長距離を走るマラソンでは水分補給は必須。マラソン選手はレース中、1時間に2L以上の汗をかくというデータがあったり、体内の水分の2%が失われるとパフォーマンスが低下すると言われていたり、レース中の水分補給がレースの結果を大きく左右するだろうことは想像に難くないと思います。
では、水分補給に何を飲むと良いのでしょうか?
2021年に開催された東京五輪のマラソンでは、スペシャルドリンクとスポーツドリンク、水の3つのうち、スポーツドリンクを受け取る選手が極端に少なかったという話があります。マラソン中にスポーツドリンクはよくないのでしょうか?
今回はその理由を推測している動画をもとに、スポーツドリンクについて解説していきます。
スポーツドリンクは糖質濃度の違いで2種類に分けられる
スポーツドリンクと言っても実は2種類あるのを知っていますか?
1つは「アイソトニック飲料」。商品名だとポカリスウェットやアクエリアスがこれにあたります。このアイソトニック飲料は運動の前後に摂取することが推奨されています。
もう1つは「ハイポトニック飲料」。これは経口補水液に近いもので、商品名だとヴァームやアミノバイタルがこれにあたり、運動中の摂取が推奨されています。
この2つ何が違うかというと中に入っている糖質の濃度が違うのです。
アイソトニック飲料は吸収速度が速い
アイソトニック飲料の方が糖質の濃度が高めに設定されています。そしてその濃度は人間の体液とほぼ同じ浸透圧、つまり体液と同じくらいの濃さなんです。
体液と同じくらいの濃さにすることで体内への吸収が速くなります。運動前のエネルギーが必要なタイミングに飲むことで、糖質を手軽に摂取でき、これから走るエネルギーを素早く補給できるということで、運動前に飲むことが推奨されているんですね。
発汗するとアイソトニック飲料の吸収速度は落ちる
ここまで聞くと、レース中でもアイソトニック飲料を飲んだ方がよいのではと思うかもしれませんが、レース中は私たちの身体の状況が変わります。
レースでは汗をたくさんかくため、体液の濃さは薄まっていきます。体液とほぼ同じ濃さに設定されているアイソトニック飲料ですが、体液が薄まることで濃さに差が生じます。その状態でアイソトニック飲料を摂取すると吸収率がかなり悪くなるんです。
それだけでなく、そういった状況下でアイソトニックの糖質をエネルギーに変えようとすると、エネルギーに変える作業で体力をつかってしまったり、喉が乾くという現象が起きてしまいます。
そのため発汗をしているタイミングではアイソトニック飲料ではなく、糖質の濃度が薄いハイポトニック飲料の方が推奨されているというわけです。
それぞれの飲み物の特徴を知って、シチュエーションに合った飲み物を選択していきたいですね。
それでは動画をご覧ください。