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「つなぐ5番」が最後は満塁弾!横浜・江坂佳史が日南学園を突き放した一撃

「つなぐ5番」が最後は満塁弾!横浜・江坂佳史が日南学園を突き放した一撃

大会10日目 2回戦
横浜 10-1 日南学園

2026年8月14日、第108回全国高校野球選手権大会2回戦で、神奈川代表・横浜宮崎代表・日南学園が対戦。中盤まで1-1の接戦だったが、横浜が7回に4得点。さらに9回、3年生・江坂佳史(えさか よしふみ)が左翼席へ満塁本塁打を放ち、10-1で勝利した。江坂は序盤に2度の犠打を決め、最後は長打力を解放。「5番打者」でありながら状況に応じて役割を変える姿が、横浜の層の厚さを象徴した一戦となった。 

横浜は3回、千島大翼が出塁して盗塁を決めると、小野舜友が中前適時打を放ち先制。日南学園も4回、田中皐晴の二塁打などから好機を作り、下川源次の中前適時打で1-1とした。6回には日南学園が無死満塁まで攻めたが、横浜のエース織田翔希が救援し無失点。すると7回、千島の勝ち越し三塁打、小野の適時打、池田聖摩の2点打で一挙4点。9回には江坂の満塁弾などで5点を加え、10-1で決着した。

最終スコア

横浜   001 000 405|10
日南学園 000 100 000|1

横浜10安打・無失策、日南学園6安打・3失策。横浜は2年連続の16強入りを決め、この勝利で春夏通算の甲子園勝利数を70勝とした。

両校の地方大会の勝ち上がり

横浜 ― 江坂も「つなぎ役」として神奈川大会を圧倒、

横浜は2回戦で湘南工大付を7-0、3回戦は住吉を11-0。4回戦では強豪・東海大相模を8-1で退け、5回戦も三浦学苑に12-0と大勝した。準々決勝は市ケ尾を11-4、準決勝では慶応を4-0で完封。決勝も桐光学園を11-1で圧倒し、2年連続22回目の夏の甲子園出場を決めた。7試合中4試合で二桁得点、失点は計6。投打とも隙の少ない勝ち上がりだった。

江坂は174センチ82キロの右打者。神奈川大会では下位を打つ試合もあり、決勝の桐光学園戦では遊ゴロの間に走者を返すなど、強振だけではなく状況に応じた打撃を担った。甲子園では5番へ。長打を期待される打者でありながら、小技も厭わない点が横浜打線の特徴を体現している。

日南学園 ― 左右の二枚看板で宮崎を制覇

日南学園は2回戦で桜美学園に7-2、3回戦では日章学園との打撃戦を8-6で制した。準々決勝は高鍋に3-1、準決勝は佐土原を2-0と、勝ち進むにつれて投手力が安定。決勝では小林西を相手に19安打を浴びせて11-0田中皐晴と2年生左腕・谷口銀次郎の継投で完封し、8年ぶり10回目の甲子園を決めた。5試合31得点、特に準々決勝以降はわずか1失点だった。

最大の武器は田中と谷口の左右二枚看板。投手としてだけでなく打線でも中軸を担い、宮崎大会決勝ではチームが19安打11得点。この「投げても打っても中心」という2人を軸に、日南学園は明徳義塾との甲子園初戦も2-1で突破して横浜戦を迎えた。

分岐点― 最後の一発につながった「6回無死満塁」

スコアだけを見れば江坂の満塁弾が決定打だが、本当の分岐点は1-1の6回裏だった。日南学園は豊丸蒼大の二塁打などで無死二、三塁。横浜は田中を申告敬遠して満塁とし、ここでエース織田翔希を投入した。織田は谷口を見逃し三振、続く下川を二塁ゴロ併殺に仕留め、一点も与えない。最大のピンチを消した直後、横浜は7回に4点を奪った。まさに攻守の流れが反転した瞬間だった。

江坂佳史、5番の仕事を変え続けて最後は満塁弾

この試合を象徴したのは9回2死満塁の江坂だ。日南学園はここで谷口から田中へスイッチ。江坂は初球のスライダーを見送り、続く132キロの直球を捉えると打球は左翼席へ。大会第5号となる満塁本塁打で6-1から10-1へ突き放した。しかも江坂は2回、4回にはいずれも犠打を成功させている。強打の5番が序盤は走者を進め、最後は自ら4人を返す――横浜野球の柔軟性を一人で表現したような一戦だった。

横浜で光った3選手

江坂 佳史(えさか よしふみ)

3年/背番号7/左翼手

174センチ82キロ、右投げ右打ち。芯で捉えた際の長打力に加え、状況に応じて右方向への打撃や犠打も選択できる柔軟性が魅力だ。この日は3打数1安打4打点、2犠打。本塁打が注目されるが、2回と4回には5番でありながらきっちり送りバントを決めた。9回2死満塁では132キロの直球を左翼席へ運び、甲子園初本塁打をグランドスラムで飾った。

