ダイエットの方法は大きく2つから3つに分かれます。
炭水化物を摂らない「ケトジェニックダイエット」、「ローカーボダイエット」。
脂質を最低限に抑えて行う「ローファットダイエット」。
この3つがダイエットの方法として世に知れ渡り、多くの人が実践しています。今回は脂質を最低限に抑えて行う「ローファットダイエット」ではなく、低炭水化物ダイエットとして有名な「ケトジェニックダイエット」について説明していきます。
ダイエットの基本と比較
まずはダイエットの基本から説明していきます。
原則、カロリーを摂取カロリーよりも消費カロリーが高い状態、アンダーカロリーの状態にしていくと痩せていきます。そのカロリーというのはP(タンパク質)・F(脂質)・C(炭水化物)のバランス(PFCバランス)を保ちコントロールしていくことが基本となります。
それでは、ローファットダイエットとケトジェニックダイエットの比較をしてみます。
ローファットダイエット
- ・脂質を抑える
- ・リバウンドしにくい
- ・筋力を維持したままトレーニングが可能
- ・甘いものを食べられる
- ・和食のPFCに近いため実践しやすい(日本人の食習慣に合う)
- ・お腹が減りやすい、空腹を感じやすい
ケトジェニックダイエット
- ・炭水化物を抑える
- ・腹持ちが良い
- ・短期で痩せられる
- ・外食がOK(肉類)
- ・食費にお金がかかる
- ・初期に体調が悪くなりやすい
- ・体臭がキツくなる
- ・筋力、トレーニングの質が落ちやすい
それぞれのメリット・デメリットが挙げられました。それではケトジェニックダイエットはどのような人に向いているのでしょうか?
短期間で結果が出やすいので、すぐ痩せたい人やすぐ結果を出したい人、仕事の会食等で外食が多い人、ダイエット中の食欲が抑えられないやたくさん食べる人、もしくはローファットダイエットが上手くできなかった人にもケトジェニックダイエットはオススメです。
また、上級者向けですが競技者で停滞期に変化をつけたり、長期のダイエットをする人にも向いています。肉体的にも精神的にも負担は違ったりするので、選択肢の一つとして持っておくとダイエットがスムーズになると思います。
ケトジェニックダイエットとは
主なダイエット方法2つの比較をしました。これからケトジェニックダイエットを詳しく説明するにあたって、勘違いされやすい部分がいくつかあります。
まず、炭水化物、タンパク質、脂質の摂取する割合を大・中・小で分ける必要があり、炭水化物→小、タンパク質→中、脂質→大という割合になります。通常のダイエットの場合はタンパク質をいっぱい食べるというのが基本ですが、ケトジェニックダイエットでは脂質を一番多く摂ります。タンパク質はだいたい体重の2倍ちょっとで問題ありません。
ケトジェニックダイエットはケトン体を原料にした代謝サイクルを変えるダイエットです。
基本的に人間は糖質(炭水化物)をエネルギー源として活動しています。この糖質を極めて少ない量にしていくと、身体の中でエネルギー不足が起き、そこでケトン体というものが肝臓から作り出されます。人間の生命維持機能として飢餓状態になったと判断された時、糖質が摂れていない時に、自分の体脂肪を分解してケトン体とエネルギーを作りそこで活動しようというモードに切り替わります。
このように代謝のサイクルを変えるのがケトジェニックダイエットになります。なので、ただ糖質を制限して行うダイエットというわけではなく、脂質を多く摂取し自分の体脂肪を使って活動するためのエネルギーに変えるという機能を作ることがケトジェニックダイエットの本質になります。
ケトジェニックダイエットのPFCバランス
ここからはケトジェニックダイエットのPFCバランスについて考えていきます。
