男らしい肉体を象徴するものといえば、丸く盛り上がった肩ですよね。そこで今回は、たくましい肩まわりをつくるのに効果的な、肩のトレーニングをご紹介します!メロンのような肩を手に入れたい人は、ぜひチャレンジしてみてください♪
肩を構成する筋肉とは
肩の筋肉は大きく、アウターマッスルの「三角筋」と、三角筋のサポートをするインナーマッスルの「ローテーターカフ」の2つに分けられます。
特に大きなはたらきをする三角筋は、さらに前部・中部・後部の3つの部位に分けられ、それぞれ以下のような役割を担っています。
- 三角筋前部…腕を内転・屈曲(前に動かす動作・上に上げる動作)させる筋肉
- 三角筋中部…肩関節を外転(外側に動かす・開く動作)させる筋肉
- 三角筋後部…肩関節の伸展・水平外転・外旋(後ろに引く・外側に回す動作)させる筋肉
前部・中部の筋肉と違い、目視しにくい後部の筋肉は鍛えにくい部位でもありますが、立体的で厚みのある肩をつくるには、前部・中部・後部を満遍なく、バランスよく鍛えてあげる必要があります。
三角筋中部にきく「サイドレイズ」
まずは三角筋中部、肩横の出っ張り部分を刺激できる「サイドレイズ」から行っていきます。ダンベルを使うので、7kgくらいのダンベルを2つ用意しておいてください。
- 足を肩幅ほどに開いて立ち、両手にダンベルを持ちます。
- 胸を張り、両腕を真横に上げていきます。
- 肩と同じ高さまで上げたら、両腕をゆっくり下ろしていきます。
- 限界まで腕を上げ下げし、腕が上がらなくなったらダンベルを置いて3秒休憩します。
- 2〜4の動作を3分間繰り返します。
腕を下げ下げする時に、7kgから8kg、8kgから10kgなどダンベルの重さを少しずつ変えて行うと、より筋肉に負荷をかけることができるので試してみてくださいね。
三角筋前部にきく「フロントレイズ」
次は、三角筋前部に刺激を与える「フロントレイズ」を行います。
こちらでは、EZバーという道具を使います。ダンベルでも代用できますが、1つあると便利なので用意しておくと良いでしょう。
- 足を肩幅ほどに開いて立ち、両手でEZバーを持ちます。
- 胸を張り、EZバーごと両腕を前方に向かって上げていきます。
- 肩と同じ高さまで上げたら、ゆっくり両腕を下ろしていきます。
- 腕の上げ下げを繰り返し、限界がきたらEZバーを置いて3秒休憩します。
- 2〜4の動作を2分間繰り返します。
三角筋後部にきく「ベントオーバーリアデルトフライ」
次は、三角筋後部、肩後ろの出っ張り部分に刺激を与える「ベントオーバーリアデルトフライ」です。
こちらは背中上部にも効くトレーニングなので、肩甲骨周辺の筋肉をしっかり収縮させるよう意識して行ってください。
- 足を肩幅ほどに開いて立ち、両手にダンベルを持ちます。
- 膝を軽く曲げ、お尻を突き出すように上半身を前に倒します。
- 前傾状態のまま、ダンベルを真横に上げていきます。
- 肩と同じ高さまで上げたら、ゆっくり両腕を下ろしていきます。
- 限界まで腕を上げ下げし、腕が上がらなくなったらダンベルを置いて3秒休憩します。
- 3〜5の動作を2分間繰り返します。
サイドレイズと同様に、ダンベルの重さを少しずつ変えて行うとより効果的ですよ。
肩全体にきく「ポストンプレス」
最後は、肩全体の筋肉に刺激を与える「ポストンプレス」です。
立った状態でも問題ないですが、インクラインベンチなどを使った方が楽に行えるので用意しておくと良いでしょう。
- ベンチに腰掛け(または立った状態)、ダンベルを両手に持ちます。
- 肘と手の甲を前に向け、ダンベルが横に並ぶように顔の前で持ちます。
- 肘を横に開きながら、肩横までダンベルを持っていきます。
- 肘を開く→閉じる動作を繰り返し、限界がきたらダンベルを置いて3秒休憩します。
- 2〜4の動作を1分間繰り返します。
こちらもサイドレイズ、ベントオーバーリアデルトフライと同様に、ダンベルの重さを少しずつ変えながら行ってみてください。
三角筋の法則とインクラインサイドレイズ
三角筋とその動きには、まだまだ知られていない法則があります。「腕の挙げ方による肩の筋肉の使われ方」「肩甲上腕リズム」を理解することで、あなたの三角筋はもっと発達します!三角筋に関する知識の紹介と最強種目であるインクラインサイドレイズのやり方を説明していきます。
インクラインサイドレイズの利点は、立位で行うサイドレイズよりも三角筋の走行と合致すること、負荷のかかる領域が広いこと、三角筋へのストレッチが強いことが考えられます。通常の立位のサイドレイズでは腕が垂直の位置(腕を下した位置)では負荷はかかりませんが、インクラインにすると体側位置で負荷がかかります。
