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投球/送球練習 野球におけるイップスとは 克服・治療・原因・症状を詳しく解説

投球/送球練習 野球におけるイップスとは 克服・治療・原因・症状を詳しく解説

皆さんは「イップス」という言葉をご存知でしょうか?今までできていた投球などが突然できなくなってしまう動作障害のことですが、実はこの症状、少年野球などのアマチュアでみられるだけでなく、プロ野球も悩んでいるのです。

今回は、野球のイップスの症状や原因を確認し、治療・克服方法について詳しくお伝えしていきます。

野球のイップスとは?

野球におけるイップスとは、そもそもどのようなものなのでしょうか。ここからは、イップスに関する基礎的な知識を確認していきましょう。

イップスの歴史

イップスという用語自体は、もともと1930年代にプロゴルファートミー・アーマー氏が、この症状を理由に引退を余儀なくされたことで有名となりました。ゴルフの世界では、イップスの主な症状として「ショートパット恐怖症」というものがありましたが、アプローチやショットなど、それ以外のプレー方法でも症状がみられることがあります。

なお、野球におけるイップスは、過去には「スローイング病」「送球恐怖症」とも呼ばれていました。文字通り、通常できていたはずの送球ができなくなってしまうという症状です。

現在、野球やゴルフだけでなく、テニスアーチェリー卓球などのスポーツ競技や、音楽演奏外科医の執刀などに至るまで、「手首」「腕の筋肉」「指先」を繊細に扱う様々な業界で、イップスの症状は散見されています。

イップスはプロ野球選手も悩んでいる!
中にはイップスが原因で引退する選手も。イップスは少年野球選手などのアマチュアだけでなく、プロ野球選手でもみられる症状です。

投手では、糸井 嘉男元投手(元阪神タイガース)、藤浪 晋太郎投手(MLBのオークランド・アスレチックス)、岩本勉投手(元日本ハムファイターズ)、北方 悠誠投手(元横浜DeNA)など、名だたる選手が「投げ方がわからなくなった」「死球を繰り返してしまう」などのイップス症状に悩まされています。

野手では、メジャーリーグで華々しい活躍を残したあのイチロー選手をはじめ、桂依 央利選手(元中日ドラゴンズ)、内川 聖一選手(元東京ヤクルトスワローズ)、松井 稼頭央選手(元埼玉西武ライオンズ)、荒木 雅博選手(元中日ドラゴンズ)、田口 壮選手(元オリックスバファローズ)なども、「投手への返球ができない」「短距離の送球に失敗する」といった症状に悩まされていた時期があるようです。

中には、森岡 良介選手(元東京ヤクルトスワローズ)、田中 英祐投手(元千葉ロッテマリーンズ)などのように、イップスが原因で引退を余儀なくされる選手もおり、時には野球生命に関わるような、無視することのできない症状であることがわかります。

野球のイップスの具体的な症状と発生フロー

野球のイップスにおける具体的な症状は、以下のようなフローを元にして発生するとされています。

  1. きっかけ
    イップスのきっかけとしてあげられるのが、試合時や練習時の暴投エラーなどのミスプレーです。
    これらの経験をきっかけにイップスが発症する場合があります。
    その他、フォーム変更オフ明けの練習身体の故障などもきっかけとなる場合があるようです。
  2. 過度な同一動作の繰り返しによる悪化
    イップスは精神的な影響が大きいとされていますが、実際には過度な同一動作の繰り返しによる症状の悪化が主な要因という見方があります。
    崩れたフォームを修正しようと何度も同じ練習を繰り返すことで、かえってイップスを進行させてしまうのです。
  3. イップスの発症
    スムーズな投球ができるときは、投球動作が自動化されているものですが、上記のようなきっかけが始まりとなり、過度な同一動作の繰り返しで投球動作の自動化が崩れ、以前と同じフォームで投げられなくなります。
    これがイップスの症状の発生フローです。

野球のイップスとあがり(プレッシャー)の違い

野球の投球失敗の原因として、イップス以外にあがりプレッシャー)というものがあります。
これは、「失敗してはいけない」という場面に直面したときに筋肉の硬化震えなどの生理反応が発生する症状ですが、イップスとは異なり、一時的なものとなります。

