
長谷川 帝勝(はせがわ たいが)選手は愛知県出身。2026年ミラノ国際大会のスノーボード男子スロープスタイルに出場。世界最高難度の回転技と、独創的なレールワークを完璧に組み合わせ、見事に銀メダルを獲得しました。10代にして世界の頂点に肉薄する実力を証明し、日本男子スロープスタイルに初の栄光をもたらしました。
■プロフィールと基本情報
| 項目 | 内容 |
| 氏名 | 長谷川 帝勝(はせがわ たいが) |
| 生年月日 | 2005年2月11日(21歳 ※2026年大会時) |
| 出身地 | 愛知県名古屋市 |
| 所属 | STANCER |
| 主な武器 | フロントサイド1980(5回転半)、圧倒的な板のコントロール能力 |
「帝勝(たいが)」という名前の通り、スノーボード界の王道を進む彼は、そのクールな風貌とは裏腹に、内に秘めた闘志は誰よりも熱いライダーです。
■来歴:幼少期から注目される直前まで
長谷川選手の歩みは、日本の練習環境が生んだ「進化の結晶」そのものです。
- 4歳でのスタート: スノーボード好きの両親の影響で、わずか4歳から雪山に立ちました。幼い頃から、恐怖心よりも「もっと高く、もっと回りたい」という好奇心が勝る少年でした。
- 室内練習施設での研鑽: 雪のない愛知県という環境を逆手に取り、オフシーズンは室内練習施設のジャンプ台(エアバッグ)で徹底的に空中感覚を磨きました。この時期に培った「1800(5回転)」を軽々とこなす基礎体力が、後に世界を驚かせることになります。
- 彗星のごとく現れた天才: 中学生になる頃には、関係者の間で「とんでもない中学生がいる」と噂される存在に。10代半ばで世界最高難度の技を次々と成功させ、一気に世界ランクの頂点へと駆け上がりました。
■これまでの主要大会での実績
ミラノ大会での銀メダルは、決して偶然ではなく、積み重ねてきた圧倒的な実績の証明でした。
- 2023年 世界選手権(バクリアニ): 弱冠18歳でビッグエアを制し、日本男子初の金メダルを獲得。この瞬間、世界は彼を「次期王者」と認めました。
- X Games 優勝: エクストリームスポーツの最高峰であるX Gamesでも表彰台を席巻。スタイルと難易度、その両立ができる数少ないライダーとしての地位を確立しました。
- 2024-25シーズン ワールドカップ: 常に上位をキープし、種目別ランキングで1位を獲得。万全の状態でミラノ国際大会への切符を手にしました。
■技術とパフォーマンスの分析:なぜ「皇帝」と呼ばれるのか
長谷川選手の滑りには、他を圧倒する「3つの強み」があります。
1. 異次元の回転数と軸の安定感
彼の最大の特徴は、もはやスノーボードの限界を超えたと言われる「1980(5回転半)」を、まるで見慣れた技のように安定して繰り出す技術です。高速回転の中でも自分の位置を完璧に把握し、寸分の狂いもなく着地を決める「空間認識能力」は、世界でも群を抜いています。
2. クリエイティブな「ジブ」セクション
スロープスタイルはジャンプだけでなく、階段やジブと呼ばれる手すりを滑る技術も重要です。長谷川選手は、他のライダーが思いつかないような独創的なアプローチと、板のノーズ(先端)やテール(後端)を器用に使う繊細な操作で、高い芸術点を叩き出します。
3. 「スタイル」へのこだわり
難易度を追うだけでなく、グラブ(板を掴む動作)の長さや形にこだわり、スノーボード本来の「格好良さ」を追求する姿勢。これが、審判団から高い評価を受ける大きな要因となっています。
■出場種目と今大会のライバル、メダル争いの結果
【種目:スノーボード 男子スロープスタイル】
ミラノ大会のコースは、急斜面とテクニカルなセクションが入り混じる、今世紀最大難度のコース設定でした。
宿命のライバルたち
- スー・イーミン(中国): 金メダル
日本の佐藤康弘コーチのもと、今大会で初となる金メダルを母国にもたらしました。 - ジェイク・キャンター(アメリカ): 銅メダル
成長著しい23歳。最終となる3回目の試技で79.36の高得点を叩きだし、逆転で3位に食い込みました。
決勝:震えるほどのデッドヒート
3回の滑走のうちベストスコアで競う決勝。
1本目の試技でジブセクションを完璧にこなすと、ジャンプセクションでは「本番直前で大幅に内容を変えた」という1440(4回転)、さらにロデオ12(3回転半)を鮮やかに決めて、82.13の高得点マーク。この完璧な滑りがスー・イーミンを除く後続の追い上げを許さず、見事銀メダルを獲得しました。
■メダル獲得の最大の要因:自分だけの「遊び」を貫いた心
長谷川選手が銀メダルを掴めた最大の要因。それは、「プレッシャーを『遊び』に変える強心臓」です。
国際大会という重圧のかかる舞台でも、彼は常に「自分の格好良い滑りを見せたい」という純粋な気持ちでスタート台に立っていました。コーチと談笑しながら臨むリラックスした姿勢が、極限の状態でのミスを防ぎ、最高難度の技を成功させる集中力を生んだのです。
さらに、メダル獲得後に半月板損傷の大怪我をおったままだったことを明かし、さらに現地ミラノ入り後も体調不良にも悩まされましたが、
「自分を信頼し、期待してくれた人たちにこの4年間の恩返しをしたかった。」
と語った長谷川選手。表彰台で見せたその爽やかな笑顔は、日本のスノーボード界に新しい時代が到来したことを象徴していました。
長谷川帝勝選手、銀メダル獲得、本当におめでとうございます!




