
トレーニングは継続してこそ効果が期待できるものであり、そのメニューの組み方は人それぞれ。トレーニング内容にもさまざまなものがあります。
そんなトレーニングメニューの組み方の参考に、本稿ではメニューを固定する方法と、毎回変更する方法を比べた研究について解説します。この研究では、メニューを固定する場合と毎回変更する場合とでは、同じ程度の筋肥大をしたとしてもその中身が違うという結果が出ています。
筋肉の種類
まずは前提知識として筋肉の種類について知っておきましょう。
筋肉は主に2つの種類に分けられます。
- 遅筋繊維(タイプ1繊維)
持久力と疲労耐性に優れる、肥大しにくい - 速筋繊維(タイプ2繊維)
筋出力と瞬発性に優れる、肥大しやすい - ※最近ではこの中間の性質を持つ筋肉も確認されています。
筋肉は遅筋繊維、速筋繊維の両方があり、部位によってその比率が前後します。以前からトレーニングで狙いたい部位の筋肉の速筋比率にあわせて重量を設定することが推奨されていました。
しかし、これに対して反論も出ています。
筋肉には「サイズの原理」があり、どんな負荷に対してもまず遅筋繊維が動員され、それが限界を迎えてから速筋繊維が動員され始めるという原理です。そのため、どんな重量であっても限界まで追い込むことで筋肥大率は変わらないという報告もあります。
トレーニングは固定か?変動か?
トレーニングメニューを固定するか変動にするかについて、その2つを比較した研究があります。
- 固定群
レッグプレス、レッグエクステンション各9~12レップ×4セット - 変動群
種目は同じでレップ数、セット数、収縮、インターバル等、バリエーションをつけランダムに実施
結果としては筋肥大率は変わらないという結果が出ています。
しかし、変動群では筋原繊維比率は減少したようです。これは、筋原繊維よりも筋形質の方が多く肥大したという現象で、筋形質肥大と呼ばれます。
つまり、トレーニングを固定すると、筋原繊維の肥大が促進され、変動すると筋形質の肥大が促進されるということです。
まとめ
速筋比率によってトレーニング内容を変えることは現実的でないかもしれません。サイズの原理から、大切なのは限界まで追い込むこと、と言えるでしょう。
トレーニング内容を固定すると筋肉全体が肥大するが、頻繁に変更すると筋形質肥大が大きくなる可能性があり、筋肉の膨張(水分等)が筋形質肥大とみられている可能性もあります。
非常に興味深い内容だったと思います。実質的には10回前後で固定してトレーニングをする、という基本が筋原線維肥大を促し、筋肥大の近道のように感じました。筋肥大に関しては難しいことを考えずに、馬鹿になってトレーニングに取り組む、という考え方も必要かもしれません。