盗塁で大事な3Sを聞いたことありますか?3S とはスタート・スピード・スライディングのことです。この3つの要素が組み合わされることで上手な盗塁が成り立ちます。
しかし、スピードを磨くことは一朝一夕で結果が出るものではありません。スタートについても、相手投手のクセや間合いが大きなカギとなってくるので自分だけで完璧なものに仕上げるのは難しいことです。では、スライディングはどうでしょう。もちろん簡単というわけではありませんが、少し意識を変え、練習するだけで劇的に上達する可能性を秘めている動作がスライディングなのです。
今回はスライディングの技術と練習法についてご紹介します。
まずは、概念から変えていきましょう。スライディングとは、ベースに向かって「すべる」ものではなく、「蹴り込んで、立ち上がる」までのことを指すと思ってください。「蹴り込む」とはどういうことかというと、動画にもあるように滑る距離をできるだけ短くし、スピードが緩むのを防ぐということです。できるだけベースに近いところで滑り始めることで、スピードが落ちる前にベースに到達することができます。
しかし、ここで気を付けなくてはならないのは、あまり近すぎると膝に相当の負担がかかり、けがの原因となるということです。スピードの低下とけがのリスク。この間をとった適性距離がベースまで1~1.5mと言えるでしょう。最初は距離を計るのが難しいので、動画のようにマーカーなどを目印に置いて、そこからスライディングを始めるようにするといいと思います。
次に、立ち上がるという動作についてです。動画でも言及されているように、素早く次の塁を狙える体勢を整えるためにはすぐに立ち上がることが重要です。しかしここで、「立ち上がろう」と考えることはあまりいい意識ではありません。蹴り込むようなスライディングをすると、けがを防ぐ観点から必然的に膝を柔らかく使う必要が出てきます。滑ったときに伸ばしている脚の膝を上手くクッションにすると、自然とベースを使って立ち上がるような恰好になるはずです。
けがに気を付けつつ、ベースに近いところから、伸ばす脚の膝を柔らかく使って、蹴り込んで自然と立ち上がる。このイメージを持って練習に取り組んでみてください。