織田 翔希(おだ しょうき)

3年/背番号1/投手

186センチの本格派右腕。大会屈指の速球を武器とする横浜のエースだ。この日は先発ではなく6回無死満塁から登板。谷口を見逃し三振、下川を二ゴロ併殺に打ち取り、最大の危機をわずか2打者で脱出した。その後も3回を投げ1安打無失点、4奪三振。球速は156キロを記録し、日南学園の勝ち越しムードを一気に消し去った。

この救援が江坂の満塁弾以上に試合の流れを変えたともいえる。日南学園が誇る田中・谷口の中軸を力で押し込み、「得点できる最大の場面」を封殺。その直後に横浜が4点を奪ったことで、日南学園は谷口を続投させながら追う展開を強いられた。

千島 大翼(ちしま たいよう)

3年/背番号9/右翼手

173センチ78キロの右打者。下位打線ながら長打力と機動力を併せ持ち、この日は横浜の攻撃を動かした。3回には出塁すると二盗を成功させ、小野の先制打で生還。最大の仕事は1-1の7回2死二塁から放った中越えの勝ち越し三塁打だ。9回にも犠飛を放ち、3打数1安打2打点、2得点、1盗塁。9番打者から得点機を作れる横浜の厚みを示した。

日南学園で光った3選手

田中 皐晴(たなか こうせい)

3年/背番号1/右翼手・投手

183センチ87キロ、右投げ左打ち。力強い打撃と投手としての能力を兼ね備えた二刀流で、日南学園の中心選手。この日は3打数2安打1四球。初回に右前打、4回には右翼線への二塁打を放ち、チーム唯一の得点につながる走者となった。6回無死二、三塁では横浜から申告敬遠され、その存在そのものが相手ベンチに警戒を強いた。

しかし、その申告敬遠後の無死満塁を織田に封じられたことが最大の誤算。9回には谷口からマウンドを引き継いだものの、江坂への2球目、132キロの直球を左翼席まで運ばれた。打者としては持ち味を発揮した一方、投手としては江坂のパワーを止めきれなかった。

豊丸 蒼大(とよまる そうた)

2年/背番号4/二塁手

167センチ68キロの右打者。小柄ながらバットコントロールに優れ、二遊間の守備でもチームを支える2年生。この日は4打数2安打。6回には左翼線への二塁打を放ち、荒木未星の安打と合わせて無死二、三塁という絶好の勝ち越し機を作った。8回にも右前打を放ち、横浜投手陣を相手にチーム最多タイの2安打を記録した。

ただし、豊丸が作った6回の好機は得点につながらなかった。後続が織田に封じられたことで、2安打という活躍がスコアに反映されず。日南学園としては、この2年生が用意した「勝ち越すための舞台」をものにできなかったことが大きな敗因となった。

下川 源次(しもかわ げんじ)

3年/背番号7/左翼手

175センチ76キロの右打者。中軸で走者を返す勝負強さが持ち味。この日は4打数1安打1打点。4回1死三塁、0-2と追い込まれながら中前へ適時打を放ち、1-1の同点に追いついた。この一打によって日南学園は中盤まで優勝候補・横浜と互角の展開に持ち込んだ。

一方、明暗を分けたのは6回無死満塁。織田に谷口が三振に取られた後、下川は併殺打に倒れた。同点打を放った勝負強い打者が、さらに重要な打席では横浜のエースに持ち味を消された。日南学園にとって、この一打が出なかったことが最も痛かった。

「落球なのに横浜が2アウト」の珍プレー

6回表には珍しい攻防もあった。1死一塁で江坂が右翼へ飛球を打ち上げ、田中が落球。通常なら横浜の好機拡大となるところだったが、二塁を狙った江坂がオーバーランしてタッチアウト。さらに三塁へ進んでいた川上慧がその間に本塁へ突入したものの、素早い返球でこちらもタッチアウトとなった。日南学園は一つの落球から逆に二つのアウトを奪って攻撃を終了させる好リカバリー。甲子園の観客を大きく沸かせた。

戦評 ― 江坂佳史が示した「横浜の5番」の価値

江坂のこの試合を「満塁本塁打を打った試合」だけで片付けるのは惜しい。2回と4回は自分の長打を捨てて犠打。6回には走塁死を喫し、8回も左飛に倒れた。それでも9回2死満塁、最後に巡ってきた「振って返すべき場面」では迷わず仕留めた。

3打数1安打ながら4打点、そして2犠打。数字以上に、場面ごとに求められた仕事を遂行した5番だった。

横浜が強い理由は、織田翔希の156キロだけでも、上位打線の破壊力だけでもない。「送れ」となれば送り、「決めろ」と託されればスタンドへ運ぶ。江坂佳史の一日は、2026年の横浜というチームの完成度そのものを見事に反映してみせた。

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