
「投手に筋トレは必要なのか」現場でこんな疑問を持った選手や指導者も少なくないでしょう。埼玉西武ライオンズの平良海馬投手は、高校2年から本格的なウエイトトレーニングを続け、現在防御率1点台の成績を残しています。単に「重いものを持ち上げる」だけではない、その考え方について解説します!
防御率1点台!パ・リーグトップに立つ平良海馬投手の実力
2026年、埼玉西武ライオンズの先発陣を支えている平良海馬投手。9月24日時点での成績は以下のとおりです。
- 11勝5敗
- 防御率1.36(パ・リーグ1位)
- 134奪三振
150キロ台後半のストレートを投げながら変化球も組み合わせる投球が特徴です。
平良投手は早くからウエイトトレーニングを積極的に取り入れてきた投手でもあります。その考え方は、単に「筋肉をつける」というだけではありません。
「重い身体を速く動かせる」高校2年から始まったウエイトの原点
平良投手が本格的にウエイトトレーニングを始めたのは高校2年生の10月頃。きっかけは、菊池雄星投手がデッドリフトをしている姿勢をテレビで見たことでした。
当時平良投手が感じたのは、「重い身体を速く動かせるための手段」としてのウエイトという考え方です。「重い身体を速く動かせば、速い球を投げるのではないか」という発想が、その後のトレーニングの土台となりました。
トレーニングを始めて半年ほどすると、球速だけでなく打球の飛距離や走るスピードにも変化を感じたといいます。高校時代と現在のBIG3比較は以下のとおりです。
- ベンチプレス:約85~90kg → 150kg
- スクワット:約130kg → 205kg
- デッドリフト:約130~140kg → 220kg
数値だけ見れば目を引く数字ですが、平良投手が本当に大切にしているのは、単純な数値の向上ではありません。
重さだけじゃない!「力を素早く出す能力」が投球につながる
現在の平良投手が特に重視しているのが、最大筋力と並行して力の立ち上がり速度(瞬発力)を高めることです。
野球の投球は「大きな力」を持っているだけでは十分ではありません。その力を0コンマ数秒という極短時間でいかに発揮できるかが、球速に直結します。平良投手のトレーニングは、この「瞬発力」を意識した構成になっています。
瞬発力を高めるためのトレーニング構成
オフに取り組むメニューは、大きく4種類で構成されています。
- 最大筋力系:重い重量で筋力そのものを高める
- 瞬発系:40%程度の重量を持ってジャンプするなど、素早く力を出す練習
- 投球動作系:投球動作に近い姿勢で素早く動くメニュー
- 補強系:軽い重量を高回数行い、耐久力や身体の具合を整える
高校時代は筋力を伸ばす王道のメニューが中心でしたが、プロでは「つけた筋力を競技動作でどう素早く発揮するか」まで意識している点がポイントです。
「何のためにトレーニングするか」の考え方
平良投手はウエイトをおすすめする一方で、やり方を間違えてはいけないとも考えています。
常に「目的」を明確にしてから負荷をかける
筋トレの原則に「漸進性過負荷」があります。身体の適応に合わせて少しずつ負荷を高めることで、安全に筋力を伸ばすことができます。正しいフォームを身につけながら段階的に負荷を上げるという基本がとても大切です。
「瞬発力」の構造を意識する
平良投手のトレーニング論で最も注目したいのが、この「瞬発力」の考え方です。
- ・素振りやティーバッティングも、「速く動かす」ことを意識することで瞬発力のトレーニングになる
- ・重量を使わなくても、身体を速く動かす意識を続けることが大切
年齢別の目安を持つ
平良投手は、自重トレーニングなら小学生から、重りを扱うなら中学生以降という考えを示しています。成長期のウエイトは発育状況や指導環境も考慮する必要がありますが、能力の高い中学・高校世代に対しては、「正しい知識」の下に取り組める環境を整えることが大切です。
平良投手の考え方から特に強調したいのは、「筋トレをすれば球速が上がる」と単純化しないことです。最大筋力、瞬発力、投球動作をバランスよく鍛え、自分の身体をより速く、効率よく動かせるようにする。その積み重ねが、現在の平良投手のパフォーマンスにつながっています。成長期の選手ほど「何のためにこのトレーニングをするのか」を理解して取り組むことが大切です!
海馬投手が語るトレーニング論についてはこちらの動画をチェックしてみてください。