更にもう一つの利点としては、高重量を扱っても僧帽筋の介入が少ないという利点があります。立位のサイドレイズでは高重量を扱うと僧帽筋に効いてしまうことが多いのでとても大きな利点と言えるでしょう。
理由として考えられるのは、
- ・身体が斜めになっていること
- ・肩関節外転における法則が関係しています。
腕を外向きに開く動作、これが肩関節の外転という動きです。外転動作は肩の筋肉により発生しますが、外転の角度が大きくなればなるほど僧帽筋の介入が強くなります。腕が外転30°以内まではほぼ三角筋のみになりますが、30°~90°の範囲では三角筋の働きは3分の2、66%となり、90°以上の範囲では三角筋と僧帽筋の働きは50%ずつとなります。
解剖学的には、サイドレイズで僧帽筋を介入させないことは実現不可能です。むしろ僧帽筋を使ってでも高重量を扱う方が得策かもしれませんね。
通常90°以上の肩関節外転を行おうとすると、上腕骨と肩甲骨が接触するリスクがあり、これを避けるために自然に腕が外旋、すなわち外に回す動きが入るようになっています。これは怪我のリスクの少ない自然な腕の挙げ方です。
インクラインサイドレイズでは、ダンベルを90°以上に挙げる方が感覚は良くなると思います。身体が寝ている状態なので僧帽筋の介入度合いが減ると考えられます。僧帽筋の主な作用は、肩をすくめる様に持ち上げる肩甲骨の挙上です。立位では重力は僧帽筋に100%かかりますが、斜め45°の状態であれば理論上、仕事量は半分になるはずです。
それではインクラインサイドレイズのやり方を説明していきます。
ベンチは45°程に設定し、半身で寝ます。脚は両方折りたたむか、片脚を地面につけるやり方がよいでしょう。ダンベルを持ち身体の下から120°程まで持ち上げ、腕はやや外旋させると安全です。ダンベルを完全に水平にしたまま持ち上げるのではなく、テニスのバックハンドのようにわずかに外側にあおっていくように挙げていきましょう。
ワンハンドで追い込むことに集中できるので、最終種目におすすめです。また、ダンベルを後ろから挙げるやり方も理論的には優秀だと思います。よりストレッチを感じたい人はバリエーションとしてオススメです。
おまけ
おまけで肩甲上腕リズムについて、腕は30°までの外転幅であれば他の骨の助けを借りず上腕単独で外転することができます。30°以上外転する場合には、肩甲骨も一緒に上向きに回転し肩甲骨の補助を借りて外転しています。この肩甲骨の上向きの動きを上方回旋と呼びます。そして、外転30°以降の範囲において腕の外転幅と肩甲骨の上方回旋の比率は常に2:1になる形で動きます。例えば、腕が30°の位置から90°の位置に向かって60°の外転を起こす時肩甲骨は30°上方法回旋します。この比率が2:1になっています。この法則を肩甲上腕リズムといいます。
肩トレーニングのポイント・注意点
この5種目の肩トレーニングは上級者向けというのもあり、かなり肩に負荷がかかります。肩関節を痛めないためだけでなく、肩への刺激を極限まで高めるためにも、動作の合間に3秒間の休憩、次の種目に移る前には1分間の休憩をとり入れるようにしてください。
とはいえ、休憩を長くとりすぎるとトレーニングの効果を最大限に得られませんし、遅れを取り戻そうと焦ってフォームが崩れるおそれがあります。フォームを崩すと筋肉をうまく刺激できないだけでなく、肩を痛めてしまうおそれもあるので、正しいフォームと時間でトレーニングを行うようにしましょう。
5種目通して行うのはかなり大変ですが、継続すればたくましい肩をきっと手にできるはずです。負荷が強いトレーニングなので、正しいフォームと注意点をおさえた上で、ケガに注意して行うようにしてください。
私が実際に感じるのは、肩の発達において重要なのはまず「プレス種目」です。レイズ種目だけで効率的な発達をすることは難しいでしょうし、軽い重量だけで発達も望めません。
プレス種目や高重量のセットは筋肉という風船自体を大きくするものであり、一方で補助種目や軽い重量でのセットはその風船内での最大値を得る行為です。風船そのものを大きくする効果は極小で、風船の最大値自体が大きくならない限りそれ以上の発達はありえません。
この考えは三角筋だけでなく全身においてもいえることだと思います。このことを理解し、一つの動作、種目にこだわることなくトレーニングに取り組んでいくことが身体の発達の近道だと感じています。
もちろん得意・不得意はあると思いますので、不得意な部位ほど色々なアプローチをして、一定の期間継続して実施しましょう。そこで経過を必ず確認し、続けるのか、新しい刺激にするのかの検討をします。これをひたすらに繰り返して継続していくことが重要だと思います。周りに流されず、自分に必要な種目、強度を適切に選択してトレーニングに取り組んでください。