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陸上競技 サニブラウン・アブデル・ハキーム選手の速さの秘密は肩甲骨! 肩甲骨の可動域を出すためのエクササイズも紹介|短距離 100m 200m

陸上競技 サニブラウン・アブデル・ハキーム選手の速さの秘密は肩甲骨! 肩甲骨の可動域を出すためのエクササイズも紹介|短距離 100m 200m

これまで何十年もの間、陸上競技の短距離走において、日本人が世界レベルの大会の決勝に進出する、つまり世界のベスト8に入るなんてことはありませんでした。期待もほとんどされていなかったのではないでしょうか。

しかし、近年は私たちに期待を持たせてくれる選手が多くいます。2017年桐生選手が10秒の壁を日本人で初めて突破してからというもの、確実に男子100m選手陣のレベルは上がりました。

そして、2022年には世界陸上で初めて日本人が決勝進出を果たします。それが、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手です。サニブラウン選手は翌2023年の世界陸上でも決勝進出を果たしています。今、日本人の中では世界最速に最も近い選手と言えるでしょう。

本稿ではサニブラウン選手の速さの秘訣に迫ります!

サニブラウン選手の生い立ちとこれまでの功績

サニブラウン選手のこれまでの功績を振り返ります。

ガーナと日本のハーフ

父親はガーナ人で、元サッカー選手。母親は日本人で陸上競技のハードルで高校の時に全国大会に出場した経験を持つ実力者。そんな運動神経抜群の両親のもとに、1999年にサニブラウン選手が生まれます。

小学3年生の時に陸上競技を始める

父親の影響でサッカーを始めますが、小学生の時に母親に勧められ陸上競技に転向します。

小学生の時は、アトランタオリンピック4×400mリレー5位入賞時のアンカーであった大森誠一さんが監督を務めているアスリートフォレストトラッククラブに所属。主に短距離の練習をしながらも、走り幅跳びの元日本記録保持者である森長正樹さんから走り幅跳びの指導も受けていたそうです。

小学6年生の時、全国小学生陸上競技交流大会に4×100mリレーで出場しています。

中学3年生で10秒88をマーク

城西大学附属城西中学高等学校に進学後、陸上部の顧問である、シドニーオリンピックで日本代表だった山村貴彦さんの指導を受けます。そして、中学3年生の時、身長が大幅に伸びていくと同時に、タイムも伸ばしていき、中学3年生で10秒88の記録を出します。

高校2年生でウサイン・ボルトを超える

高校に進学後、サニブラウン選手の才能が一気に開花。かずかずの記録を残していきます。中でも、サニブラウン選手の名前を世界に広めたのは、高校2年生の時に出場した世界ユース陸上競技選手権大会。

100m・200mで2冠に輝き、なんと両方で大会新記録を樹立。しかも200mの大会記録は、あのウサイン・ボルト選手がもっていた大会記録を塗り替えたんです。ウサイン・ボルト選手を破った選手として、世界から注目を集めるようになります。

2019年に日本新記録を樹立

2019年5月、サニブラウン選手は9秒99のタイムを出し、日本人として2人目となる9秒台をマークします。しかし勢いはここで終わりませんでした。同年6月、9秒97をマーク!桐生祥秀選手がもつ9秒98を上回り、見事日本記録を更新します。

同年の日本選手権では100mと200mの2冠を達成。100mは大会新記録でした。名実ともに日本のトップに躍り出ますが、その後やや調子を落とします。

しかし、サニブラウン選手はここでは終わりません!2022年、2023年と2年連続で世界陸上100mで決勝進出を果たします。世界陸上の決勝進出は日本人選手として初!学生の頃からさまざまな歴史を作ってきているんです。

参照元:【陸上】ボルトの記録を超えた男の物語/サニブラウン

サニブラウン選手の足の速さの秘訣

サニブラウン選手はなぜこんなにも速いのか。ここからは足の速さの秘訣に迫ります!

まずは日本選手権で優勝した時の映像をご覧ください。

参照元:第103回日本選手権陸上男子100m決勝-サニブラウンが優勝

他の選手と比べて独特なフォームをしていると思いませんか?サニブラウン選手は高身長のため腕は長いですが、それを差し引いたとしても腕の振り方が大きく見えます。同じくらいの身長がある飯塚翔太選手やケンブリッジ飛鳥選手と見比べても、腕の振り幅が大きいように感じませんか?ここにサニブラウン選手の速さの秘密が隠されているんです。

肩甲骨の可動域がすごい

サニブラウン選手は腕振りに特徴があります。

通常、肩関節を中心に腕を振りますが、サニブラウン選手の場合、肩全体を前に押し出すようにして腕を振っています。これができるのは肩甲骨の可動域が非常に大きいためです。

腕だけを振るのではなく、肘を後ろに引く時は肩甲骨が背骨に寄る方向(内転)に動き、腕を前に出す時は肩甲骨が背骨から離れる方向(外転)に動きます。腕だけでなく、肩甲骨の内転・外転の動きも連動しており、その可動域が大きいので、このような見た目の腕振りになっているんです。

特に特徴的なのは外転の動きです。肩甲骨の内転の動きはほとんどの選手は難なく意識できると思いますが、このスピードの中で肩甲骨の外転の動きをここまで出すことは至難の技。肩甲骨から前に出すことで重心移動がしやすく、どんどん加速していけるんです。

肩甲骨の動きを上げるためのエクササイズ

サニブラウン選手のように大きな腕ふりをしたい方は、以下のエクササイズを試してみてください!「立甲(りっこう)」とも呼ばれる動きになります。

①四つん這いで肩甲骨の内転・外転

まずはこれを試してみましょう。

<やり方>

  1. 四つん這いになる
  2. 肘は伸ばした状態をキープしたまま胸を上げ下げする
  3. これを繰り返す
    ※肩甲骨を寄せる感覚、離れる感覚を確認しながら行いましょう。
    ※床と天井方向に胸を動かします。頭とお尻の方向に上下しないよう注意しましょう。

この時首の長さが短くならないよう意識してください。肩がすくむような形になると肩甲骨の可動域は下がります。首を長く保ち、肩甲骨がお尻側に下げられている状態(下制した状態)で行えるようにしましょう。

②腕立て伏せの状態で肩甲骨の内転・外転

①が問題なくできるようになったら、次は膝を床から離し、腕立て伏せの状態で同じように肘を伸ばしたまま胸を上下させます。①よりも負荷が上がります。注意点や意識すべきポイントは①と同じです。

参照元:【サニブラウン・ハキーム】足が速くなる肩甲骨の動かし方 メカニズムとそのトレーニング方法【YouTube体育大学】

パリで開催される国際大会では、サニブラウン選手がまた新たな歴史を作ってくれるかもしれません!今後のサニブラウン選手に期待です!海外の選手の腕ふりにも注目しつつ観戦を楽しんでください!

ABOUT THE AUTHOR

パーソナルトレーナー井上美紀
筑波大学 体育専門学群卒業後、約12年間のサラリーマン生活を経てパーソナルトレーナーに転身。一人ひとりその日の調子を見て「トレーニング」「ストレッチ」「整体」を組み合わせた施術で、その人が持っている力を最大限に引き出すサポートをしている。年代は未就学児から70代までと幅広く対応。肩凝り・腰痛・不定愁訴などの対応をメインとしながら、頚髄損傷を含む身体障がい者へのトレーニング・ケア、パラアスリートのサポートも行っている。
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