2024年、陸上競技で注目したいのは男子3000m障害の三浦龍司選手。3000m障害において日本記録をもっており、前回の東京オリンピックでは、この種目では過去最高の7位に入賞、2023年にブタペストで行われた世界陸上競技選手権大会では、この種目で日本人初の6位入賞と、世界の舞台でも結果を出し続けています。
三浦選手のレースで最も注目したいのはラストスパート!まずは三浦選手のラストスパートの数々をご覧ください。
参照元:三浦龍司のラストスパート集
今回は、このラストスパートを可能にしているテクニックについて解説します。
高いピッチの中でもストライド長を広げることができる
三浦選手のラストスパートの走りを見ていてすごい点は、ピッチの速さとストライドの大きさです。
簡単に言うとピッチは歩数、ストライドは歩幅です。この2つ積でスピードが決まりますが、この2つはどちらか一方が高いと他方は低下する関係にあると言われています。つまりピッチを上げるとストライドが狭くなりやすく、ストライドを広げるとピッチが下がりやすいというわけです。
しかし、三浦選手はこの2つともをかなり高いところに引き上げることができる選手なんです。
胸の柔軟性が広いストライドを実現させる
ラストスパート後の三浦選手のフォームで注目したいのは腕の振り。スパート前後で比べると、スパート後の方が腕を後ろに大きく振っています。
この腕振りを可能にしている大きな要因は胸の柔軟性です。胸の柔軟性があるが故に、大きく腕を後ろに振ることができ、さらには胸の筋肉が伸ばされ、伸ばされた筋肉が縮もうとする反射を利用して腕を大きく前へ振り出すことも可能になります。反射を利用することで無駄な力を使う必要がなく、且つ推進力を大きくできるというわけです。
接地の柔らかさと足首の強さ
三浦選手のこの腕振りを可能にしているのは胸の柔軟性だけではありません。接地テクニックも三浦選手の優れた能力の1つであり、腕振りに割く力を最小限に抑えることに寄与しています。
腕振りは上半身だけではなく全身がうまく連動していないと疲れてしまいます。全身を連動するとなぜ腕ふりが楽になるのかというと、地面の反発力を足から上半身、さらには腕まで伝えることができるからです。
ここで大事になるのが、接地してからいかに力を逃がさずに上半身まで伝えることができるかというところ。三浦選手は最初から最後までほとんど身体のブレがありません。さらに、接地が非常に柔らかく、他の選手が接地時にやや足首が潰れるのに対し、三浦選手はそれがほとんど見られないんです。
この柔らかい接地と足首の強さ、そして全身のブレの無さが、地面からの力を余すことなく有効活用できる理由なんです。
そんなポイントにも注目しながら3000m障害も観戦しましょう!それでは動画をご覧ください。