陸上競技の花形である100m走。2017年に桐生祥秀選手が10秒の壁を破ってから、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手や小池祐貴選手、山縣亮太選手も続いて9秒台に突入しました。
近年では国際大会の決勝にも日本人が進出するようになり、4×100mリレーでは国際大会でもメダルを期待されるほどになりました。選手層も厚く、確実に国内の男子100mのレベルは上がってきています。
そんな100m走の現在の日本記録は山縣亮太選手が2021年に出した9秒95。山縣選手は100m走で高校時代から長年国内トップに君臨し続けている選手です。本稿ではそんな山縣選手のフォームについて、末尾の動画をもとに解説します。是非一つでも、ご自身の走り方改善の参考にしてください。
スタートポジションで体重を支える肩の筋力
100m走のスタート合図は「On your marks」「Set」と言った後に号砲がなります。山縣選手のスタートの体勢は、「On your marks」の時は手のほぼ真上に肩がありますが、「Set」では手よりも肩が前に出てきます。これは身体の重心を前へ移動しているためです。
この体勢をキープできる要因は肩の筋力です。身体の重心を前に出すと、その分肩周りで支える重さが増します。肩周りが弱いとその体勢をキープすることが難しくなりますが、山縣選手の肩はみるからにしっかりしていますよね。この肩の筋肉がスタートダッシュへ繋がっているんです。
最後まで若干の前傾をキープ
スタート時は身体が前傾していますが、60m前後でトップスピードになってからは、身体の傾きは、ほとんどの選手が垂直まで持ち上がります。しかし山縣選手はラストまで若干の前傾姿勢をキープします。
身体を前傾にすることで重心が前へ転がりやすくなるというメリットがある一方、前傾をキープするためには体幹の強さと体幹のコントロール能力が必要です。その点でも優れている山縣選手だからこそなせる技なのかもしれません。
手足のスイングがコンパクト
手足のスイングが左右にもブレず、前後にも全く無駄のないスイングをしています。身体の前では、膝の余分な開きがなく、上げた脚をそのまま真下に落としていきます。接地した脚も余分に地面を蹴ることなく素早く前へ送り出してます。コンパクトに回転させることで、回転のスピードが上がります。山縣選手のすごいところは、ストライドを縮めることなくこれを実現させている点です。
いかがでしょうか?1つ1つフォームを分解していくと、どれか1つは取り込めそうなテクニックや意識があるのではないでしょうか?動画では他にも山縣選手のフォームの特徴について解説しています。興味がある方は最後までご覧ください。