タンパク質に関しては体重×2.2〜2.3を基準とし、これが総摂取カロリーの30%ぐらいになります。次に脂質ですが、全体のカロリーの70%(糖質により60%)摂取しましょう。糖質(炭水化物)は最初の2週間は限りなく0で過ごすようにしましょう。摂るとしても10%以下に抑え、食物繊維はカウントしなくて大丈夫です。その時は脂質の割合を少し減らします。重要なのは「インスリンを分泌させない」ことです。
- タンパク質→30%
- 脂質→70%(60%) ※基本的にP:F=3:7の割合
- 糖質(炭水化物)→0%(~10%以下)、食物繊維はOK
ケトジェニックダイエットの大事なポイントはいかに早く代謝サイクルを変えるかになります。通常の代謝サイクルからケトン体を生み出す状態をケトーシスといい、いかに早くケトーシスにするかがケトジェニックダイエットの一番大事なポイントです。
糖質を抑えて、脂質を多く摂取します。ケトーシスになっていない状態では糖質が足りず、糖新生という筋肉を分解しエネルギーを生み出そうとする作用が発生してしまいます。そうさせないためにも早くケトーシスの状態にする必要があるのでスタートの2週間は糖質を0にするということになります。
オススメの食材
これからはオススメの食材を紹介していきます。まずはタンパク質から。
- ・動物の肉(牛、豚、鶏※特にロース)
- ・魚(缶詰は便利)
- ・たまご(基本的に全卵で)
- ・乳製品(チーズ等)
脂質源
- ・アボカド
- ・MCTオイル→中鎖脂肪酸、エネルギーになりやすい、太りにくいオイル
- ・魚の脂
- ・ナッツ類
- ・オリーブオイル
- ・バター
- ・マヨネーズ
その他
- ・葉物野菜(根菜類は糖質が多いのでNG)
- ・キノコ
- ・海藻
- ・もやし
これらの食材を上手に使って先ほどのPFCバランスで摂取していきましょう。
ケトジェニックダイエットを進めるうえでは、タンパク質や炭水化物の計算は楽だけど、脂質の計算が面倒に感じるひともいると思います。
そんなときは、タンパク質と脂質の割合が1:1ぐらいの食材を中心に食べるとケトジェニックダイエットで理想的なPFCバランスに勝手になります。
例えば動物の肉。牛肉の場合、ロースがオススメです。ヒレやモモは脂質とタンパク質の割合はタンパク質の方が多いので、ローファットダイエットにはオススメです。
豚肉の場合は豚バラや豚小間、豚トロは明らかに脂質が多くなり、良質な脂質が摂れなくなってしまうので、基本的にはロースで。
鶏肉の場合は、基本的にモモ肉がオススメで、皮を剥がさず食べると割合はほぼ同じです。
たまごは、ほぼ1:1の割合なのでたくさん食べても大丈夫です。これらを中心として、間食でナッツ類やMCTオイルなどを摂るようにするとPFCバランスは整ってくると思います。
注意点としては、動物性の食材だけに偏ると血中のLDLコレステロール、悪玉コレステロールの数値が上がるので、基本的には良質な脂(アボカド、オリーブオイル、フィッシュオイル等)を意識的に摂取していけばより健康的にダイエットすることができると思います。
甘いものに関してはケトジェニックダイエットの方がスイーツ系は食べやすいと思います。ローファットダイエットの場合甘いものは和菓子一択、もしくはプロテイン。
ケトジェニックダイエットの場合は、食べすぎには注意ですが生クリームがいけます。糖質の含まれていないラカントやエリスリトール等の人工甘味料を上手に使用して、ケーキなども自分で作ることができます。ただし市販のスイーツは難しいです。
ケトジェニックダイエットを成功させるポイント
ケトジェニックダイエットを成功させる5つのポイントです!ここを意識して取り組んでみてください。
1.早くケトーシスに入る
そのためには、まずは糖質をゼロにすることが重要です。そしてMCTオイルの摂取もケトーシスに近づきやすくなりますので効果的だと思います。
糖質の摂取をゼロにし、トレーニングをハードにして体内の筋グリコーゲンを空にしましょう。カフェインの摂取も効果的で、分解された脂肪がエネルギーに変換するのを助けてくれます。食中や食後にコーヒーを飲むことで血糖値の上昇を防いでくれます。
