
米大リーグの頂点を決めるワールドシリーズが開幕し、ドジャースの3人の日本人投手、大谷翔平(31)選手、山本由伸(27)投手、佐々木朗希(23)投手の活躍が世界中のファンから注目を集めています。中でも二刀流として球界の象徴的存在である大谷翔平選手のピッチングフォームには、今季大きな変化が見られます。
フォーム変更の背景 ― ピッチクロック対応と進化の意図
大谷選手は25年型の新フォームで「ノーワインドアップ」からの投球を採用。セットポジションを用いず、左足をプレートから後方に動かすことでピッチクロック(無走者15秒/走者あり18秒)の“始動”を早める意図があると考えられます。
このフォームにより、投手にとってわずかな「間」が生まれ、心理的な余裕とリズムの調整が可能になります。大谷選手は以前から「ピッチクロックが故障の一因になっている」と語っており、ルール改正への適応と身体の保護を両立した形と言えるでしょう。
エンゼルス時代との違い ― よりダイナミックで効率的な投球動作
新フォームの大きな特徴は、ステップ幅の拡大と左手の使い方の変化です。
以前はグラブを前方に押し出してから巻き込む動作を取っていましたが、現在は右腕の振り上げと同時に体の前でグラブをたたむようにしており、体重移動がよりスムーズに。これにより下半身から上半身へのエネルギー伝達が効率化し、リリース時の球威アップにつながっています。
また、投球直前に右腕を大きく曲げなくなった点も特徴。腕の出に力感がなく、打者からは「ボールがグンと伸びてくる」印象を与えるフォームになっています。
“体の使い方”が抜群 ― 無駄のない動きが安定感を生む
フォームを大きく変えると、多くの投手はタイミングのズレやリリース感覚の狂いで調子を落とすことがあります。しかし、大谷選手は変化を“自然体”で取り入れ、まるで長年使ってきたかのように滑らかに投げています。
その理由は、大谷選手の「体の使い方のうまさ」にあります。体幹と下半身の連動性が高く、動作の一つひとつに無駄がありません。まさに「省エネで最大の力を出す」理想的なフォームへ進化しているのです。
ノーワインドアップへの変更は、ピッチクロック対応だけでなく、長期的なキャリアを見据えた“体の管理”の一環でもあります。大谷翔平選手は常に試行錯誤を重ね、技術・体力・戦略のすべてを磨き続ける進化型アスリート。
今後、ワールドシリーズでの登板が実現すれば、その新フォームが大舞台でどのような結果をもたらすのか、世界中のファンが注目することでしょう!






