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甲子園初打席で逆転打!有明・広沢遼太朗、8回2死満塁の一打で初の8強を呼び込む 

甲子園初打席で逆転打!有明・広沢遼太朗、8回2死満塁の一打で初の8強を呼び込む 

三回戦
有明(熊本) 4 – 1 東日大昌平(福島)

2026年8月16日、第108回全国高校野球選手権大会3回戦。有明(熊本)東日大昌平(福島)に初回から1点を追う苦しい展開となったが、8回2死満塁で代打・広沢遼太朗(ひろさわ りょうたろう)が左前へ逆転の2点適時打。続く栄井彰(さかい しょう)も2点打を放ち4-1で逆転勝利した。広沢にとってはこれが甲子園初打席。たった一度の打席で、有明を学校史上初の8強へ導いた。 

東日大昌平は初回、先頭・渡邊頼都(わたなべ らいと)が左翼線へ二塁打。入ケ町隼仁(いりがまち はやと)が犠打で三塁へ送り、3番・峯大珠(みね たいじゅ)が右前適時打を放って1-0とした。有明は3回に永田晴輝(ながた せいき)が二塁打、5回にも髙橋春喜(たかはし はるき)が安打を放つなど走者は出すものの、照沼佑崇(てるぬま ゆたか)の前にあと一本が出ない。東日大昌平も2回の一、二塁、7回の二塁など追加点の機会を生かせず、1-0のまま試合は8回へ入った。

1点を追う8回、有明は1死から永田がプッシュバントで出塁し、西山享太郎(にしやま きょうたろう)が四球。東日大昌平はここで照沼から白田夢真(しろた ゆま)へ継投した。直後に有明は重盗を成功させ二、三塁。2死後、十文字彩輝(じゅうもんじ さいき)が死球を受け満塁となった。ここで代打・広沢が登場。カウント2-1から左前へ運び、二者を生還させる逆転打を放った。甲子園初打席で、学校史を動かす一打となった。

有明―熊本大会から「ロースコアを勝ち切る野球」でベスト8へ

有明は熊本大会2回戦で千原台を5-0、3回戦で開新を5-0、準々決勝は岱志を10-0と3試合連続完封。準決勝ではセンバツ出場の熊本工との延長11回を5-4で制し、決勝は東海大熊本星翔を4-1で撃破した。決勝では実田聡志(さねだ そうし)の犠飛、高橋、永田の適時打など、足と小技を絡めながら着実に加点。前年決勝で敗れた相手への雪辱を果たし、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。 

甲子園では1回戦で立命館宇治に6-3で勝利。続く2回戦では長崎日大を3-2で破った。長崎日大戦はわずか4安打ながら、相手失策や積極的な走塁を得点へ結びつけ、3失策を犯しながらも守備の連係で再三のピンチを脱出。地方大会から続く「大量安打より、守って走って点を奪う」スタイルで16強まで勝ち上がった。

東日大昌平―聖光学院を破り、初出場で甲子園2勝

東日大昌平は福島大会1回戦で安積を4-0、2回戦は只見を11-0、3回戦も勿来工を10-0。準々決勝は清陵情報を4-0で下した。準決勝では大会5連覇を狙った聖光学院に3-2で逆転勝ち。決勝では学法石川との打撃戦を10-7で制した。初回3点、2回2点と序盤から攻め、全6試合42得点の攻撃力で春夏通じ初の甲子園切符をつかんだ。

甲子園でも勢いは続いた。1回戦は白樺学園を2-1、2回戦では青森山田を6-2で撃破。青森山田戦は1-1の5回、小内壱晟(こうち いっせい)のバスターによる勝ち越し二塁打をきっかけに一挙5得点。エース照沼は白樺学園戦に続いて2試合連続完投し、計18回253球、3失点。初出場ながら東北の強豪を破って16強入りした。

ハイライト―「前日から準備した代打」が一振りで景色を変えた

広沢はスタメンではなかったが、それでも前日から代打出場を想定して準備し、巡ってきたのは8回2死満塁という試合最大の場面だった。しかも有明は7回まで無得点。凡退すれば1点差のまま最終回へ向かう状況で、広沢は逆方向となる左前へ冷静に運んだ。さらに代走・空見大愛(そらみ だいあ)の盗塁後、栄井が右前2点打。広沢の一打を起点に、有明は一気に4点を奪って試合をひっくり返した。

有明で光った3選手

広沢 遼太朗(ひろさわ りょうたろう)

3年/背番号15/代打

右投げ左打ち、175センチ76キロ。スタメンではなく、勝負どころの一打を託される左の代打要員。この日は8回2死満塁で今大会初打席。カウント2-1から白田の球を左前へ弾き返し、1-0を2-1へ変える逆転2点打を放った。直後に代走を送られたため出場はこの一打席だけ。それでも「一度しかない可能性」に準備を合わせる勝負強さで、初の8強を引き寄せた。

一方で、広沢は立命館宇治戦、長崎日大戦では打席に立っておらず、レギュラーとして試合のリズムをつかめる立場ではなかった。だからこそ、照沼から白田へ代わった直後という難しい局面で結果を出した価値は大きい。守備や複数打席で貢献する機会こそなかったが、「ここ一番の代打」という自らの役割を果たした。

斉藤 遼汰郎(さいとう りょうたろう)

