「LSD」という言葉、マラソンなどの長距離を行ったことがある方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
これは「ロング・スロー・ディスタンス」の略で、長い距離をゆっくり走る練習法です。このトレーニングは初心者からエリートランナーまで、全ての層に必ず必要となるものですが、目的や内容を理解していないとトレーニング効果は薄れてしまいます。
今回はLSDで得られる体の変化と、LSDでやって欲しくないことについて解説します。
LSDでは毛細血管増加・着地に必要な筋肉の向上が期待できる
LSDの目的は長く走るための土台を作ることです。長く走るための土台として、LSDで得られることが大きく2つあります。
1.毛細血管の増加
LSDを行うことで毛細血管が増えることが期待できます。毛細血管が増えると、体の末端まで、必要な酸素やエネルギーを運びやすくなります。
その結果、長く運動しても疲れにくくなったり、疲労が溜まってもそこからの回復が早くなったりします。長い距離を走る選手には必要不可欠な要素です!
2.着地に必要な筋肉の向上
ランニングをしていて、最も体に衝撃を受けるのは着地の瞬間です。1回の着地の衝撃だけを考えれば大したことはないかもしれませんが、長距離ではそれが何千回、何万回と積み重なります。
体への負荷は、1回の衝撃の大きさ×回数になります。LSDでは2時間も3時間も走ることがあるため、1回の衝撃はそこまで大きくないですが、かなりの回数を繰り返すことになり、結果的に長い距離を走るための脚が作られるんです。
短すぎるLSDやLSDのみの練習はNG
LSDを行ううえでやって欲しくないことについても大きく2つあります。
1.距離や時間が短すぎること
これはステップ数が少なくなるため、LSDの利点である着地に必要な下半身の強化が望めません。まずは60分、それが問題なくできるようになれば90分、120分と伸ばしていきましょう。
上限は3時間〜3時間半です。長ければ長いほどよいというものではなく、これ以上やり過ぎてしまうと、疲労が残り過ぎたり、怪我のリスクが上がります。
ただし、長い距離を走ったことがない方やLSD初心者の方はもっと短い時間から始めてOKです!自分の体力に合わせて、できるだけ長い時間に設定しましょう。
2.LSDしかやらない
練習は色々な角度、視点から行うことが大切です。インターバル走やペース走など色々なバリエーションがあります。
LSDは長く走る土台を作るためには有効な練習ですが、それとは別に速いペースで走る練習も必要です。
レースではLSDよりもっと速いペースで走ります。ペースが上がると当然心拍数はさらに上がります。その状態で長い距離を走れるようにする目的で行う練習は他にあります。
あくまでLSDは練習の中の1つ。これだけやればよいというわけではなく、レースに出場するのであれば、自分自身の課題を把握し、その課題に合わせて練習を組み立てましょう。