
2026年10月25日・日本シリーズ第2戦は、第1戦に続いて白熱の延長戦となったが、福岡ソフトバンクホークスが延長10回に川村友斗のソロ弾で遂に勝ち越し、4-3で横浜DeNAベイスターズを破った。これでホークスは敵地横浜スタジアムで2連勝となり、最高の形でホーム・みずほPayPayドームで第3戦へと向かう形になった。
川村友斗 ― 代走から打席に立った男が決勝殊勲打
延長10回表に決勝となるソロ弾を放った川村友斗は、今シーズンの本塁打はなんと「0」。日本シリーズ初打席ながら値千金の一発が最高の場面で飛び出し、一気に「シリーズ男」の最有力候補に躍り出た。
川村は、8回表に柳田悠岐の代走として出場すると、3―3の延長10回1死、DeNAの伊勢大夢のチェンジアップを完璧に捉えて、バックスクリーンへ叩き込んだ。「最高の形になってよかった」と試合後のヒーローインタビューで満面の笑顔を見せた。
川村は1999年8月13日生まれ、北海道出身の27歳。北海高校では2年夏の甲子園で準優勝を経験し、仙台大を経て2021年育成ドラフト2位で入団した。2024年3月に支配下登録を勝ち取り、走力と外野守備で出場機会を築いてきた右投げ左打ちの外野手だ。
今季は103試合に出場したが、45打席で4安打、打率9分5厘。本塁打もなく、主な役割は代走と守備固めといういわば「ベンチ要員」。それでも今回限られた大舞台で大仕事をやってのけた。育成出身の伏兵が放った一撃は、先発メンバー以外にも試合を決める力まであるという、ソフトバンクの底知れぬ選手層を象徴する打席でもあった。
分岐点 ― 筒香の逆転3ランにも動じなかったチーム力
ソフトバンクは3回表に正木智也のソロで先制し、4回表には庄子雄大の適時二塁打でリードを広げる理想的な試合運び。投げては、先発モイネロも7回5安打8奪三振、無失点と完全に勝利をたぐりよせる主導権を握ったかに思われた。
だが8回裏、2番手・松本裕樹が安打と死球で走者を貯めると、筒香嘉智に逆転3ランを浴びて一気に形勢が逆転。直前の攻撃でソフトバンクが無死一、二塁から送りバント失敗による併殺で追加点を逃していただけに、流れは完全にDeNAに傾く。
そんなチームの窮地を救ったのが、9回1死からの代打・山川穂高の同点ソロ弾だ。ここでも信じられないほどの粘りを見せるパ・リーグ完全覇者のソフトバンク。
そして、もう一つの分岐点は9回裏だ。DeNAは1死一、二塁と絶好のサヨナラ機を築いたが、ヘルナンデスが佐野恵太を左飛、筒香を三振に抑えてピンチを脱する。この踏ん張りが10回の川村の決勝弾につながり、最後は杉山一樹が締めて、連夜の雨中の熱戦をものにした。逆転されても直後に追いつく打力と、最後の一打だけは許さない救援陣。その両輪が敵地での連勝を支えたもう一つの勝因だ。
舞台は福岡へ ― 第3戦の展望
第2戦終了時点で、ソフトバンクは2勝0敗とし、2年連続の日本一まであと2勝となった。第3戦からは本拠地・福岡みずほPayPayドームでの戦いとなり、山川、川村と途中出場の選手が結果を残したことも心強い。
だが、いずれも逆転勝ちしたとはいえ、2試合続けて8回にリードを失った点は、完全に安心まではできない不安材料ではある。松本裕樹の状態を見極め、打順や左右の相性に応じて救援陣をどう配置するかがポイントとして焦点となるだろう。攻撃面では送りバント失敗など、追加点を逃す攻撃の修正も必要である。
一方のDeNAは、筒香の逆転弾でつかんだ勝機を守り切れなかったのが痛恨だった。救援陣のレイノルズ、伊勢の立て続けの被本塁打は何が原因だったのか。失投を減らす配球と制球が求められる。
打線は10安打を放っており、得点力を本塁打だけに依存せず、好機で適時打に繋げる仕事は万全とは言えないまでも、ペナント終盤での無双状態を支えた攻撃陣の形は、この日本シリーズでも健在だ。
さらにソフトバンクファンにとっては、鬼門とも言えるトラウマがあることも、やはり見逃せない。2年前の2024年には、今年と同じくシーズン3位から日本シリーズへと進出してきたDeNAに対し、敵地ハマスタで連勝し意気揚々と福岡に凱旋するも、そこからまさかの本拠地3連敗を喫し、最後は再び敵地で日本一の胴上げシーンを、ベンチから見守ることになった屈辱は決して忘れえないものだろう。
