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“氷上の絹”、鍵山優真 ― 父と歩んだ軌跡が、ミラノで黄金の輝きへ

“氷上の絹”、鍵山優真 ― 父と歩んだ軌跡が、ミラノで黄金の輝きへ

鍵山優真(かぎやま ゆうま)選手は、北京での国際大会銀メダリストであり、世界トップクラスのスケーティング技術を誇る日本男子フィギュアのエースです。父・正和氏との絆、そしてカロリーナ・コストナー氏の指導により磨かれた表現力を武器に、ミラノで開催される今回の国際大会で悲願の金メダル獲得と、史上最高の演技を目指します。


■プロフィールと基本情報

項目内容
氏名鍵山 優真(かぎやま ゆうま)
生年月日2003年5月5日
出身地神奈川県横浜市(出生は富山県、育ちは佐賀県・神奈川県)
身長161cm
所属オリエンタルバイオ / 中京大学
コーチ鍵山 正和、カロリーナ・コストナー、佐藤 操
趣味ゲーム、アニメ鑑賞

鍵山選手は、1992年アルベールビル、1994年リレハンメルと二度の国際大会に出場した鍵山正和氏を父に持つ、まさにフィギュア界の「サラブレッド」です。しかし、その輝かしい経歴は血筋だけでなく、血の滲むような努力と、怪我を乗り越えた強靭な精神力によって築き上げられてきました。


■来歴:父の背中を追い、横浜のリンクから世界へ

鍵山選手のスケート人生は、父・正和氏がコーチを務めていた富山県のリンクで、5歳の時に始まりました。

  • 父子鷹の始まり: 幼少期から父の指導を仰ぎ、基本を徹底的に叩き込まれました。父が仕事で転勤するたびに、富山、佐賀、神奈川と拠点を移しながらも、常に氷の上に立ち続けました。
  • ジュニア時代の台頭: 2019-2020シーズン、ジュニアの国際大会で一気に頭角を現します。ユース国際大会での金メダル、そして四大陸選手権での銅メダル獲得は、シニア勢を脅かす「驚異の16歳」として世界中に衝撃を与えました。
  • 「鍵山正和の息子」から「鍵山優真」へ: 当初は偉大な父の名前が先行することもありましたが、誰にも真似できない柔らかい膝のクッションと圧倒的なスケーティングスピードで、瞬く間に自らの実力を証明。日本の次世代エースとしての地位を不動のものにしました。

■主要大会での実績:銀メダルから「真の王者」への飛躍

北京での国際大会以降、鍵山選手は苦難を乗り越え、さらなる高みへと到達しました。

  • 2022年 北京での国際大会: 初出場ながら、ショートプログラム・フリーともに自己ベストを更新する圧巻の演技で、個人戦銀メダルを獲得。団体戦でも日本のメダル獲得に多大な貢献を果たしました。
  • 怪我からの復帰: 2022-23シーズン、左足首の怪我により長期戦線離脱を余儀なくされました。しかし、この休息期間を「表現力を磨く時間」と捉え、心身ともにアップデートを図りました。
  • 2023-24シーズン: 復帰戦となったグランプリシリーズで見事表彰台へ。NHK杯での優勝、そして世界選手権での銀メダル獲得により、世界トップクラスへ完全に返り咲いたことを証明しました。
  • 2024-25シーズン: カロリーナ・コストナー氏とのタッグが本格化し、演技構成点(PCS)で世界最高峰の評価を得るように。世界選手権では、ライバルたちと歴史的なハイレベルの戦いを繰り広げました。

■技術とパフォーマンスの分析:Silk on Iceと「魔法の膝」

鍵山優真の強さは、ジャンプの難易度だけではありません。その「滑りの質」そのものが、他の選手とは一線を画しています。

1. 「Silk on Ice(氷上の絹)」と称されるスケーティング

鍵山選手のスケーティングは、氷との摩擦を感じさせないほど滑らかです。一蹴り(ワンストローク)でリンクの端から端まで到達するような伸びがあり、スピードを維持したままジャンプの踏み切りに入ることができるため、ジャンプそのものに無理な力が入りません。

2. 世界一と評される「膝」のクッション

ジャンプの着氷時、彼の膝はまるで最高級のショックアブソーバーのように深く、柔らかく衝撃を吸収します。これにより、着氷後もスピードが死ぬことなく、流れるような演技の継続が可能になります。この「膝」があるからこそ、高い出来栄え点(GOE)を安定して引き出せるのです。

3. カロリーナ・コストナー直伝の「表現力」

2023年からコーチングスタッフに加わった元世界女王、カロリーナ・コストナー氏の影響により、手の指先や首の角度、音楽の解釈といった芸術面が劇的に進化しました。かつての「技術の鍵山」に「芸術の鍵山」が加わり、今や技術・構成の両面で隙のないスケーターとなりました。


■出場種目の詳細とライバル:ミラノで激突する「4回転の神」

【種目:フィギュアスケート 男子シングル】

ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2種目の合計点で競われます。近年、男子シングルは「超多回転時代」を迎え、4回転ジャンプの数と質、そして演技の完成度の双方が極限まで求められます。

【主要ライバル】

  • イリア・マリニン(アメリカ): 「4回転の神」の異名を持ち、世界で唯一4回転アクセル(4A)を完璧に操る最大のライバル。圧倒的な基礎点(BV)を誇る彼に対し、鍵山選手がいかに完成度と芸術性で対抗するかが今大会最大の焦点です。
  • アダム・シャオ・イム・ファ(フランス): 独創的なプログラム構成と力強いジャンプが武器。ヨーロッパ王者としてのプライドを胸に、表彰台の頂点を狙います。
  • 三浦佳生 & 佐藤駿(日本): 同じ日本代表であり、共に切磋琢磨してきた同世代のライバル。爆発的なスピードを持つ三浦選手、正確なジャンプを武器にする佐藤選手との「日本勢による表彰台独占」の期待もかかります。

■メダル獲得の可能性と期待の注目ポイント

今回のミラノ・コルティナでの国際大会において、鍵山優真選手のメダル獲得の可能性は極めて高いと言えるでしょう。

鍵山選手の勝機は、「ノーミス」の演技にあります。マリニン選手がジャンプの難易度で攻めてくるのに対し、鍵山選手はすべてのエレメンツで最高級の出来栄え(GOE)を揃え、演技構成点(PCS)で圧倒するという戦術になります。

また、今大会では4回転フリップなどの高難度ジャンプの導入も噂されており、彼が「攻めの構成」で挑むのか、それとも「完璧な質」を優先するのか、その戦略的な決断にも注目が集まります。

「北京での銀メダルは、僕にとってのスタートライン。ミラノでは、父と一緒に最高の景色を見たい」

そう語る鍵山選手の瞳には、4年前よりも遥かに強い決意が宿っています。怪我の苦しみを乗り越え、芸術という翼を手に入れた氷上のサラブレッドが、ミラノの地で父・正和氏の夢をも背負い、最高の笑顔で表彰台の頂点に立つのも、決して夢物語ではないでしょう。

頑張れ、鍵山優真選手!その滑らかな軌跡の先に、輝ける未来が待っています!

参照元:【世界フィギュアスケート選手権2025】男子・ショートプログラム 鍵山優真選手<ノーカット>
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