毎日のようにニュースで見かけるMLBのエンジェルス所属にしている大谷翔平選手。2023年8月に右肘の靱帯を損傷し、投手として今季は出場がなくなり、肘の状態が不安視されています。大谷選手が今回負傷した肘の靱帯は、2018年にトミー・ジョン手術を行なった箇所とは別の部分ということが判明しましたが、シーズン終了後に手術する可能性が高いと言われています。
更に、9月4日の試合では右脇腹の張りを訴え、スタメンから外れました。投手と打者の二刀流は身体に大きな負担がかかることは容易に想像できますが、大谷選手はトレーニングや食事、睡眠を徹底的に追求し、二刀流でも戦い抜く身体作りを行っています。今季は怪我に悩まされることが多いですが、ここまで試合に出場し続けられたことは日頃のトレーニングなどが大きく影響していると考えられます。
本記事では、大谷選手のトレーニングの素晴らしいところについて専門的な観点から見ていきましょう。
①エゴリフティングがない
エゴリフティングとは、わがままなトレーニングという意味です。大谷選手のトレーニングは、目的が明確でフォーム重視の理想的なトレーニングを行っています。
ベンチプレスにおいては、
- ・グリップと手首の角度
- ・腕の角度
- ・下ろす位置
- ・胸のアーチ
- ・体躯の安定
- ・バーの軌道
全てが安定しており、可動域が狭くなったり、フォームが崩れたりせず普段からトレーニングをしっかりとやっていることがわかります。
ヘックスバーデッドリフトでは、通常のデッドリフトとは異なり、スタート位置に制限がないので膝関節主導で上げてしまえば更に重量が上がるはずですが、あえて重量を扱えるフォームではなく股関節主導でトレーニングを行っていることも素晴らしい点の1つです。
大谷選手のトレーニングは、「パフォーマンス向上のためのトレーニング」を徹底しています。このことから大谷選手は、トレーニングに関して相当研究をしてエゴリフティングがなく、目的に応じたトレーニングをフォーム重視で行っていることがわかります。
②ヒップヒンジ重視のトレーニング
ヒップヒンジとは、股関節を扉の蝶番のように、曲げ伸ばしするトレーニングのことを指します。人間の身体の中で最も効率よく大きな力を発揮できるのは、「股関節」。わかりやすい例を挙げると「相撲の四股」で、立ち合いでもヒンジの力を使って相手を押していきます。股関節を使って全身運動に変えることができると、非常に大きなパワーを発揮することができるでしょう。
大谷選手の種目選びやトレーニングフォームは、この「ヒップヒンジ」を重視していることがよくわかります。大谷選手が取り入れている、BOXスクワットやバックランジ(フロントリバースランジ)も股関節重視で鍛えています。
③基本に忠実
大谷選手は、「使える筋肉」系のファンクショナルトレーニングではなく、基本的なトレーニングを主に行っており、ベーシックな種目の中で、自分の目的に合ったトレーニングを選択し実行しています。
トレーニングをしていると重量を意識してしまう選手が多い中で、フォームを崩さないことを重視し、効率よくトレーニングを行う大谷選手。知識がないとここまで質の高いトレーニングを行うことは難しいです。
トレーニングを実施している選手は、一度目的やフォームをふりかえり、地味でも身になるトレーニングを取り入れましょう!
それでは動画をご覧ください。