女子マラソンは、かつては世界の舞台でもメダルを獲る選手が多く、陸上競技の中でも人気種目の1つです。
1992年のバルセロナオリンピック、そして1996年のアトランタオリンピックでは有森裕子選手が2大会連続で銅メダルを獲得しています。この時、有森選手がインタビューで言った「自分で自分をほめたいです」という言葉は流行語大賞にも選ばれており、皆様も記憶にあるのではないでしょうか。
そして、2000年のシドニーオリンピックでは高橋尚子選手が金メダル、2004年のアテネオリンピックでは野口みずき選手が金メダルと、4大会連続で日本勢がメダルを獲得しており、当時は日本が世界に誇る種目であったことは間違いありません。
その後、国際大会でのメダル獲得からは少し遠のいている印象ですが、2024年の大阪国際マラソンで19年ぶりに女子マラソンの日本記録が更新されました。更新したのは天満屋に所属する前田穂南選手。2時間18分59秒という驚異的な記録で、野口みずきさんがもつ日本記録を塗り替えました。
日本の女子マラソン復活の狼煙となるのでしょうか。今、女子マラソンの世界のレベルはどのくらいなのか、前田選手が世界からみてどの位置にいるのか、末尾の動画をもとに解説します。
前田選手 世界大会でも入賞に期待!
まず、2023年にブタペストで行われた世界選手権の女子マラソンの結果をみていきます。
- 1位 2:24:17
- 3位 2:25:17
- 8位 2:27:23
世界選手権やオリンピックは真夏に行われるため、気温でタイムが左右されます。気温が25℃前後の場合、記録の低下率は6%程度と言われていますが、前田穂南選手のベスト記録2:18:59を6%程度下げると2:27:17となり、世界陸上でも8位入賞圏内ということになります。
また、前田選手の現在のワールドランキング(2024年3月現在)は15位で、その上はケニアやエチオピアの選手が大半をしめている状況です。世界大会のほとんどは、1つの国の出場枠は3枠です。それを考えると、前田選手の入賞も期待できます!
ワールドランキング上位3名
現在のワールドランキング1位はエチオピアのアセファ選手です。リオオリンピックでは800m代表として出場していましたが、2018年にロードに転向し、ベルリンマラソンでこれまでの世界記録を2分以上も縮める2:11:53というなんとも恐ろしい記録を叩き出している選手です。
2位はブタペスト世界陸上で金メダルを獲得したエチオピアのベリソ選手。自己ベストは2:14:58です。
そして、3位は超人の異名を持つオランダのハッサン選手です。2019年のドーハ世界陸上で1500m、10000mで2冠、2021年の東京オリンピックでは5000m、10000mで金メダルを獲得。そして、昨年のロンドンマラソンにてマラソンデビュー。初めてのマラソンで2:18:33という記録を出しています。
世界トップレベルをみると非常にタフなレースが予想されますが、ここに前田選手がどこまでくいこめるのか、今年の前田選手に期待です!