
2026年ミラノ・コルティナ国際大会、スノーボード男子ハーフパイプ。かつての苦い記憶を、世界中が息を呑むほどの「完璧な滑り」で塗り替えた、戸塚優斗選手が堂々金メダルを獲得しました!
戸塚優斗(とつか ゆうと)選手は神奈川県出身。今回のミラノ国際大会スノーボード男子ハーフパイプで、悲願の金メダルを獲得しました。前回大会の負傷転倒という悪夢を乗り越え、世界最高難度のルーティンを完遂。緻密な計算と不屈の精神で、ついに世界の頂点に返り咲きました。
■プロフィールと基本情報
| 項目 | 内容 |
| 氏名 | 戸塚 優斗(とつか ゆうと) |
| 生年月日 | 2001年9月27日(24歳 ※2026年大会時) |
| 出身地 | 神奈川県横浜市 |
| 所属 | ヨネックス |
| スタンス | レギュラー |
| 主な武器 | フロントサイド・トリプルコーク1440、圧倒的なエアの高さ |
戸塚選手は、雪国出身ではない「都市型スノーボーダー」の先駆け的な存在です。冷静沈着なプレイスタイルから「スノーボード・マシーン」と称されることもありますが、その内側には誰よりも熱い闘志を秘めています。
■来歴:幼少期から注目される直前まで
神奈川県横浜市という、雪とは縁遠い環境で育った戸塚選手がスノーボードと出会ったのは、わずか3歳の時でした。
- 週末のロングドライブ: 両親の影響でスノーボードを始めた彼は、週末のたびに横浜から数時間かけて長野や山梨のスキー場へ通いました。平日は近所の公園や室内練習場でスケートボードに励み、空中感覚を養う日々。
- 室内施設「カムイみさか」での修行: 彼の技術を決定づけたのは、山梨県にある室内ハーフパイプ施設での練習です。季節を問わず滑ることができる環境で、彼は来る日も来る日も同じ壁を登り、基本技術を徹底的に体に叩き込みました。
- 彗星のごとく現れた中学生: 中学3年生で全日本選手権を制し、瞬く間にナショナルチーム入り。2017年のワールドカップデビュー戦でいきなり優勝するという衝撃的なデビューを飾り、「平野歩夢を脅かす存在」として一躍脚光を浴びました。
■これまでの主要大会での実績
戸塚選手のキャリアは、常に「あと一歩」の悔しさと、それをバネにした驚異的な進化の連続でした。
- 2018年 韓国での国際大会: 16歳で初出場。しかし、決勝の試技中にパイプの縁(リップ)に激突し、救急搬送されるという壮絶な幕切れとなりました。
- 2021年 世界選手権: スコッティ・ジェームズ(オーストラリア)を破り、初優勝。この勝利で「世界最強」の称号を手にしました。
- 2022年 北京での国際大会: 金メダル候補筆頭として挑むも、決勝で本来の滑りができず10位。「人生で一番悔しい」と語ったこの経験が、ミラノへの最大の原動力となりました。
- X Games: 招待制の最高峰大会で何度も表彰台に登り、名実ともに世界のトップライダーとしての地位を確立しました。
■技術とパフォーマンスの分析:なぜ「世界最高」なのか
戸塚選手の滑りが他の選手と一線を画すのは、「高さ」と「緻密さ」の両立にあります。
- パイプの使い方の巧みさ: 横浜の室内施設で培った「壁を真っ直ぐに駆け上がる」技術。これにより、リップから飛び出す瞬間のロスを最小限に抑え、女子トップ選手を凌駕するほどの圧倒的な高さを生み出します。
- 「トリプルコーク1440」の精度: 縦3回転、横4回転という人間離れした大技。戸塚選手のそれは、軸が一切ブレず、着地時にボードが雪面に吸い付くような安定感があります。
- グラブ(板を掴む動作)の長さ: どんなに複雑な回転をしても、空中で板を掴む時間が非常に長い。これがジャッジに「余裕」と「スタイル」を印象付け、高いスタイルポイントに繋がっています。
■出場種目と今大会のライバル
【種目:男子ハーフパイプ】
舞台はミラノ・コルティナ大会の聖地の一つ、リヴィーニョ。
宿命のライバルたち
- スコッティ・ジェームズ(オーストラリア):銀メダル
「守護神」の異名を持つ絶対王者。完璧な安定感と美しさを誇り、戸塚選手にとって最大の壁でした。 - 平野 海祝(日本): 世界一のエアの高さを誇る日本のチームメイト。
- バレンティーノ・グセリ(オーストラリア): 若手NO.1の爆発力を持つ成長株。
決勝のドラマ
決勝1本目、スコッティ・ジェームズ選手が93.50点のハイスコアを出し、会場は「やはり王者か」というムードに。しかし、戸塚選手は冷静でした。
迎えた3本目、彼は冒頭に人類最高難度のコンビネーションである「フロントサイド・トリプルコーク1440」から「キャブ・ダブルコーク1260」を完璧にメイク。そのまま一度もスピードを落とさず5ヒットを完遂。
電光掲示板に表示されたスコアは、驚異の95.00点。最後の最後で王者を逆転し、ついに表彰台の頂点を射止めました。
■メダル獲得の最大の要因:4年越しの「自分との約束」
戸塚選手がミラノで金メダルを掴めた最大の要因。それは、北京での挫折後に取り組んだ「徹底的な肉体改造とメンタルの再構築」です。
4年前、彼はプレッシャーの中で自分の滑りを見失いました。しかし、ミラノに向けた過程では、単に技の難易度を上げるだけでなく、ヨガやマインドフルネスを取り入れ、「どんな状況でも自分の心拍数をコントロールする術」を身につけました。
また、所属のヨネックスと共同開発した「カーボン技術を駆使した超軽量・高反発ボード」が、彼の圧倒的な高さをさらに10センチ高く押し上げました。
「あの時(北京)の悔しさがあったから、今の僕がある」。
表彰台で金メダルを首にかけ、静かに微笑んだ戸塚選手の姿は、失敗は終わりではなく、成功への過程に過ぎないことを教えてくれました。
おめでとう!戸塚優斗選手!