しかし、イップスは投球動作の自動化が崩れている状態であるため、あがり(プレッシャー)の有る無しに関わらず、恒常的に発生します。そのため、場合によっては数年〜数十年続くこともあるのです。この点が、野球のイップスとあがり(プレッシャー)の違いです。

野球のイップスの原因

野球のイップスの原因とは、どのようなものでしょうか。具体的には以下の3つがあげられます。

[野球のイップスの原因①]:失敗の恐れなどのメンタル面
野球のイップスの症状に悩まされる選手は、総じて真面目几帳面な選手が多いという特徴があります。
そのため、イップスが治らないことを気にして、失敗を恐れるあまり、メンタル面が影響して症状を長引かせることもあるのです。
ただし、これは野球のイップスにおける原因の側面でしかありません。

[野球のイップスの原因②]:選手個人の技術的な問題
野球の投球動作というのは個人の身体能力に依存するものですから、当然、選手個人の技術的な問題がイップスにつながっているケースもあります。

たとえば、先ほど例にあげたイチロー選手などは、高校生の野球時代からプロ野球選手に至るまで、イップスに苦しんだ経験があるようですが「自らのセンスで治した」と語っています。

このように、選手個人が強靭な修正力を備えている場合、技術的な能力で解決できることもあるようですが、基本的には先にも述べたとおり、野球のイップスは誤った投球動作を過度に繰り返すことで悪化します。

[野球のイップスの原因③]:ジストニアなどの運動障害
ジストニアとは、筋肉の緊張によって、様々な不随意運動姿勢の異常が生じる運動障害です。
野球のイップスについては、職業性ジストニアとも呼ばれます。かつては神経症の一種として「こころの病」とされてきましたが、現在では研究によって、イップスは同一動作の過度の繰り返しによって脳の構造変化が起きる器質的原因で発症することが明らかになっています。

野球のイップスの治療・克服方法をご紹介

最後に、野球のイップスの治療・克服方法をご紹介します。ここでは、避けるべき練習方法と、おすすめの治療・克服方法をそれぞれお伝えしていきましょう。

「野球でイップスが続く場合に避けたほうが良い練習方法とは」

すでにお伝えしているとおり、野球のイップスは、過度な同一動作の繰り返しで投球動作の自動化が崩れることによって起こります。そのため、正しいフォームで投げられなくなった状態で、遠投、ネットスロー、シャドウ、天井投げ、局所修正などの練習を過剰に行うと、症状が改善されるどころか悪化する恐れがあります。

イップスの症状を自覚した場合は、これらの練習の繰り返しは避けたほうが良いでしょう。

野球でイップスが出たときのおすすめの治療・克服方法とは

  1. 最低2週間程度は期間をあけて休む
    イップスは「こころの病」などではなく、過度な同一動作の繰り返しで誤った投球動作が脳に刷り込まれた、故障に近い状態だと理解しておきましょう。
    そのため、可能であればノースロー最低2週間程度は期間をあけて休むことをおすすめします。
  2. 本来のフォームを取り戻すために再学習する
    正しいフォームを取り戻すために、投球時の適切な重心位置や、無理のない投球動作の型を、その仕組みも含めて再学習しましょう。
    誤ったフォームをリセットし、インプットし直すことが大切です。
  3. 上半身と下半身の連動性を高める
    野球のイップス症状が出ているときは、上半身と下半身の動きが連動していないことが多いです。
    そのため、上半身と下半身の連動性を高める意識を持つことが重要です。
  4. 反復練習で再現性を高める
    適切な休息フォームの再学習上半身と下半身の連動性の理解が進んだら、ここで初めて遠投や投げ込みなどの反復練習を行います。
    正しいフォームで投球動作を自動化できるように、再現性を高めていきましょう。
  5.  

まとめ

野球のイップスに関する基礎知識、その症状や原因治療克服方法などを詳しくお伝えしてきました。
イップスは選手生命に関わる重大な運動障害でもあります。気持ちの持ちようだと決めつけてがむしゃらに練習するのではなく、仕組みを理解して着実に治療を行いましょう。

それでは動画をご覧ください。

動画引用元:【イチロー】イップス激白!

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