2.体調を悪化させない
ケトジェニックダイエットをはじめて3日くらいで頭痛、吐き気、倦怠感が起こり辞めてしまう人が多いので、まずはここをクリアしましょう。
なぜ体調が悪くなりやすいかというと、糖質を摂らないことによるエネルギー不足です。なのでエネルギーになりやすいMCTオイルを初期の段階でしっかり摂取するようにして、エネルギー不足を緩和させましょう。
頭痛、吐き気などはミネラル不足が考えられます。糖質は基本的に体内で水分と紐づいて溜まるので、糖質を断ち筋グリコーゲンが減ると体内の水分も減るので脱水状態になります。ナトリウム、塩分、水分をしっかり摂るように意識してください。脱水による痙攣や筋肉が吊る症状が出た場合は、マグネシウムのサプリや入浴剤で摂取し対策をしましょう。
3.リバウンドさせない
水分が抜けやすいのでそれで体重が落ち、痩せたと勘違いしてしまうことが多いです。
ケトジェニックダイエットを終えると水分が少し戻り、糖質の摂取もすると体重が2〜3㎏戻ります。あくまでもローファットダイエットでの停滞打破の方法なので、現状維持でも不安になることはありません。ケトジェニックダイエット後のローファットダイエットがスムーズに進むための作業と考えるようにしましょう。
ケトジェニックダイエットからローファットダイエットに戻す時の注意点は、糖質の量をゆっくり戻すようにしてください。ケトジェニックダイエット期間中は糖質の代謝する能力が落ちているので通常よりも代謝に時間がかかります。
最後にケトジェニックダイエットの食事を摂ってから8〜9時間は空けてから糖質の摂取をしましょう。体内に脂質がある状態で糖質を摂ると非常に脂肪になりやすいので注意してください。混ぜるな危険!
4.お金がかかるという問題を解決する
ケトジェニックダイエットはお肉や脂をたくさん摂取します。日本は炭水化物を摂るのは安く済みますが、タンパク質を摂取するにはお金がかかります。なるべく安いタンパク質源を探しましょう。
オススメはサバ缶でオメガ3も摂取できて比較的安価で手に入ります。オリーブオイルやマカダミアナッツオイルも加熱しても使用できるのでオススメです。ダイエット中の空腹感はもやしやきのこで食事のカサ増しをしてお金をかけずに上手に継続していきましょう。
5.トレーニングの質が下がる
これに関してはトレーニングの方法を工夫すれば問題ありません。瞬発的に出すエネルギーはローファットでもケトジェニックでもケトジェニックが特別に不利というわけではありません。なので、ケトジェニックダイエット中のトレーニングは高重量を扱い、回数の少ないトレーニング主体であれば質が下がることは無いでしょう。
ケトジェニックダイエット中に糖質は禁忌です。もし、ケトジェニックダイエット中に大量に糖質を摂取してしまいケトーシスが出てしまった場合は、スタート時と同様に限りなく糖質を0にしましょう。しっかりと動いて身体の中の糖質を使い切り、早くケトーシスに戻すようにすれば大丈夫です。早ければ2〜3日でケトーシスの状態に戻るでしょう。
ダイエットや身体つくりでは継続が最も重要です。ですが、人間なので結果が出にくい時期が来てしまうと継続するのが難しく感じてしまうと思います。そんな時の停滞打破の方法の一つとして有効なケトジェニックダイエットを説明してきました。
正直、ケトジェニックダイエットはダイエット初心者の方には非常に難しいと感じるので、きちんと指導のできるトレーナーの指導のもと行うようにしてください。
特にケトジェニックダイエットを導入するタイミング、ローファットに戻すタイミングは自分では判断しにくいと思います。あとは余程、意志が無ければ継続することは難しいでしょう。
ダイエットやトレーニングには基本はありますが、個人によって合う合わないは存在すると考えています。自分に合う食事やトレーニングを見つけ継続することができれば、あなたの身体は健康で、見た目もどんどん変わっていくはずです。