
堀島行真(ほりしま いくま)選手は、岐阜県出身の日本を代表するモーグル選手です。2022年の北京国際大会で銅メダルを獲得し、日本男子に初のメダルをもたらしました。続く2026年ミラノ国際大会でも、世界最高難度のエアと圧倒的なスピードを武器に、2大会連続となる銅メダルを獲得。世界屈指の安定感と実力を改めて証明しました。
■プロフィールと基本情報
| 項目 | 内容 |
| 氏名 | 堀島 行真(ほりしま いくま) |
| 生年月日 | 1997年12月11日(28歳) |
| 出身地 | 岐阜県揖斐郡池田町 |
| 所属 | トヨタ自動車 |
| 主な戦績 | 2022年・2026年国際大会 銅メダル、2017年世界選手権2冠、W杯年間総合優勝 |
「モーグルのために生きている」と称されるほど、その生活のすべてを競技に捧げる孤高のスキーヤーです。座右の銘は「自分を信じる」。どんな苦境でも自分を見失わず、攻めの姿勢を貫くスタイルが持ち味です。
■来歴:幼少期から注目される直前まで
堀島選手のスキー人生は、歩き始めたばかりの1歳から始まりました。岐阜県の揖斐高原スキー場を遊び場にし、4歳の頃にはすでにモーグルのコースを滑り始めていたといいます。
- 「負けず嫌い」が育てた天才:
少年時代の堀島選手を象徴するエピソードに、練習を絶対に止めないというものがあります。リフトが止まっても自力で斜面を駆け上がり、納得がいくまで滑り続ける。その執念に近い情熱が、彼の並外れた体幹と技術の礎となりました。 - 中京大学での覚醒:
地元・岐阜の池田町から、スキーの名門校を経て中京大学へ進学。ここで、科学的なトレーニングと緻密な分析を取り入れるようになります。2017年の世界選手権では、当時最強だったミカエル・キングズベリーを破り、モーグルとデュアルモーグルの2冠という、男子史上初の快挙を19歳の若さで成し遂げ、一躍世界の主役へと躍り出ました。
■これまでの主要大会での実績
堀島選手のキャリアは、常に「頂点への挑戦」と「挫折からの復活」の繰り返しでした。
- 2018年 韓国での国際大会:
世界選手権王者として挑んだ初めての舞台でしたが、決勝で転倒し11位に終わります。この「世界一の難しさ」を知った経験が、彼を真のプロフェッショナルへと変えました。 - 2022年 北京での国際大会:
「今度こそ」の決意で挑み、日本男子モーグル界に初めてのメダル(銅メダル)をもたらしました。歴史を作った一方で、本人は「一番いいメダルではなかった」と悔しさを露わにしました。 - ワールドカップでの死闘:
長年、カナダのレジェンド、ミカエル・キングズベリーと世界一の座を争い続けてきました。毎試合のように1位、2位を分け合うハイレベルな戦いは、モーグル界の歴史に残る黄金時代を築いています。
■技術とパフォーマンスの分析:なぜ「世界のトップ」に居続けられるのか
堀島選手のライディングは、計算し尽くされた「力学」と、本能的な「野生」の融合です。
1. 異次元のカービングターン
モーグルは通常、コブの衝撃をいなすためにスキーを横に振る動きが混ざりますが、堀島選手は板を真っ直ぐに落とし、エッジを深く雪面に食い込ませる「カービング」の意識が非常に高いのが特徴です。これにより、コブの中で加速するという、物理の常識を超えたスピードを生み出します。
2. エアの絶対的な安定感
空中動作(エア)においても、彼は一切の妥協を許しません。今大会でも披露した「コーク1080(3回転)」は、軸のズレが極限まで抑えられ、着地した瞬間に次の一ターンを開始できる準備が整っています。この「着地からターンへの連動」の速さは、世界でも群を抜いています。
3. 「思考」のアップデート
堀島選手は、ビデオ解析だけでなく、自身の体の動きを言語化する能力に長けています。雪質や斜度に合わせて、板のしなりをミリ単位でコントロールする「感覚の解像度」の高さが、ベテランになっても進化を止めない秘訣です。
■出場種目と今大会のライバル
【種目:男子モーグル】
舞台となったミラノ近郊のリヴィーニョは、非常に硬く締まった雪質と、深いコブが続くテクニカルなコースでした。
宿命のライバルたち
- クーパー・ウッズ(オーストラリア):金メダル
最大の武器は、「誰にも真似できない滑走ラインのタイトさ」を活かし、抜群の安定感で見事表彰台の頂点に立ちました。 - ミカエル・キングズベリー(カナダ):銀メダル
今大会も「史上最強」の名に恥じない、完璧なターンを披露。ミスを全くしない精神力ながら、今回はウッズ選手の前に屈しました。
決勝のドラマ
堀島選手は最終スーパーファイナルで、攻めの姿勢を崩しませんでした。第1エアでスムーズにダブルフルを着実に決めると、得意のカービングターンが冴えわたり、第2エアでは、4回転のコークスクリュー1440を完璧に決めて、ガッツポーズ。自身も納得の会心の滑りで83.44点をマークし、僅差で後続を振り切り、2大会連続の銅メダルを確定させました。
■メダル獲得の最大の要因:4年間の「葛藤」を力に変えた精神力
堀島選手が今回、再び表彰台に登れた最大の要因は、「自分の弱さを受け入れたこと」にあります。
前回の北京大会以降、彼は「金メダル以外は意味がない」という極限のプレッシャーの中にいました。しかし、この4年間で彼は、結果だけではなく「自分が理想とするモーグルを表現すること」に価値を見出すように変化しました。
今大会の直前、彼は「メダルの色はコントロールできないが、自分の滑りはコントロールできる」と語っていました。その境地に至ったことで、プレッシャーで体が硬くなることを防ぎ、ミラノの荒れたコースでも自分の滑りを貫き通すことができたのです。
2大会連続の銅メダル。それは、世界中が認める「モーグルの化身」としての揺るぎない実力の証です!





