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「みちのくのドクターK」を一本釣り― ドラフト1位・角田楓斗に託されたリーグ4位からの再起|オリックス・バファローズ[ドラフト2026]

「みちのくのドクターK」を一本釣り― ドラフト1位・角田楓斗に託されたリーグ4位からの再起|オリックス・バファローズ[ドラフト2026]

パ・リーグ4位でシーズンを終えたオリックス・バファローズ ― 支配下指名6人のうち5人に投手を選択したその真意とは。

2026年ドラフト会議において、巻き返しを図るチームの中心にいたのは、富士大学の右腕・角田楓斗だ。大学で大きく成長した奪三振能力は「みちのくのドクターK」の異名を持つほどの逸材であり、その角田を競合なしの単独指名で交渉権を勝ち獲ったのは大きい。

ドラフト支配下1位・角田楓斗のプロフィール

角田楓斗(かくた・ふうと)は、2004年9月23日生まれ、青森県弘前市出身の22歳。身長178センチ、体重84キロの右投げ左打ちの投手である。東奥義塾高校から富士大学へ進み、最速153キロの右腕へと成長した。

高校時代は甲子園出場経験がなく、卒業年にはプロ志望届も出さなかったのだが、その意識を変えたのが、同級生・中田歩夢の2022年時の巨人育成指名である。身近な仲間のプロ入りに喜びと悔しさを感じ、自らも本気で同じ舞台を目指し始めた。

大学では筋力強化に加え、食事を一日5、6回に分けるなど徹底した体づくりで意識を将来のプロ入りを目指す意識を高め、高校時代から球速を10kmも上積みするという成果を引き寄せた。しかも角田の場合、球の速さだけでなく、打者を押し込める直球を追い求めてきた点に、その成長の本質がある。

指名後には新人王への意欲を示し、将来像として山本由伸の名前を挙げるなど、高校時代とは打って変わって意気軒高だ。地方の高校から大学で力を蓄え、ドラフト1位へ到達した努力の右腕として、オリックスファンならずとも今からその名前を記憶にとどめておくべきだろう。

公式戦での戦績と特徴

角田の最大の持ち味は、その異名の通り打者から三振を奪う能力に尽きる。富士大学では2年時まで主に救援を務め、3年時から先発へ転向。3年春のノースアジア大学戦では、北東北大学リーグのタイ記録となる19奪三振を記録した。

4年春は4勝、防御率1.13を挙げ、最優秀選手賞、最優秀防御率、ベストナインを獲得。全日本大学野球選手権では松山大学との初戦で7回14奪三振を記録し、大会全体では12回を投げて22奪三振、チームのベスト8進出を支えた。

最速153キロの直球に、カーブ、スライダー、カットボール、スプリットと多彩な球種を織り交ぜて打者を翻弄する巧者ぶりだ。大学日本代表でも国際大会の優勝に貢献し、米国との決勝では救援勝利を挙げた。一方、松山大学戦では5四死球も与えており、プロで先発として長い回を任されるには、走者を不用意に増やさず、少ない球数でアウトを取る精度が課題と見られるが、角田のポテンシャルからして問題にまではならないと筆者は見る。

オリックスの指名の思惑と期待

今回の指名全体を俯瞰するまでもなく、投手陣の層を厚くし、失点を減らす方針が明確である。支配下では角田に続き、2位に駒澤大学の仲井慎、5位に佛教大学の野村亮輔、6位にHondaの千葉汐凱と立て続けに指名。大学・社会人投手を4人確保した構成には、比較的早い時期の戦力化を狙う意図がうかがえる。

角田については、直球の強さに加え、曲がる球と落ちる球の完成度、将来の日本球界を代表する可能性にまで言及し、その能力を高く評価している。期待されるのは、まず一軍で三振を奪える武器を確立し、将来的に先発陣の一角を担う存在にいち早くなることだろう。

先発と救援のどちらで起用するか、適性を見極めるという消極的な考え方ではなく、ここは本人の発奮材料としても先発起用を明言し、プロシーズンをスタートさせるというのが妥当ではないだろうか。

4位の高校生・近藤琉唯斗も含め、目前の戦力確保と次世代の育成を並行する指名ぶりは、即戦力を最重要と考えつつも、一方で将来的な成長にも目を向けることも忘れないという、オリックスらしい指名を今回も徹底した恰好だ。

