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イタリアの”ビッグエア”に特大「ココモ」の放物線 ― 村瀬心椛、最終3本目を完璧さ史上初逆転金メダル

イタリアの”ビッグエア”に特大「ココモ」の放物線 ― 村瀬心椛、最終3本目を完璧さ史上初逆転金メダル

2026年ミラノで開催された国際大会。スノーボード女子ビッグエアおよびスロープスタイルにおいて、村瀬心椛選手が成し遂げた快挙は、単なるメダル獲得以上の「歴史の転換点」となりました。

世界初の大技を武器に、プレッシャーを笑顔で跳ね除けた彼女の軌跡を、情熱を込めて振り返ります。


日本が誇る「雪上の女王」の成果

村瀬心椛(むらせ ここも)選手は、岐阜県出身のプロスノーボーダーです。17歳で出場した2022年の国際大会で銅メダルに輝き、日本女子最年少記録を樹立。今回の2026年ミラノでの国際大会では、女子史上初となる「1620」を成功させ、スロープスタイルとビッグエアで圧巻のパフォーマンスを披露し、悲願の金メダルを獲得しました。


村瀬心椛選手のプロフィールと基本情報

項目内容
氏名村瀬 心椛(むらせ ここも)
生年月日2004年11月7日(21歳)
出身地岐阜県岐阜市
所属TOKIOインカラミ スノーボード部
スタンスレギュラー
主な種目スロープスタイル、ビッグエア
愛称ココモ、ココ

来歴:岐阜の室内ゲレンデから世界の頂点へ

村瀬選手の物語は、4歳の時に父の影響でスノーボードに出会ったことから始まりました。岐阜県という、本格的な雪山までは距離がある環境ながら、彼女の才能を育んだのは地元の室内練習施設「スノーヴァ羽島」でした。

  • 「天才少女」の萌芽:
    小学4年生で早くもプロ資格を取得。その頃から、大人顔負けの回転数と高さを誇り、関係者の間では「とんでもない子が現れた」と噂されていました。
  • 衝撃の世界デビュー:
    中学1年生だった2018年、最高峰の大会「X Games」に初出場。そこで並み居るトッププロを抑え、大会史上最年少での優勝を果たしました。この時、女子では非常に珍しかったバックサイド・ダブルコーク1260を成功させ、世界にその名を轟かせたのです。

同じくスノーボーダーとして活躍する妹の由徠(ゆら)選手とは、切磋琢磨し合う最高のライバルであり、最大の理解者。家族の支えを背に、彼女は「楽しいから滑る」という初心を忘れることなく、ストイックに技を磨き続けてきました。


これまでの主要大会での実績

ミラノの国際大会に至るまでの道のりは、栄光と、それを上回る「渇望」に満ちていました。

  1. 2022年 北京での国際大会:
    17歳で挑んだビッグエアで見事に銅メダルを獲得。しかし、本人は「金を目指していた」と悔しさを露わにし、この経験がその後の4年間の原動力となりました。
  2. 2023/24 シーズン ワールドカップ:
    スロープスタイルで種目別年間優勝、ビッグエアでも上位を独占し、総合優勝のクリスタルトロフィーを手にしました。
  3. 2025年 世界選手権:
    ビッグエアで優勝。名実ともに「世界最強」の称号を手にし、ミラノへと乗り込みました。
  4. 2026年1月 X Games Aspen:
    ミラノ直前のこの大会で、女子史上初となる「バックサイド1620(4回転半)」を成功させ優勝。最高の状態で本番を迎えました。

技術とパフォーマンスの分析:重力を置き去りにする「1620」

村瀬選手の強さは、男子顔負けの**「圧倒的な空中感覚」「着地の精度」**に集約されます。

  • バックサイド・トリプルコーク1440/1620:
    縦3回転、横4回転から4回転半へと進化させたこの技は、現在の女子スノーボード界における「最終兵器」です。2026年大会の決勝で見せた1620は、高さ、飛距離、そして掴み(グラブ)の持続時間、すべてにおいてパーフェクトでした。
  • レールの創造性:
    スロープスタイルにおける障害物(レールやボックス)の攻略も彼女の武器です。単に滑り降りるだけでなく、複雑な回転を加えて乗り、そこからまた回転して降りる。その一つひとつの動作が「アート」と評されるほどスタイリッシュです。
  • 異次元のタフネス:
    細身の体格からは想像できない体幹の強さを持っており、着地が少し乱れても力でねじ伏せて耐えきる「リカバリー能力」は世界一と言っても過言ではありません。

出場種目と今大会のライバル

ミラノ大会のスノーボード会場、リヴィーニョの特設コースは、標高が高く雪質も硬い非常にタフなコンディションでした。

熾烈を極めたライバルたち

  • ゾーイ・サドウスキー=シノット(ニュージーランド):銀メダル
    前回の国際大会金メダリスト。抜群の安定感を誇り、村瀬選手とは長年トップを争う最大の宿敵です。
  • ミア・ブルックス(イギリス): 10代ながら驚異的な身体能力を持つ若き天才。
  • 岩渕麗楽(日本):11位
    日本代表の盟友。トリプルコークを武器に、共に表彰台を狙う強力なライバル。

劇的な決着

予選を2位で通過した村瀬選手は、決勝2本目に勝負をかけました。放たれたのは「バックサイド1620」。極寒の空を4回転半、完璧に回りきり、着地を決めた瞬間、会場は割れんばかりの歓声に包まれました。


メダル獲得の最大の要因:自分を信じる「心の強さ」

なぜ、村瀬選手はこれほどの重圧の中で、過去最高のパフォーマンスを出せたのでしょうか。その要因は、技術の進化以上に「メンタルの成熟」にありました。

4年前の国際大会では、「勝たなければならない」という重圧に押しつぶされそうな場面もありました。しかし今大会の彼女は、常に笑顔でした。「結果よりも、自分が納得できる最高の滑りを見せたい。そして、スノーボードを楽しみたい」というポジティブなマインドが、極限の状態での集中力を引き出したのです。

また、女子スノーボード界全体のレベルを底上げしようとする彼女の「開拓者精神」も大きな要因です。「誰かがやらなければ、女子のレベルは上がらない」と、常にリスクを恐れず新技に挑戦し続けた姿勢が、ミラノの地で女神を引き寄せたのです!

さぁ、一週間後に控えるスロープスタイルでも、果たして栄冠なるか。2種目制覇という歴史的偉業はもうすぐ目の前です!

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