陸上競技のクラブに所属している人であれば、一度は坂道での練習を行ったことがあるのではないでしょうか?
坂の勾配や距離はそれぞれ異なるかもしれませんが、おそらくほとんどの方は「きつい」というイメージを持っているのではないかと思います。きつい練習こそ目的意識が重要です!なぜこのきつい練習が必要なのか、今回は坂道練習の目的についてお伝えします。
上り坂練習 → スタート~30m付近
上り坂の練習は、スタートから20〜30m付近の練習に適していると言えます。
平地で走る時は、足を上から地面へ落とすことで、地面から反発をもらうことができ、その反発を利用して前に進んでいくことができます。
しかし上り坂は、足を上から地面へ落としても、傾斜があることで、平地を走っている時よりも高い位置に足が着くことになるため、地面からの反発は弱く、さらには自分の体重を引き上げる作業が必要になります。
地面からの反発が弱いため、一歩一歩股関節周りの筋肉を意識的に使って動き続ける必要があるということ、そして、自分の身体をやや斜め上で引き上げ続けなくてはいけないこと、これが平地と上り坂練習の大きな違いです。
これはスタートから20〜30m付近までの走り方と似ているため、スタートの爆発力の強化・改善を目的として行うとよいでしょう。
下り坂練習 → 70m付近~ゴール
下り坂の練習は、100m後半、特に70m付近〜ゴールまでの練習に適していると言えます。
下り坂は、上り坂とは反対に、自分の身体が落ち続けていく形になります。その時に上り坂と同じような力の出し方をしていると、身体の上下動が大きくなりスピードは上がりません。
下り坂で重要なことは、出力はやや抑えて、水平移動をするようなイメージで足をさばいていくことです。スピードは平地よりも速くなります。その中でも足が遅れないような足さばきを身に着けることが、下り坂練習の目的となります。
これは60~70m付近からゴールまでのピッチを落としたくない局面の走り方に必要な要素となるため、中間疾走後からフィニッシュまでの走り方の強化・改善を目的として行うとよいでしょう。
練習には1つ1つ意味があります。それを理解して練習に取り組めるかで練習の質は変わります。毎日の練習をより効果的にするためにも、この内容が参考になれば幸いです。