3年/背番号1/投手

175センチ76キロの左腕。有明投手陣の軸で、奪三振能力と粘り強く試合を作る投球が持ち味。この日は本来救援予定だったが、工修哉(たくみ しゅうや)の負傷によって試合直前に緊急先発。初回こそ3安打で1点を失ったものの、その後は追加点を許さず、9回109球、5安打、7奪三振、2四球1死球、1失点で完投した。7回まで0-1で踏ん張ったからこそ、広沢の一打が逆転打になった。

初回には渡邊の二塁打から峯に適時打を許し、東日大昌平の「上位打線で先手を取る」攻撃を防げなかった。しかし2回以降は得点圏に走者を背負っても粘り、特に8回は上位打線を三者凡退。相手の最大の持ち味だった追加点を奪わせず、わずか1点差を維持し続けたことが最大の勝因だった。

永田 晴輝(ながた せいき)

3年/背番号4/二塁手

175センチ69キロ、右投げ左打ち。有明の1番打者で、最大の魅力はスピード。この日は5打数2安打1得点1盗塁。3回に二塁打を放ち、そして8回1死では投手左への絶妙なプッシュバントで出塁。西山の四球後には重盗で三塁を陥れ、広沢の逆転打で生還した。有明らしい機動力野球を体現した存在だった。

3回には二塁打で出塁しながら、西山の三ゴロで走塁死。序盤は得意の足を得点へ結びつけられなかった。それでも8回はバント安打と重盗で相手守備に圧力をかけ、照沼降板後の白田にも落ち着く時間を与えなかった。序盤の失敗を終盤の機動力で取り返した格好だ。

東日大昌平で光った3選手

照沼 佑崇(てるぬま ゆうき)

3年/背番号1/投手

173センチ78キロの右腕。白樺学園、青森山田との2試合を連続完投してきたエースで、球数を重ねても試合をまとめられるスタミナと粘りが武器。この日も7回まで有明を無得点に封じ、7回1/3を5安打6奪三振、2失点。大会3試合目でも安定した投球を見せ、初出場校を8強目前まで導いた。

敗因となったのは8回。1死から永田にバント安打、西山に四球を許したところで降板し、残した2走者が広沢の一打でともに生還した。7回まで抑えた有明の機動力を最後に封じ切れず、後続投手にも重圧を残した。それでも3試合にわたりチームを支え続けた投球内容は、東日大昌平の初出場2勝を象徴するものだった。

峯大珠(みね たいじゅ)

3年/背番号9/指名打者

167センチ70キロの左打者で3番を任される中軸。初回1死三塁、斉藤の球を右前へ運び、渡邊を返して先制点を挙げた。この一打で東日大昌平は早々に試合の主導権を握り、照沼が大胆に投げられる展開を作った。4打数1安打1打点ながら、その一本は「先手を取る」という意味で極めて大きかった。

しかしその後は斉藤に封じられ、3回は併殺打、6回と8回は連続三振。先制打を放った3番が追加点の場面で機能できなかったことは痛かった。特に8回裏、逆転された直後の2死無走者で空振り三振。中軸から反撃を始めたい場面で、斉藤が峯の持ち味を完全に消した。

渡邊 頼都(わたなべ らいと)

3年/背番号5/三塁手

167センチ73キロ、右投げ左打ちの1番打者。前2試合では5四球を選ぶなど選球眼で出塁してきたリードオフマンだが、この日はバットでも結果を残した。初回先頭で左翼線二塁打を放ち、犠打で三塁へ進んで峯の適時打で先制のホームを踏んだ。5回にも中前打を放ち、4打数2安打。東日大昌平では唯一のマルチ安打だった。

一方、5回の安打では後続が続かず追加点にはならず、8回には先頭打者として二ゴロ。1番打者として二度出塁しながら、それを初回以外は得点へつなげられなかった。渡邊自身は十分に役割を果たしただけに、その後を斉藤が分断したことが東日大昌平にとって大きな誤算だった。

アクシデント―先発予定・工修哉(有明)が試合直前に負傷

有明には試合開始直前、最大級のアクシデントがあった。当初は工修哉が先発し、斉藤へつなぐ予定だったが、オーダー提出後の試合前練習で工が左手を負傷。急遽エース斉藤が先発へ回った。事前に組んでいた継投プランが完全に崩れる事態だったが、斉藤は9回109球を一人で投げ切った。結果的に、この緊急登板が広沢の逆転打へつながる「1点差を守る9イニング」を生んだ。

もう一つの大きな動きは8回の東日大昌平の継投だった。照沼が1死一、二塁としたところで白田へ交代。だが有明は直後に重盗を成功させ、死球で満塁として広沢が逆転打。続く栄井にも2点打を浴びた。継投自体は疲労を考えれば理解できる選択だったが、結果的にはこの投手交代直後に試合が一気に動いた。

戦評 ―「出番は一度」の3年生が、有明の歴史を変えた

この試合の広沢遼太朗には、打席も守備機会もなかった。与えられたのは、8回2死満塁のたった一打席

7回まで無得点。相手には2試合連続完投中のエースがいて、先発予定だった工は試合直前に負傷。それでも斉藤が1点差を守り、永田がバント安打と足で好機を作り、最後に広沢へ打席が巡ってきた。

そして甲子園初打席で逆転の2点適時打。

有明は4-1で勝ち、春夏通じて初のベスト8へ。熊本県勢の「甲子園初出場校」による8強入りとしても1963年の九州学院以来63年ぶりの快挙となった。派手なスターだけではなく、ベンチで出番を待ち続けた背番号15が勝敗を決める―高校野球らしさが凝縮された一戦だった。

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