
フルマラソンの30km以降になると、多くのランナーが悩まされるのが「足のつり」。一般的には、水分不足やミネラル不足が原因といわれますが、最新の研究では必ずしもそれだけではないことが分かってきました。
本稿では、末尾の動画をもとに、足がつる原因と、ランナーが実践できる効果的な予防法を分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
一般的に言われてきた足がつる原因は「水分・ミネラル不足」
足がつる原因として「水分不足」「ミネラル不足」「暑さによる発汗」などがよく挙げられます。そのため、スポーツドリンクをこまめに摂ったり、塩タブレットを携帯したり、芍薬甘草湯(漢方)などを使用するランナーも多いのが実情です。
しかし、水分やミネラルの補給をしっかり行っていても、レース後半に足がつるランナーは多く出ています。このことから、足つりの原因には別の要素も関係している可能性が高いのです。
最新研究が示す足がつる原因は「筋疲労」
最新の運動生理学では、「足つりは水分や電解質不足だけでは説明できない」とする研究が増えています。脱水や電解質の乱れが原因なら、全身の筋肉で痙攣が起きるはずですが、実際には脚だけに集中して発生するためです。
ある研究者の報告では、足つりの主原因として「酷使による筋疲労」が最も可能性が高いとされています。
長時間・高強度の運動で筋肉に疲労が蓄積すると、筋肉の動きを調整する部位などの神経系バランスが崩れ、筋肉が過敏化して痙攣(つり)が起こりやすくなります。特にオーバーペースで走った場合、普段の練習以上の負荷が脚にかかるため、より足つりが発生しやすくなるのです。
足がつるのを防ぐ方法は「鍛える」
足つりを根本的に防ぐには、筋力をつけること。レースペースに耐えられる脚を作るというシンプルな対策がもっとも効果的です。日常のロング走はゆっくり走りつつ、レース2〜3か月前からは徐々にペースを上げ、最終的にレースペースに近い速度で30km走を行うのが理想的です。
上級ランナーであれば、ビルドアップ走や変化走、坂ダッシュ(走る筋トレ)など負荷の高い練習を取り入れることで、終盤でも粘れる強い脚を育てられます。
レース当日の水分補給や塩分補給は大切ですが、それだけで足つりを完全に防ぐことはできません。レースペースに負けない脚づくりこそ最大の対策です。
足つりは誰にでも起こり得る現象ですが、本質的な原因は「筋疲労とオーバーペース」。水分やミネラルの補給は重要なサポート要素であり、レース中のエネルギー管理として役立ちますが、足つりを根本的に防ぐには日々のトレーニングで脚を鍛えることが欠かせません。
適切なペースでのロング走やビルドアップ走を積み重ねることで、終盤でもペースを落とさず走り切れる強い脚を作れます。フルマラソンでの失速を防ぎたい方は、ぜひ練習の質を見直してみてください!





