3月3日に東京マラソンが行われました。男子マラソンの日本代表が決まるMGCファイナルチャレンジの最後のレースです。
東京マラソンの結果から、男子マラソン日本代表3人目は大迫傑選手に決まりましたが、大迫選手はこの東京マラソンには出場していません。日本代表の座を獲得することに焦点をあてる選手が多い中、大迫選手はなぜパリの選考レースとなる東京マラソンに出場しなかったのでしょうか。
今回は大迫選手のインタビュー動画をもとに、大迫選手の思考、想いをみていきます。
男子マラソン日本代表選考方法
まずは改めてマラソン日本代表選手の選考方法について確認しましょう。マラソンは他の陸上競技の種目とは選考方法が異なります。
まずは、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)(2023年10月15日開催)の結果です。MGCで1位と2位になった選手は日本代表に内定します。今回ここで内定を勝ち取ったのは、小山直城選手と赤﨑暁選手の2名。
そして残り1枠の争いは以下3レースで争われます。
- ・福岡国際マラソン(2023年12月3日開催)
- ・大阪マラソン(2024年2月25日開催)
- ・東京マラソン(2024年3月3日開催)
この3レースの中で設定記録となる2:05:50をきる選手がいればその選手が、複数名いれば最速の選手が内定となり、設定記録をきる選手がいなければ、MGC3位となった大迫選手が内定という状況でした。
そして、この3レース最後となる東京マラソンが終わり、設定タイムをきる選手がいなかったことから、大迫選手が3枠目に入ったということです。
2020年は東京マラソンへの準備でエネルギーを消耗
大迫選手は2019年に行われたMGCでも3位となっており、その時はMGCファイナルチャレンジとなる東京マラソンに出場しています。結果は見事日本記録更新。オリンピック設定記録ももちろん突破し、文句なしで東京オリンピック日本代表の座を勝ち取りました。そして東京オリンピックでは見事6位入賞を果たしています。
新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックは1年延期され、2021年の開催となりましたが、もし予定通り2020年に開催されていたら、本来の力は発揮できなかったと大迫選手は振り返ります。それくらい、MGC終了後、東京マラソンに向けて準備していく約半年間の緊張感やプレッシャーは大きかったそうです。
大迫選手はオリンピック選考方法について、日本を盛り上げるという点では良いとしながらも、選手のコンディション調整という点では、過酷なシステムであることを示唆しています。オリンピックでは日本人3選手がベストな走りをすることが目的であり、そこを見失って欲しくないということも話しています。日本代表の座を勝ち取るためには、身体面の強さはもちろん、精神面でのタフさも、私たちが想像している以上に必要なのかもしれません。
大迫選手の言葉には説得力があります。是非一度インタビュー動画で大迫選手本人の言葉を聞いてみてください。