今季の戦績と問題点 ― 投手補強だけでは再浮上は厳しい

2026年の成績

項目成績リーグ内の位置づけ
最終順位4位クライマックスシリーズ進出を逃す
勝敗65勝76敗2分借金11
勝率.461首位と26.5ゲーム差
チーム打率.2414位
得点4835位
本塁打966位
盗塁426位
チーム防御率3.966位
失点605最多

143試合の得失点差はマイナス122。投手陣の失点抑制と、打線の得点力向上を同時に進める必要が顕著に表れた数字となった。

課題① 先発陣の選択肢を増やし、救援への負担を減らす

防御率3.96、605失点はいずれもリーグ最下位。一方、エスピノーザは13勝、防御率2.71、九里亜蓮は163回2/3を投げ、防御率3.19を記録した。軸となる投手がいるだけに、先発陣全体でゲームをつくれる試合を増やすことが、いまや緊急の課題である。

角田や仲井を早期に戦力化できれば、既存投手の休養や不調時の入れ替えにも余裕が生まれることは言うまでもない。新人一人に年間を通した活躍を求めるより、現有戦力と組み合わせて複数人で投手陣を支える設計が現実的と言えるが、角田を獲得できた以上、どういった思惑でピッチングスタッフを構成してくるか、興味は尽きない。

課題② 長打不足を解消し、少ない安打でも点を取る

打率はリーグ4位だが、本塁打は最少の96本で、決定機の得点力不足が極めて顕著である。得点も5位と低迷し、安打を得点につなげる攻撃の組み立てが他チームと比べて確立できていない。これまでの常套手段だった単打を何本も重ねる攻撃は、途中で一つアウトを取られると得点機を失いやすいデメリットの方が高いと考えるのが、最近のトレンドであり。四球で走者をため、二塁打や本塁打で返すという大胆な野球をこそ念頭に入れたい。

その意味で注目されるのがドラフト3位指名の春山陽登である。関西六大学リーグの本塁打記録を更新した長打力に加え、広い方向へ打てる高い技術も有している。まずはプロの速球や変化球への対応を進めるためにも、将来の中軸候補として打席を確保して経験を積ませたいところだが、そうした思い切った起用が果たしてできるかどうか。

既存戦力の打撃改善がやや頭打ちに見える状況もあり、春山にとっては結果を出すのに願ってもないシチュエーションが出来ている。

課題③ 走力を得点に結びつけ、育成選手にも成長機会をつくる

盗塁42はリーグ最少ではあるものの、盗塁数を増やすこと自体を目標にするべきではない。成功率を見極めた盗塁に加え、走塁の面で単打で一塁から三塁へ進む判断、外野への打球でのタッチアップなど、一つ先の塁を常に伺う姿勢をチームとしては磨くべきだろう。

育成指名では、脚力と複数守備位置への対応が評価された河田ハウエルエバン盛児、若藤季柊を指名しており、一軍の即戦力補強に加え、足を使ったチームの将来的な構築にも抜け目がない。

2026年ドラフト指名選手一覧

支配下指名

指名順選手名読み仮名年齢守備位置指名時の所属
1位角田 楓斗かくた・ふうと22歳投手富士大学
2位仲井 慎なかい・しん22歳投手駒澤大学
3位春山 陽登はるやま・あきと21歳外野手大阪商業大学
4位近藤 琉唯斗こんどう・るいと18歳投手小樽双葉高校
5位野村 亮輔のむら・りょうすけ22歳投手佛教大学
6位千葉 汐凱ちば・ゆうが24歳投手Honda

育成指名

指名順選手名読み仮名年齢守備位置指名時の所属
育成1位黒川 凌大くろかわ・りょうた18歳投手花咲徳栄高校
育成2位井尻 琉斗いじり・りゅうと22歳捕手仙台大学
育成3位吉田 健吾よしだ・けんご24歳捕手栃木ゴールデンブレーブス〔独立・BCリーグ〕
育成4位河田 ハウエルエバン 盛児かわた・はうえるえばん・じょうじ21歳内野手上武大学
育成5位若藤 季柊わかとう・かしゅう21歳内野手同朋大学
育成6位菅原 大奨すがわら・だいすけ24歳外野手鮮ど市場

以上、支配下6人、育成6人の計12人。

年齢は2026年10月22日のドラフト会議時点。所属・守備位置は球団発表。

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