分離症)により長期離脱を余儀なくされましたが、復帰戦となった世界選手権で銀メダルを獲得。不屈の精神を見せつけました。
- 2024-25シーズン: 2025年3月、ボストンで開催された世界選手権でライバルを0.71点の僅差で抑え、2度目の世界王者に返り咲きました。
- 2025-26シーズン: 12月のGPファイナルで優勝。最高のコンディションで今回のミラノでの国際大会を迎えています。
■技術とパフォーマンス:究極のサポート能力とメンタル
木原龍一というスケーターの真髄は、パートナーを輝かせる「究極のサポート能力」にあります。
1. 安定感抜群の「リフト」と「キャッチ」
木原選手のリフトは、氷上での揺れが極めて少なく、三浦選手が空中で安心してポーズに集中できる土台を作ります。また、ツイストリフトでのキャッチの正確さは世界随一。パートナーの体重移動を指先一つで感じ取り、衝撃を最小限に抑える技術は、10年以上のペアキャリアの賜物です。
2. シングル時代に培ったスケーティング
多くの海外ペア選手が苦労する「サイドバイサイド(二人並んでのジャンプやスピン)」において、木原選手は元シングル選手としての高いジャンプ技術を維持しています。二人のジャンプが完全にシンクロする瞬間は、ジャッジから高い加点を引き出す大きな武器となります。
3. 「導く力」と「包容力」
三浦選手が「龍一くんがいたから頑張れた」と語る通り、彼の最大の強みはメンタル面にあります。怪我や不調の際も、決してパートナーを責めず、常に前向きな言葉をかけ続ける。三浦選手の勢いを最大限に活かしつつ、後ろからどっしりと支える彼の包容力が、「りくりゅう」の爆発的なスピード感を生み出しています。
■出場種目の詳細とライバル
【種目:ペアスケーティング】
スピードに乗ったスケーティングから繰り出されるアクロバティックな技が魅力。ミラノ・コルティナ大会のペア競技は、技術点(TES)と演技構成点(PCS)の合計で競われ、特にエレメンツの「質(GOE)」が勝負を分けます。
【主要ライバル】
- ハーゼ/ヴォロジン組(ドイツ): 2025年世界選手権で木原組と激闘を繰り広げた最大のライバル。ミスが極めて少なく、常に高い得点を安定して出す「精密機械」のようなペアです。
- コンティ/マチー組(イタリア): 今大会の開催国、イタリアの英雄。地元の大声援を背に、芸術性の高いプログラムで挑んできます。会場全体が彼らの味方になる中、いかに冷静に滑れるかが鍵となります。
- ステラート=デュデク/デシャン組(カナダ): パワー溢れる演技が特徴。木原選手と同世代のステラート選手(42歳での挑戦)が見せる執念は、大きな脅威となります。
■メダル獲得及び入賞の可能性と期待、注目ポイント
今回のミラノ・コルティナでの国際大会において、木原龍一選手が金メダルを手にする可能性は非常に高いと言えます。
木原選手にとって、これが4度目、そして集大成とも言える国際大会です。注目すべきは、プログラムの成熟度です。今シーズンのフリープログラムでは、二人の出会いから現在までの歩みを投影したような、エモーショナルな演技を披露しています。
特に後半に組み込まれたスロー3回転ジャンプや、力強いコリオシークエンスは、観客の涙を誘うほどの完成度です。2023年の腰の怪我を乗り越え、さらに強固になった肉体と精神。三浦選手との深い「絆」から生まれる唯一無二の多幸感あふれる滑りは、必ずやジャッジの心を打ち抜くでしょう。
日本のペアが、4年に一度のこの最高の舞台で表彰台の真ん中に立ち、日の丸を掲げる。その瞬間は、もう目の前まで来ています。苦労人・木原龍一が報われる時。その歴史的な瞬間を見逃すわけにはいきません!






