突然ですが、あなたは自重懸垂が10回できますか?もしできない場合、何をすれば自重懸垂が10回できるようになると思いますか?恐らくできる人に聞くとほとんどが「懸垂にチャレンジし続けること」というかと思います。果たしてこの上級者達の感覚は真実なのか、科学的に考察し説明していきます。
ラットプルダウンは懸垂に貢献するのか
エリート水泳チームに所属する女性を対象に、自重懸垂(限界まで)、ラットプル(1RM)、ラットプル(80%1RM)の反復能力を測定しました。
結果は、懸垂はラットプル(1RM)とは中程度の相関がありましたが、ラットプルの反復回数とは相関はありませんでした。すなわち、ラットプルの最大重量が伸びれば、自重懸垂の回数も伸びる可能性はありますが、一般的に行っている10回前後のラットプルは関係が薄いです。
論文では、一見類似したエクササイズでも関連性が高いわけではなく、互いに代替すべきでないと記載されています。
どの種目が懸垂と似ているか
別の研究では、10レップ以下、10レップ以上の場合に分けて懸垂、ラットプル、ニーリングラットプル、アシスト懸垂の筋活動の調査をしました。
まず、10レップ以下の場合は懸垂とラットプルの筋活動様式はかなり違っていて、意外にも懸垂とアシスト懸垂の筋活動様式は大きく異なります。むしろ懸垂とニーリングラットプルが筋活動様式が似ていました。
10レップ以上の場合でも、懸垂とそれ以外の種目の活動様式は似ていないということがわかり、ラットプルやアシスト懸垂の延長線上に懸垂があるわけではなく懸垂が唯一無二の種目であることが科学的にも明らかになりました。
自重懸垂の回数を上げる方法
個人的意見になりますが、自重懸垂の回数を上げる方法を紹介していきます。中心的に行う種目は、ゴムバンドを使ったアシスト懸垂や、バーに飛びついてから下ろす時だけ耐える懸垂が良いと考えます。斜め懸垂やラットプルで練習するのも悪くはありませんが、縦にぶら下がる感覚が養われにくいので最適解ではないと感じます。まずは、身体を持ち上げる感覚自体を養うことが重要だと考えています。
また、パラレルグリップでの懸垂も有効です。パラレルグリップは二頭筋の介入が大きく、身体を持ち上げる力を大きくできます。さらに、足を後ろで組むことで身体全体の体積を小さくすることができ、身体が持ち上がりやすくなります。そして目線は動作中は前を見るようにしましょう。
トレーニングメニューとしては、懸垂の練習種目は週に4、5回チャレンジし各トレーニングの初めに3セット程度行うようにし、数か月頑張れば自重懸垂ができるようになってくると思います。
「懸垂をするためには懸垂をする」が一番の近道なようです。私個人的には「体重の減少」も自重懸垂ができるかできないかに関わってくると感じています。純粋に身体が軽い方が持ち上がります。自重懸垂を出来るようになりたい方は、トレーニングと並行して体重管理もしてみてはいかがでしょうか。