
広背筋は、上部は筋繊維が真横に走っているのでラットプルや懸垂で鍛えることができます。下部は筋繊維の走行が縦に近い角度になっているため、ローイング種目で鍛えることが有効です。1つの筋内でも部位によって特性が異なります。
そして、広背筋の中部繊維は効率よく鍛える種目は少ない部位です。本稿では、そんな中部繊維をダンベルとベンチだけで鍛える種目を紹介します。
背中のトレーニングの潜在的課題
ラットプルや懸垂は、手幅を広くすることで左右面の動きが大きくなり上部が鍛えられ、一方、手幅を狭くすると前後面の動きが大きくなり下部の繊維に合致します。この理屈から、広背筋の中部を鍛えるには斜め上から引く種目が必要です。
インクラインワンハンドロウ
インクラインワンハンドロウの解説をしていきます。(右手で行う場合)
ポイントとして
- ・スタートポジションでのいかり肩姿勢はNG
- ・ダンベルを引く際は身体が裏返らないように
- ・左足をベンチの端にのせる
- ・右足はベンチから30~40㎝離してセット
- ・左手を20度傾けてセット
- ・左手と両足で三角形を形成する
- ・大転子で身体を折り曲げダンベル側に身体を倒す
- ・ダンベルをハの字に持ち、大転子に引き付ける
- ・ダンベルの軌道は斜めでも可
初動において回転を使用してダンベルを持ち上げないように注意しましょう。初動を回転で挙げると最後までその力で挙げてしまうことになります。
設定として、プレート等を使用し、フラットベンチの片側に10〜20㎝高さをだし、高くなった方を足側にすることで身体とダンベルの関係を斜めにすることができます。
今回は中級者以上向けの内容だと思います。中級者以上でもなかなか広背筋の中部を鍛えるのは難しいと感じています。またジムにもそこだけを狙うマシンもなかなか無いと思うので、ダンベルとベンチのみで実施できるインクラインワンハンドロウは良い種目では無いでしょうか。
トレーニングは工夫次第で良くもできるし悪くもなります。試行錯誤、工夫を重ねて身体づくりを楽しんでいきましょう。