最終回の逆転劇。2017年今夏の高校野球も多くの試合で劇的な展開が繰り広げられています。日本航空石川は、木更津総合を相手に最終回、4点を奪い逆転。東東京大会では9回二死から6点差を逆転するという試合もありました。あとアウト1つ取れていれば・・・。勝者はそれを「奇跡」と呼び、敗者は「魔物」と呼ぶ。もはや高校野球にセーフティリードという概念は無いのでしょう。
しかし、どの試合でもそのイニングだけチームが強くなったり、相手チームが弱くなったりするわけでは当然ありません。そこで使われるが「試合の流れ」という言葉です。流れがきた、試合の流れが変わった。なかなか言葉にし難い話ですが、どの試合でも「あのプレーで流れがきた」という場面は皆さん経験されていると思います。
その流れを変える、流れを掴む「アイデア」のひとつとして、セーフティバントという選択肢があります。内野安打だけでなく、相手のミスを誘発する、守る側が嫌がるプレーでもあります。打者のスピード対守備のスピード。いかに打者は1塁ベースをはやく駆け抜けるか、またそれをいかに阻止するか。球場の雰囲気が瞬間的に熱くなるプレーですね。
とはいうものの、打者は走る事だけを考え、慌ててバントをしては、ファール、あるいはフライで終わる確率が高くなります。まずは、しっかりとコースを決めて、バントでボールを確実に転がすかが重要なポイントです。その為には、通常のバントと同様、膝で高さを調整し、しっかり自分の見える位置でバットに当てます。あとは、スタートの切りやすい体勢に軸足を持っていくことです。右打者であれば、右足をスタートの切りやすいよう後ろへ引くき、左打者であれば、左足を前(右足側)に持ってきます。ただスタートに意識しすぎれば、バントの形が崩れるので、あくまでコースにしっかり狙うことを心がけましょう。
セーフティバントの場合、どの場面でやるかというのも重要な技術です。警戒されている中で試みるのではなく、できる限り意表を突くことが成功率を高めるポイントです。ただ一試合の中で意表を突く場面というのは、幾度もあるわけではありませんが、試合に動きが無いときや打線がこう着状態である、相手ピッチャーのリズムが良いときは、突破口を開く目的でセーフティーバントは価値ある作戦です。
一方で、チャンスでのセーフティバントも多く見られます。結果的に送りバントでランナーを進められればOKというケースでもありますが、この場面でセーフティバントが決まると一気にチャンスが拡大。まさに試合の「流れを呼び込む」プレーになるわけです。