両軍が終盤の接戦をどうやって切り抜け、またどうやって相手を出し抜くのか ― 福岡での初戦が、シリーズの流れを変える重要な一戦となるのは言うまでもない。
筆者としては、ソフトバンクの絶対優位は揺るがないとは思うものの、「開き直り」という点ではまさに失うものはもはや何もないDeNAにとって、本来以上の力を発揮する土壌が見事に整ってしまったという「一種の不気味さ」を、どうしても拭い去ることができないのも事実なのである。
試合スコアと詳細データ
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 得点 | 安打 | 失策 |
| ソフトバンク | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 9 | 0 |
| DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 10 | 2 |
ソフトバンクが2試合連続となる延長戦を制し、対戦成績を2勝0敗とした。
| 項目 | 詳細 |
| 開催日・球場 | 2026年10月25日・横浜スタジアム |
| 試合時間・観衆 | 3時間36分・33,432人 |
| 勝利投手 | ヘルナンデス(1勝0敗) |
| 敗戦投手 | 伊勢大夢(0勝1敗) |
| セーブ | 杉山一樹(2セーブ) |
| ソフトバンクの本塁打 | 正木智也1号ソロ、山川穂高1号ソロ、川村友斗1号ソロ |
| DeNAの本塁打 | 筒香嘉智1号3ラン |
※勝敗・セーブ・本塁打数は今シリーズの記録。
得点経過
| イニング | 得点内容 | スコア〈ソ―De〉 |
| 3回表 | 正木智也が尾形崇斗から左翼へ先制ソロ | 1―0 |
| 4回表 | 2死一塁から庄子雄大が適時二塁打 | 2―0 |
| 8回裏 | 1死一、二塁から筒香嘉智が松本裕樹から逆転3ラン | 2―3 |
| 9回表 | 1死から代打・山川穂高がレイノルズから同点ソロ | 3―3 |
| 10回表 | 1死から川村友斗が伊勢大夢から決勝ソロ | 4―3 |
両軍合わせて4本の本塁打が飛び出した一戦。
投手成績
ソフトバンク
| 投手 | 結果 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 |
| モイネロ | ― | 7 | 91 | 5 | 8 | 1 | 0 |
| 松本裕樹 | ― | ⅓ | 21 | 2 | 0 | 2 | 3 |
| 鈴木豪太 | ― | ⅔ | 17 | 1 | 2 | 0 | 0 |
| ヘルナンデス | 勝 | 1 | 12 | 1 | 1 | 1 | 0 |
| 杉山一樹 | S | 1 | 15 | 1 | 1 | 0 | 0 |
DeNA
| 投手 | 結果 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 |
| 尾形崇斗 | ― | 4⅓ | 75 | 5 | 6 | 0 | 2 |
| 岩田将貴 | ― | ⅔ | 8 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 中川虎大 | ― | 1 | 21 | 0 | 1 | 2 | 0 |
| 吉野光樹 | ― | 1 | 13 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 若松尚輝 | ― | 1 | 15 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| レイノルズ | ― | 1 | 18 | 2 | 2 | 0 | 1 |
| 伊勢大夢 | 敗 | 1 | 14 | 1 | 1 | 0 | 1 |
※全投手とも失点と自責点は同数。⅓は1アウト、⅔は2アウトを示す。


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