
スポーツで最高のパフォーマンスを発揮するには、ただ体を動かすだけのウォームアップでは不十分です。目的が曖昧だったり、やりすぎたりすると、かえって逆効果になることもあります。
本稿では末尾の動画をもとに、トップスプリンターも実践するウォームアップをわかりやすく解説します。
Step1 ジョギング
ウォームアップの第一段階は、軽めのジョギングです。目的は筋肉の温度を高めること。
体温が上がることで神経伝達速度や筋収縮の効率が向上するというデータがあります。瞬発力勝負の短距離種目において、体温・筋肉の温度は非常に重要です。
少なくとも最大心拍数の50%以上を目安に、ゆっくりとしたペースで5分程度の軽いジョギングを行いましょう。
Step2 動的ストレッチ
ジョギングの後には、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)を行います。
ジョギングの後、7分間のダイナミックストレッチを加えると、瞬発的な動作のパフォーマンスが7〜8%向上すると報告されています。ダイナミックストレッチを行う目的は、部位ごとの筋肉の温度を上げること、柔軟性を上げることで怪我を予防することです。
いくつか種目の例を挙げます。
キックバック
四つん這いで片足をお尻の高さまであげ、太腿は地面と平行を保ったまま、膝を曲げ踵でお尻を蹴ります。太腿前面の筋肉が伸びていることを意識しましょう。
太腿裏のダイナミックストレッチ
直立の状態からスクワットのようにお尻を後ろに突き出し、膝が前に出ないように腰を落とします。その際同時に両腕を頭の上へ上げます。お尻と太腿の裏側の伸び感を感じましょう。
背中のダイナミックストレッチ
歩きながら前に出した足の反対の手でつま先をタッチします。背中の下部のストレッチ感を感じましょう。
Step3 スプリントドリル
スプリントドリルをすることで、身体を温めながら技術的なトレーニングをしていきます。
Step4 流し→スプリント
仕上げとして流しとスプリントを行います。
流しは徐々にスピードを上げることが大切です。
ウォームアップの最後にスプリントを入れることで、瞬発系の競技において2〜3%パフォーマンスがアップするという報告がありますが、これは30m程度の短いものなので注意してください。ウォームアップの目的は身体を温めることです。100mを何本も走るなどの高強度の種目はあまりやる必要がありません。
疲労の関係から、これらStep1〜4を休憩含め25分以内に収めることがよいとされています。しかし、この4つを25分以内となるとなかなか現実的には難しいため、試合前だけスプリントドリルを減らすなどして調整してみてください。